前夜は2時間ほどしか眠れなかった

ジジは全く眠れてなかったかもしれないね

日中に ケータイが鳴らないことをひたすら願う。

検査結果から わかったことの説明を受けるために

夕方から病院に出向く。


呼ばれて診察室に入ると院長先生ではなく

そこには若い男の先生が。

大丈夫だろうか?と思いながらも

MRIの画像を見ながら話しを聞いた。

結果

鼻の骨のテッペンであるドーム状、

やはり溶けていた。

右側は浅い部分に腫瘍があるために

涙が出るという症状。

左側は奥まった部分に腫瘍があるため

鼻血の症状。

かかりつけのY病院では

右側が悪いという判断で、

「左から鼻血?どっちだろうね?」

と話していた。

結局、どちらも悪かったのだ。

そして 目、脳、などは

薄い骨の壁で仕切られているという。

目には問題ないが

脳の一部にまで進行していたのだった。

脳… ショックしかない。


それでも ちゃんと聞かなければ!


鼻腔癌には大きく分けて2種類あるのだそう。

仮に 厄介なほうであったとしたなら

ジジの場合、【ステージ4】だと…

これもまた 言葉を失った。

なにもせずに そっとしておいた場合は

眼球は飛び出すように出っ張り、

顔の左右は非対称に腫れ上がってくるのだと。

この説明はY病院から話されてたから

覚悟は出来てたけどね。


完治なんて求めてない、

ジジに痛みがないようにしてあげたい

そして唯一、顔の変形だけは

なんとかしてあげて欲しい。

痛々しくて 可哀想過ぎるよ。


およそ1週間後に

組織の病理検査結果が上がってくる。

その結果を待つまでの間

結果的に やらなければ良かったような

治療や処置はしないでおきましょう と。

麻酔でかなり体力を消耗し、

ストレスもかかっているはずだから

結果待ちの間、おウチでゆっくり

回復に努めてあげて下さい と。


組織採取のため

まだ 鼻血が出てたり、

麻酔でボンヤリしてますが

面会していきますか?と聞かれた。


エリザベスカラーをし、

目が虚ろになったジジが酸素室にいた。

口を閉じて呼吸していた。

楽チンなんだね、良かった、

ちゃんと呼吸してくれていた。


「酸素が逃げないようにほんの少しだけなら」

とスタッフの方が

扉をちょっとだけ開けてくれた。

「ジジ~? 頑張ったねぇ、いい子だよォ」

声掛けしながら 頭をそっとなでてみる。

それまでは

首をだらんと擡げたままだったのに

力を振り絞って頭を上げ、

「うにゃあぁぁぁ」

カスカスの声で 返事をしてくれた。


心細かったよね、ジジ。

いい子だね、

明日 必ず迎えに来るから

もう 今日は ゆっくり休んで。


スタッフの方にお礼を言い、

病院を後にした。


既に暗くなっており

駅までの15分間、

どの道を歩いたのか覚えてない。


脳…

駅のベンチで 一頻り泣いてから

電車に乗った。


家に着き、何はともあれ

お風呂場へ直行。

シャワーを浴びながら

声を上げて泣いた。