浅草ロック座2024年4月公演【HEIAN 1st】 | 市川春希の日常ブログ

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普通のサラリーマンの日常を記録したブログです。

 

前回のお話。

桜満開の2024.4頭・横浜ロック座( ◜◡◝ )

 

大岡川の桜が満開で綺麗でした。

おおおおおおおおおおおかがわ( ◜◡◝ )

 

ここから今回のお話。

 

今週は浅草ロック座【HEIAN 1st】を見に行きました。

 

【HEIAN】は初のタイトルです。

いまNHKの大河ドラマでは平安時代をモチーフにした【光る君へ】が放送中ですので、そんなトレンドも反映させたテーマだと思いました。

 

日本史テーマの公演は浅草ロック座のオハコです。

 

大トリは去年9月以来、2度目の橋下まこさんが務めます。
まこさんは前回の出演時、全日大入りという偉業を成し遂げたので、絶対に大トリとして戻ってくると信じていました。
 

おかえりなさいませ女王陛下。

※2023年【REBIRTH】1景

 

4月1日から5日までは、毎年恒例の設備点検があったため、本公演は4月6日から30日までのセミロング公演です。

 

というわけで、この日は早朝に浅草に到着。

隅田川の桜が綺麗に咲いていたので、お花見しました。

 



たくさんの観光客の方々が楽しそうに観光していました。

そして浅草ロック座へ。


 

 

 

 



1時半に入場。
2時になると、橋下まこさんによる英語と中国語のアナウンスが流れました(生成AI音声)
次に、和風テクノとピアノのメロディが流れ、まこさんのアナウンスと共に開演しました。


本公演の香盤

1景 ALLIY さん
2景 樋口みつは さん
3景 白橋りほ さん
4景 矢沢ようこ さん
5景 茉宮なぎ さん
6景 小宮山せりなさん
7景 橋下まこ さん

本公演から音質が非常に良くなっているように感じました。

私の勘違いかもしれませんが、音響機材が変わりましたか??


1景 ALLIY さん【平安京】
アリーさんを見るのは24回目で、1月の川崎ロック座以来、3か月ぶりです。

久々のトップバッター!!

※2021年【PEARL】以来


開幕すると、朱色の手すりが付いた階段のセットが組まれ、そこにアリーさん、ようこさん、せりなさん、なぎさん、りほさん、2人のダンサーズ(マキさん、ルリさん)が登場。
ステージの左右には計4枚の大きな布が下げられていました。

アリーさんの衣装は、黒い烏帽子(えぼし)、シルバーの狩衣(かりぎぬ)で、キラキラとした笏(しゃく)を持っていました。
今回のアリーさんは、藤原道長に扮しています。

4人の踊り子たちは、ピンク色の壺装束(つぼしょうぞく)に市女笠(いちめがさ)、白いブーツです。

まるで、あきたこまちのジャケ写のよう。

 

↑あきたこまちのジャケ写


2人のダンサーズは緑と青の狩衣に黒いブーツの男装です。

和風テクノに乗せた群舞が始まりました。

壮大な始まりで、一糸乱れぬ群舞は圧巻です。
とても格式の高いステージです。

男性陣は1人ずつソロダンスを舞いました。
アリーさんは男らしく堂々とした動きのダンスです。

6人のダンサーたちが花道に並び、膝をつくと、アリーさんが花道を進みました。
4人の踊り子たちは道長の娘たちでしょうか?

侍女や妾のようにも見えました。


花道で再び群舞を舞った後、階段に集合し群舞が終わりました。

ダンスポップな曲に乗せ、4人の女性陣が笠を持って踊りました。

そして、その後ろでアリーさんはダンサーズのアシストを受けながら着替えました。
水色のキラキラした襦袢に、銀色の帯を巻いた衣装になりました。

2曲目の歌詞が面白いです。こんな曲あるんですね。
曲に合わせて手拍子を煽りつつ、移動盆で花道を進みました。

 

 

盆に着くと、とても良い香りがしました。

ブルーの照明に照らされ、ピアノと三味線のインスト曲に包まれ、衣装を脱ぎました。

背筋が美しい。
筋肉は正義!!
 

