最近流行ってますよねぇ、ファストファッションって。

まる2年ちかく日本に帰っていないのですが、ファストファッションて、女性雑誌では、安く流行を取り入れるために賢く使いましょうとか、もっと若いギャル雑誌ではフルコーデまで紹介されてますが。。。

今日は、NYのFastfashionの流行をおつたえするドキドキ

なんてブログねたではなくて、がちんこ法律なので、興味ない方はすっとばしてください。。。

法律上、このファストファッションが、いわゆるハイブランドのデザインを「まねをする」ことについては、決着がついておりません

こないだの研修で唯一面白かった授業をベースに書いてみたいと思います。他方、私は知財への深い見識はもちあわせてませんので一部事実誤認があるかもしれませんが、ご容赦いただければと思います。


ファストファッションの商品は、流行にのったものか、それともデザインの盗用か?については各国の文化も反映しまして、議論の決着はついてません。



どういう問題かということで簡単な例を出しますと。。。

一時期はやりまして、今も流行っているアンテプリマのワイヤーバッグがあります。
(殿方も、おそらくは見たことくらいはあると思います)
日本女性がデザインしたものでして、きらりも大好きです。ちょうどいい例がみつからなかったのでア社さんのバッグを事例に使っていますが、事実関係に関して取材や許可を経たものではない点、ご容赦ください。

http://www.anteprima.com/index.php

これって、シンプルなデザインでして、これが流行り始めた直後、アンテプリマの商標は書いてませんが、類似品が死ぬほどたくさんでまわりました。

→ググって出てきた楽天の画像
$グラ可愛系働きマン@東京~ニューヨーク-ante

これは本物として売られているものですが、、、
これに類似したバッグが、「ワイヤーバッグ」として売られています。

こんなかんじです。

$グラ可愛系働きマン@東京~ニューヨーク-antenise



では、これを「コピー品である」と訴えても、ア社が勝つかどうか? 

ちなみに。。。ややGeekyな話ですが。。。

アンテプリマの商標は使っていませんので、商標侵害でもうったえられません。

アンテプリマのワイヤーバッグが、特許を取得していれば特許侵害かもしれませんが、(直接確認はできませんが)、会社のホームページなどを見る限りないため、特許は取得してないと思います。そもそも要件を満たせないかも。

著作権侵害、についても、そもそも服やカバンのデザインには、自動的に認められるような著作権はないんです。
デザインも芸術の発露ではあるので著作権の保護の対象になってよさそうに一見おもわれるかもしれませんが、服やカバンには実用品という効果があるので、日本では、「意匠」という分野になります。しかし、この意匠の保護は工業品を念頭においているため、めまぐるしくかわるファッション業界のスピードに対抗するスピード感で救済措置はできないと思われます。

日本の法律では、おそらく意匠で保護ということになりますが、シーズンごとにかわる服のファッションパターンをいちいち登録はしてないので、まねたデザインをした業者を訴えるのであればおそらく、実務的には、商標法や不正競争防止法違反なんだと思います。不正競争防止法2条に、ちょうど、デッドコピーの禁止というのがあるので、こちらに基づいて差止や損害賠償請求をするのでしょう。
 ※すいません、あまり知見ないので、つっこまないでください(涙)

そういう問題です。

例は枚挙に暇がありません。

実は、ファストファッションで売られているものの多くが、デッドコピーとまではいいませんが、大方、オートクチュールやプレタポルテで名をはせるブランドのコピーに近いものだといえますピカーあせる

しかしながら、ファストファッション側からすれば、そういった有名ブランドの作り出した流行をフォローし、また、それを盛り上げているという言い分がなりたちます。

また消費者側も、安くていいデザインを欲すると言う需要もありますので、一概に否とはいえません。

ちなみに、日本ではあまり報道されませんが、訴訟はしばしば起きています。
(例:イギリスではChloe,Jimmy Chooによって、Top ShopやMarks&Spencerが訴えられてます。フランスのLVMHとEbayはCopyというより商標侵害での争いかと。)

いわゆるCounterfeit(模造品、海賊品)は、世界的に違法となっておりまして、現在でも、ACTA(Anti-Counterfeiting Trade Agreement、模倣品・海賊版拡散防止条約)という多国間の条約締結にむけた交渉が行われております。

しかしながら、「Copy」したものについては、実は、各国いずれも、法的な整理がついてません。
(フランスやイタリア、イギリスなんかではCopyright(著作権)をデザインに延長させたり、登録制にして登録されたデザインについては悪意善意をとわず取り締まるとか、しています)

ファストファッションが流行を追随しているおかげで、流行がExhaustされ、新しい流行が生まれ、また、名だたるブランドが最先端のブランドたらしめることもありますが、負の側面として、デザイナーが作ったものを簡単にコピーすることで開発意欲をそぎ、またデザイナーに対する正当な報酬を妨げるということもあります。

どっちも理解できますが、個人的には、やはりデザイナーに対する正当な報酬を妨げるということによって、長期的な利益(開発意欲がそがれて新たなデザインの開発停滞してしまう)を失うことのほうが、消費者の短期的な利益(ちょっと流行を追うものを安く買いたい)より重要だと思うので、もっと保護を強化すべきだと考えております。