サポートの限界点について | アイループ パソコン修理日記

アイループ パソコン修理日記

大阪市阿倍野区のパソコンショップ「アイループ」における修理記録をつづります。

アイループはサポート重視を掲げていますが、パソコン購入のお客さんとしても無限に無料サポートするわけではありません。どういうところが落としどころかについて書きます。

内部情報として、そのお客さんにそのパソコンを販売して、どれくらいの粗利が出たかというデータがあります。さらに、そのパソコン販売に関してどれくらいの手間がかかったかというデータがあります。基本的にはその手間と粗利について時給換算し、アルバイトの最低時給(約800円)を下回る報酬となるパターンについてはサポートの質が低下します。

また、実際にはアルバイトと比較して店舗運営には経費がかかりますので、1時間あたり必要な経費500円を乗せた時給1,300円を下回る数字であれば赤字と判定します。最低時給でバイトしたほうが儲かるようでは、わざわざリスクを背負って個人事業をやる意味が無いからです。

あるパソコンの販売における粗利を15,000円とすると、そのパソコンを店頭に並べるまでにかかる時間が3時間、データ移行やお届け・設定などの手間が3時間かかったとすると、合計6時間(7,800円分)が消費されたと考えます。その後、必要なときに無料電話サポートや、もしもの不良における修理やデータ移行の手間を考えるのですが、これらの合計が粗利の15,000円を大きく超えることになる場合は赤字です。

あるケースでは、常連さんかつ複数台購入にて大幅に値引きし過ぎたため、あまり粗利を確保できなかったことがあります。この場合、電話サポートはおおむね5日に1回ほど、1回あたり10~15分のサポートを続けています。何度か無料で出張サポートも行いました。手間としてかかった時間は合計25時間を超えるくらい、粗利は28,000円くらいです。このパターンは既にサポート限界点を超えており、今後もずっと頻繁な電話に対応することを考えると、多少の料金を請求する必要が出てきます。

電話サポートの内容はすぐに解決するものから、電話の誘導では無理に近いもの、あるいは一般的にあきらめるべき内容もあります。無料前提として、あきらめるべき内容、できればあきらめて欲しい内容の例を挙げると…

◎ある特定の操作でこれまで1秒だったものが5秒かかり、イライラするので修理してくれという事例
◎デスクトップアイコンが一番右端に行かず一つ左にズレるので修理してくれという事例
◎バックアップの手順を紙に書いておいたが、後日操作ミスでフォルダ構成がぐちゃぐちゃになった事例(ドラッグアンドドロップでとなりのフォルダに移動など)、さらに新しい手順書を作ったりする事例
◎多少の料金を頂くと言った場合に「何もしてないのに勝手におかしくなった、これはパソコンの故障なのに、どうしてカネがかかるのか」という事例

正直、修理できないわけではないと思いますが、使う上でちょっと手間がかかるだけの問題であったり、致命的な問題ではなかったり、(特にバックアップ不足やマウス操作のミスなど)そこまでサポートするべきかどうか悩む問題であったり、そういう案件については妥協策を提案したりします。妥協策としては「あきらめてください」とか、「出張できますが、ちょっとだけお小遣いをいただきます」といった提案です。困った時に電話で最善の策を求める分には制限はありませんので、どんどん尋ねていただきたい、それがアイループの強みです。ただし、このようにある程度のブレーキをかけていかないと、収拾がつかなくなるのも理解していただく必要があります

それに関連して、これまで6年ほど店をやってきて複数件ありますが
◎お前の店を潰すくらい簡単なんだぞ
◎こっちが初心者で何にもわからんと思ってバカにしてるだろ
◎接客中とか関係ねぇ、電話の向こうにいるオレも一人の客だろうが
◎無料で教わったとは言え、その通りやって3年調子よくできてたのに突然それができなくなった、お前が言った通りにやってて突然できなくなったのだからお前が無料でサポートするのが筋だろ
…といった暴言は避けていただきたいです。どんなに良心的にやっていても、いつか誰かから必ず暴言を吐かれます。それでも最大限の譲歩をして関係修復に努め、仲直りすることもありますが、1度でもこういったことをおっしゃる方だと分かればサポートの質が大きく下がります。それと、次回購入時の値引き幅はほぼゼロです。販売後のサポートに尋常でない手間がかかることが初めから予想できるパターンとなるからです。頻繁な無料サポートを「要求」された場合、常連にも関わらず値引き無し、追加サポートは追加料金が必要ということにもなりえます。

要するに、電話越しに僕がネガティブな対応をしている場合は「できればあきらめていただけないか><っ」という気持ちの表れです。逆に、対応すべきと判断したときは丁寧かつ迅速に動きます

この記事ではネガティブなことをたくさん書きました。限界点はどの業者でもあるはずであり、その中でもアイループの限界点はかなり柔軟だという自信があります。しかし、アイループはボランティアではなくビジネスであり、限界点が全く無いわけではないことは宣言しておきます