やはり、アリーさんは明るい髪色がよくお似合いです。

盆の上であぐらをかきました。

そして、洋楽EDMに乗せて、豪快にポーズを切りました。


↑アリーさんといえば!!なポーズです。

ノリノリです。
笑顔がまぶしい。

赤と黄色の照明に包まれ、移動盆で花道を後退。
本ステージで衣装を下ろし、髪をかき上げ、立ちポーズで閉幕。

平安時代の最高権力者らしく、とても尊大なお姿です。まさに権力の象徴。

 

道長が満月を詠んだ有名な歌

「この世をば 我が世とぞ思ふ 望月の かけたることも なしと思へば」

(この世は私の為にある。まるで満月のようにすべてが満ち足りている)

を見事に表現したステージでした。

 


2景 樋口みつは さん【崇徳院】
みつはさんを見るのは16回目で、2月の横浜ロック座以来、2か月ぶりです。

開幕すると、薄暗い照明の下、みつはさんがセンターに後ろ姿で座っていました。
衣装は左右で白黒に分かれた和服です。

その両脇には格子状の引き戸が2枚、設置されていました。


写本を読み、立ち上がると、格子戸の裏側から2人のダンサーズ(ミサキさん、ユカさん)が現れました。

※写本…お経を書き写した紙


2人は黒装束の和服に白い獅子毛を被っており、錫杖(しゃくじょう)を持っていました。

みつはさんが崇徳院で、2人のダンサーズが夜襲に来た刺客に扮して居ると思われます。


不穏な曲に乗せ、3人の群舞が行われました。
その後、赤い照明の下、殺陣が始まりました。
逃げようとする崇徳院ですが、刺客に行く手を阻まれます。
捕らえられ、格子戸の中に閉じ込められました。

刺客によるシンメトリーなダンスと共に、バチバチとストロボライトが光りました。
格子戸が開くと、みつはさんが天狗のような黒い面と羽を付けた姿で現れました。

激しいメタル曲に乗せ、3人で群舞を舞いました。
群舞の後、格子戸の後ろでバックライトを浴びながら着替えました。

ボロボロのマントをまとった痛々しい姿に変わり、写本を投げ捨てました。
ミクスチャーロックに乗せ、フラフラと憔悴した様子で花道を進みました。

やや赤みのかかった髪色は景の世界観にマッチしていてステキです。

苦しそうに息を切らし盆へ。
オレンジ色のスポットライトの下、1枚の羽で手紙を書く仕草を見せました。

ハードロックのギターソロに乗せ、まぶしいバックライトを受けながらポーズを切ると、衣装から取れた羽が舞い散りました。

 



花道を歩いて下がり、青いライトに包まれ閉幕。

 

 

ここから2景のモチーフ解説。

【崇徳院】とは、菅原道真や平将門と並び、日本三大怨霊と言われています。

崇徳院は、母と曽祖父との不倫で産まれたとされる天皇です。

父である鳥羽天皇の実子・後白河天皇との権力抗争【保元の乱】に敗れ、讃岐国へ流されました。

 

崇徳院は軟禁生活の中で心を入れ替えようと、写経を行いました。

完成した写本を朝廷に献上したところ、後白河天皇は「呪いが込められているに違いない」と送り返しました。

 

これに激しく怒った崇徳院は、舌を噛み切り、血で「日本国の大魔縁となり、皇を取って民とし民を皇となさん」と、したためました。(怨霊となって天皇を引きずり下ろす。という意味)

 

讃岐国で恨みを募らせたまま崩御。

死ぬまで髪も爪も伸び放題にしたというから、夜叉のようなおぞましい姿であったそう。

 

こちらが景解説にも登場した浮世絵です↓

 

崇徳上皇が讃岐で崩御し、怨霊になる瞬間を描いた一場面です。

崇徳上皇の崩御後、後白河天皇を取り巻く人々が、次々と亡くなっていったそうです。

 

 

3景 白橋りほ さん【とりかへばや物語】
りほさんを見るのは2回目で、9月の浅草ロック座以来、7か月ぶりです。

穏やかな琴の音と共に、下手側からりほさん、上手側からまこさんが登場。
サテン地の衣装で、りほさんがピンク色のドレスに大きなリボン、まこさんが3本ラインの入ったグリーンのジャージ風スタイルです。
まこさんは男装で、刀を持っていました。

銀幕が開くと、本ステージのセンターには緑色の色打掛が掛けられていました。
2人が色打掛の裏に隠れると、一瞬で衣装が入れ替わりました。

アップテンポなテクノポップに乗せ、2人がユニゾンのペアダンスを踊りました。

花道へ進み、1着の色打掛に2人で袖を通しました。楽しそう。

まるで無邪気に遊ぶ子どものようです。
2人が腕を組んで花道を下がり、ペアダンスが終わりました。

ペアダンスの後、エレクトリックな洋楽ロックに乗せ、りほさんが本ステージの裏側で着替えました。
衣装を左右にポイポイと脱ぎ捨て、まこさんがそれらを拾いました。

既視感(笑)
※2022年【祭音】2景

りほさんがシルバーでサイバーな衣装に変わりました。
平安時代から、急に未来感。

豪快に2回の側転を決めました。
ノリノリのダンスミュージックに乗せて、アグレッシブなダンスを踊りました。
りほさんはこんなにも踊れる方だったのですね。意外な一面に驚きました。

キレッキレのステップで花道を進みました。

洋楽バラードに乗せて衣装を脱ぎました。
なんてダイナミックなお●ぱい。

あぐらの姿勢で、回る盆に身を委ねました。
心と体の性のギャップに悩むような様子を見せました。トランスジェンダー??


ちなみに3曲目は、アイデンティティに葛藤する歌詞です。

 

一部抜粋↓
I just wanna be myself and I want you to love Me for who I am

(私が誰であろうと、私自身を愛して欲しい)

立ち上がりの曲は、応援ソングの名曲(アレンジver)でした。
打楽器が多めの明るいアレンジで、とても中毒性のある曲です。槇原だけに。

カラフルなスポットライトに包まれ、スーパーエルのポーズを切りました。

 


笑顔かわいい。


次々とポーズを切った後、スキップしながら花道を後退。

本ステージに着くと、可愛い笑顔で立ちポーズを決め閉幕。

 

 

ここから3景のモチーフ解説。

【とりかへばや物語】は、平安時代に書かれた作者不詳の物語です。

大納言兼大将の二子で、「姫君」として育てられた内気で女性的な性格の男児と、「若君」として育てられた快活で男性的な性格の女児のお話。

「リボンの騎士」や「君の名は」に代表される“男女入れ替わり物語”の始祖です。

 

りほさんのアクティブなアクションを見て、私は「らんま1/2」を連想しました。

りほさんの着ていたグリーンの衣装は、らんまの姿に似ています。

「らんま1/2」も“男女入れ替わり物語”です。

 


↑公式様が、「現代に伝えたいメッセージが込められている」とツイートされていました。

ダイバーシティ(多様性)という言葉が広く認知されるようになった現代にもマッチしたテーマです。
また、「どんな個性でも肯定される場所」がストリップ劇場ですので、そんなストリップにもマッチしたテーマだと思いました。

 

可愛さだけを楽しむ景かと思いきや、思いのほかメッセージ性が強い景です。

 

 

4景 矢沢ようこ さん【妓王】
ようこさんを見るのは17回目で、10月の浅草ロック座以来、6か月ぶりです。

センターにようこさんと4人のダンサーズが登場。

5人の衣装は、白いハットに、袖のヒラヒラしたドレス、白い長ズボンです。

 

薄暗い照明の下、クラシックなバイオリンの旋律に乗せ、5人がゆっくりと舞いました。

下手側から同じテイストの衣装を着たアリーさんが登場し、群舞に加わりました。
袖をひらひらとなびかせながらの情熱的な舞です。
 

一列に並んで踊った後、上手側に集合し群舞が終わりました。

 

ようこさんが上手側に捌けました。

再登場すると、キラキラとした白いフード付きのロングドレスに、シルバーのハイヒールのミュールです。

 

移動盆に乗ると、寒色系の照明に包まれ、神秘的なコーラス曲に乗せて花道を進みました。

花道を進みながら、フードを外しました。

 

この場面は「屋敷を追放され、髪を剃って尼になった祇王」を示していると思われます。

 

盆に着くと、ミラーボールが神々しく輝きました。

ソウルフルな歌声のコーラス曲に乗せ、温かい笑顔で1度だけポーズを切りました。

 

 

一礼し、移動盆で花道を後退。

 

本ステージに着くとドレスを下ろし、優しい笑顔で両手を前に差し伸べ、閉幕。

 

 

ここから4景のモチーフ解説。

【祇王】とは、平家物語に登場する白拍子(しらびょうし)です。白拍子とは、歌舞を生業とする遊女です。

 

祇王とその姉妹は都で評判の白拍子で、平清盛に寵愛(ちょうあい)されていました。

しかし、仏御前という若い白拍子が現れると、清盛の寵愛が仏御前に移り、祇王は母と妹と共に屋敷を追放されます。

 

屋敷を出る際、祇王は襖にこのような歌を書き残しました。

「萌え出づるも枯るるも同じ野辺の草 いづれか秋に逢はで果つべき」

現代語訳(新人もベテランも、時期は違えどいつかは必ず飽きられる運命)

 

この世に絶望し、3人で心中しようとしていたところ、自戒の念を持って謝罪に来た仏御前が現れ、4人は尼になりました。

一心に後世を願って念仏を唱えて暮らし、最後には4人そろって極楽往生を遂げました。

 

白拍子の世界と、踊り子の世界に通じるものを感じます。

ようこさんは20年以上の長きに渡って活動され、業界の栄枯盛衰を見てきたので、ようこさんが演じることに、大きな意味を感じた4景でした。

 

 

ハーフタイム


次回公演の出演者たちが紹介されました。
7人のうち、4人が和演目だったので、映像でもHEIANの世界を感じました。

突然OLが現れますが(笑)


次に各景踊り子衆による、各景のモチーフ解説が流れました。

この解説は本当に助かります。

もし解説映像が無かったら、モチーフ作品に辿り着くのは至難の業でした。

各景のタイトルです。

1景【平安京】

2景【崇徳院】

3景【とりかへばや物語】

4景【祇王】

5景【ちはやふる】

6景【羅城門】

7景【壇ノ浦】

フィナーレ【田遊び】

 


5景 茉宮なぎ さん【ちはやふる】
なぎさんを見るのは4回目で、2月の横浜ロック座以来、2か月ぶりです。
4月30日がお誕生日です。

おめでとうございます。


休憩が終わると、在原業平(ありわらのなりひら)の歌
「ちはやぶる 神代も聞かず 竜田川 からくれなゐに 水くくるとは」

を読む声が流れ、スクリーンには【五歌仙】と称して、歌人の絵と踊り子の顔を合成した写真が投影されました。

なぎさん…紫式部
りほさん…清少納言
みつはさん…崇徳院
せりなさん…西行法師
まこさん…小野小町

相変わらずの雑コラ(笑)

開幕すると、それぞれの歌人に扮した5人の踊り子たちが百人一首で遊んでいました。

 

 

ステージの下手側には反物が置かれ、上手側には布が吊るされていました。

 

バチバチと光る“フラッシュ”ライトの中、同名の映画主題歌にもなったテクノポップソングに乗せ、5人が群舞を舞いました。

原曲の振り付けも随所に取り入れられています。

 

余談ですが私はかつて、和訳すると【香水】という3人組テクノポップアイドルグループのファンクラブに所属しており、この曲の本人たちによるパフォーマンスを生で見たことがあります。

まるでアイドルのように可愛らしい5人の踊り子たち。

平安アイドル(笑)


歌人も、現代で言うところの歌手のようなものですからね!

まこさんの姫カットが小野小町の役に似合いすぎます。

ソロダンスを披露した後、全員が花道で踊りました。
まるでディスコクラブ!!

\(^o^)/楽しい。

 

踊り子たちは、扇子、笏(しゃく)、数珠など、それぞれのキャラクターに合ったアイテムを持っています。

まこさんの扇子の振り方がジュリアナ東京なんよ(笑)

 

盆の上でも百人一首で遊んでいました。

その後、本ステージのセンターに集合して群舞が終わりました。

 

上手側の布の裏で、りほさんのアシストを受けながら、なぎさんが着替え、その間にも3人の踊り子たちは百人一首で遊んでいました。

この場面は、紫式部と清少納言の共同作業ですね!!微笑ましい。

 

なぎさんはラベンダー色の長襦袢になりました。

紫式部だけに、紫色の照明に包まれ、和楽器ロックに乗せ、花道を歩いて進みました。

 

盆に着くと、青春ラブソングに乗せて衣装の前を開き、歌詞にシンクロした動作をしました。

立ち上がりの曲はハイテンポで爽やかなロックソングです。

 

かわいいスマイルと共に次々とポーズを切りました。

 

とても綺麗なカラダ。

ポーズを切りながら指で五芒星を描きました。

 

ベッドショーの後は一礼し、衣装をひるがえしながら花道を下がりました。

花道の上でレイバック!!

 

上手側と下手側にそれぞれステップで移動し、センターに着くと立ちポーズを決め暗転。

 

 

ここから5景のこぼれ話。

紫式部は今年の大河ドラマ【光る君へ】の主人公で、源氏物語の作者です。

西暦2000年の沖縄サミットを記念に発行された二千円紙幣には、裏面に光源氏と共に紫式部が描かれています。

 

 

百人一首を彩った百首の歌には番号が振られており、57番は紫式部が読んだ歌です。

 

「めぐり逢ひて 見しやそれとも わかぬ間に 雲がくれにし 夜半(よは)の月かな」

 

現代語訳:せっかく久しぶりに逢えたのに、それが貴方だと分かるかどうかのわずかな時間にもう帰ってしまった。

まるで雲間にさっと隠れてしまう夜半の月のように。

 

自分の満ち足りた心を満月に例えた道長とは対照的に、紫式部は想い人を月に例えたのですね。

 


6景 小宮山せりなさん【羅城門】
せりなさんを見るのは24回目で、12月の浅草ロック座以来、4か月ぶりです。

開幕し、薄暗い照明が点くと、階段のセットが組まれており、せりなさんがうなだれていました。
衣装は灰色で継ぎはぎだらけの和服です。

 

プロジェクターにより、上手側に蝶々、下手側に蜘蛛のシルエットが投影されました。

ちなみに平家の家紋は蝶々です↓

 

天井からは黒く長い布が何本も垂れ下がっていました。


階段には緑色の着物と、長い髪の毛の束が置かれており、それらを見つけたせりなさんは驚き、おびえる様子を見せました。
この着物は小説【羅生門】における「老婆から剥いだ着物」で、髪の毛は「老婆が死体から抜いていた髪の毛」を表していると思われます。

ポストロック曲に乗せ、悲しさの感情を乗せたコンテンポラリーダンスを披露しました。

下手側に垂れ下がっていた布を引っ張ると、その布を被り、うずくまりました。

不協和音のメロディに乗せ、バックライトを浴びながら脱ぐと、ビリビリに破れたタイトなボディスーツ衣装になりました。

 

花道を歩いて進み、盆にうずくまった後、ゴロゴロと転がりました。

天井から黒い袋が静かに下りてきました。

 

袋から出した白いシルクをほどき、広げると、本ステージへ走りました。

再び盆へと進み旋回。そしてエアリアルのパフォーマンスへ。

 

中休憩の景解説によると、6景のモチーフは【羅城門】です。しかし、前半が【羅生門】、後半が【蜘蛛の糸】をオマージュしていることに気づきました。

【羅生門】は、今昔物語の【羅城門】を基に書かれた小説です。

【羅生門】も【蜘蛛の糸】も芥川龍之介の作品で、私はどちらも高校生の頃に読んだことがあります。

御釈迦様が地獄に垂らした1本の糸を、せりなさんが上っていきます。

 

 

腕の力だけでシルクを上れるせりなさんの筋力の凄さよ。

 

空中でゆっくりとポーズを切ると、客席から拍手が起こりました。

 

 

天井近くまで登り、高速旋回しました。

圧巻のパフォーマンス。

 

ラストは「ブチッ」と糸が切れる音が鳴り、落下技を披露しました。

ステージが真っ赤な照明に染まりました。

 

落下技の瞬間は、本当のアクシデントのようだと錯覚します。

客席からも「キャー!」と悲鳴が聞こえました。

 

暗転し、しばらく風の音だけが虚しく鳴り響きました。


絶望感しかない始まりでしたが、最後まで絶望しかない6景でした。

原作の通り、誰も救われないストーリー。

 

 

これは私なりの解釈ですが、6景は【羅生門】に登場する下人の、その後を描いた話。という解釈で見ていました。

「餓死するくらいなら盗人になってでも生き延びる」

を選択した下人ですが、結局その後、生き延びることはできず、餓死してしまった世界線。

6景は生死の狭間で見た夢で、冒頭、自分が奪ったはずの着物を見て驚くのは、自責の念から見た悪夢だと解釈しました。

 

 

7景 橋下まこ さん【壇ノ浦】
まこさんを見るのは47回目で、1月の川崎ロック座以来、3か月ぶりです。

照明が点くと、まこさんが花道の中腹に立っていました。

まこさんは平知盛を演じています。

衣装はポニーテールヘアに戦国武将の装いです。右肩の鎧には平家の家紋が描かれていました。

 

開幕すると、紅白の軍旗が何本も立てられ、天井からも紅白の布が吊り下げられていました。

ようこさん、アリーさん、みつはさん、なぎさん、4人のダンサーズはメタリックカラーの和服に黒い長ズボンの衣装です。

 

嵐のような強い風が吹き荒れ、ドコドコと鳴り響く和太鼓のビートに乗せ、エネルギッシュな群舞が披露されました。

 

そう、これは

(゚Д゚)<戦じゃー!!

 
まこさんは巨大な薙刀を振り回しながら踊りました。
これは去年の春公演で巴御前が使用していた物と同じ薙刀だと思われます。
 
戦士たちを鼓舞するダンスです。
前回の阿弖流為(アテルイ)に引き続き、まこさんは今回も戦士たちを導くリーダーなのですね。
 
周りのダンサーズは扇子を振りながら踊りました。
エネルギッシュな群舞は、激しい合戦を表現しています。
 
群舞のラスト、ステージが平氏の軍旗の色である赤に染まり、暗転しました。
 
雑学…紅白歌合戦や運動会など、対立する軍勢が紅と白の旗を掲げる文化は、源氏と平氏の戦いに由来しています。(へぇ〜)
 
戦に敗れ、絶望する平氏の戦士たち。
風と波の音が虚しく鳴り響きました。
 
まこさんがステージ後方で衣装を着替えました。
その間、センターで抱擁するようこさんとなぎさん。この2人は二位尼と安徳天皇だと推測しています。
 
二位尼(にいのあま)…平清盛の後妻で知盛の母。
安徳天皇…平清盛と二位尼の孫。歴代の天皇の中で最も若くして崩御した天皇。(満6歳4か月)
二位尼は安徳天皇を抱いて入水し自害したとされています。
 
2人が抱擁した後、暗転。
 
ゆっくりと灯りが点くと、センターにまこさんが立っていました。
衣装は、キラキラした赤い襦袢に、黒いコルセットを着けています。
そして縄の付いた碇(いかり)を持っていました。
 
情熱的な三味線の旋律に乗せて移動盆で花道を前進しながら、縄を体に巻き付けました。
 
結んでいた髪を下ろしました。
姫カット激かわいい。
やはり、まこさんといえばセンター分けの黒髪ロングです。このヘアスタイルの印象が最も強いです。
今回は紅白のメッシュが入っていました。
 
移動盆で前進する最中、なんと!!前盆がジャッキアップしました。
このタイミングでのジャッキアップはレアです。
 
まこさんは移動盆から前盆に渡ると、盆が下降しました。
これは、知盛が自害のため入水する様子を示していると思われます。
 
下げる目的でジャッキアップを使用するのは初の試みです。
まこさんの発案だそう。天才かよ。
 
神秘的なコーラス曲に乗せ、ベッドショーへ。
盆の上にうずくまると天井から白いスポットライトが降り注ぎました。
ここは深海??
 
心臓の鼓動が聞こえ、息を吹き返す動作を見せました。
縄を解き、襦袢を脱ぐと、宙を仰ぎました。
 
壮大な曲と共に本ステージの幕が開くと、ミラーボールがキラキラと輝いていました。
優しいスマイルでポーズを切りました。
 
 
相変わらず脚が長くて綺麗。
美脚にもほどがある。
 
ベッドショーの後は移動盆で花道を後退。

衣装をすべて下ろし、次々と立ちポーズを決めました。

 

スタイルが神。奇跡ボディ。

 

強いバックライトを受けながら本ステージに着くと、右肩を押さえ、その手を前に差し出し閉幕。

 

 

ここから7景モチーフ【壇ノ浦】解説。

壇ノ浦の戦いとは、平安時代の末期に平氏と源氏との争いが終結した戦いです。

壇ノ浦は下関市と北九州市の間の狭い海峡で、非常に流れが早い難所です。

 

↑平知盛像(山口県下関市)

 

平氏の総大将は平宗盛で、まこさんが演じる平知盛は宗盛の弟です。

平家物語では、武勇に優れた聡明な武将として描かれています。

 

 

↑こちらは、壇ノ浦で沈んだ平氏の亡霊を描いた浮世絵です。(作:歌川国芳)

左には亡霊にまとわりつかれているヘイケガニが、右には薙刀を持った平知盛が描かれています。

そして中央には巨大な碇が描かれています。

碇でかっ!!

 

自害にあたり、知盛は碇を担ぎ、鎧を二枚着て入水したと言われています。

浮かび上がった遺体を晒し者にされるという辱めを受けないためです。

 

平氏一門の最期を見届けた平知盛は、

「見るべき程の事をば見つ。今はただ自害せん」

と言い残して入水したと言われています。

 

現代語訳「自分の人生で、味わわなければならないものはすべて味わい尽くした。今は自害するのみ」

 

敗戦により一族が自害するという悲劇的な結末であったにも関わらず、ベッドショーのまこさんはなぜあんなにも穏やかな表情をしていたのだろうかと考えました。

 

これは、知盛より前に入水した二位尼が、安徳天皇に言ったとされる言葉です↓

「波の下にも都がございます。この世は辛く厭わしいところですから、極楽浄土という結構なところにお連れ申すのです」

 

戦乱の無い極楽浄土へ旅立ち、一族や同志たちと再会し安堵している知盛を演じているのかもしれません。


平氏の敗戦から数年後、平安時代が終わります。

 

まるで、平家物語冒頭の名文を再現したような、見事なステージでした。

 

平家物語の冒頭

「祇園精舎の鐘の聲、諸行無常の響あり。 沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。 驕れる人も久しからず、唯春の夜の夢の如し。」

 

現代語訳

「祇園精舎の鐘の音には、この世のすべては絶えず変化していくものだという響きがある。 沙羅双樹の花の色のように、勢い盛んな者も必ず衰えるものだ。どんな権力者も、 その栄華は長く続くものではなく、まるで覚めやすい春の夜の夢のようだ。」

 

 

フィナーレ【田遊び】

鼓とバイオリンのフュージョン曲に乗せて、まこさんを除く出演者が全員登場。
衣装は、まるで稲穂のように金色に輝く和服に、白いブーツです。

グリーンの照明と、朝日のようにキラキラと輝くミラーボールの光を浴びながら、まぶしい笑顔で優雅に踊りました。
田植えや稲刈りの動作が含まれるダンスです。

 

田遊びとは、模擬的な稲作所作を行い、その年の豊作を祈願する日本の民俗芸能です。

300以上の地域で行われている国の指定重要無形民俗文化財です。

 

下手側からキラキラしたピンク色の和服を着たまこさんが合流。
ようこさんの手を引いて、花道に進みました。

MCは、せりなさんです。

この日のダンサーズは、
ミサキさん、ユカさん、マキさん、ルリさんでした。
ユカさんとマキさんは初めまして。

センターに集合し閉幕。

 

全員がキラキラした笑顔で終われたことは、悲劇的な結末だった6景と7景の主人公にとっての救いです。

 

 

3公演目の後に退席しました。

 

 

今回、各景のテーマが深すぎるので、いつにも増して長文のレポになりました。

でもまだ1回しか公演を見ていないので、不足している知識や、見逃している演出があると思います。

 

不足している部分は、2ndと3rdのレポで補完したいと思います。

 

終わり。