怪物 | ☆テツコの部屋☆~映画評論館~

怪物

47点

『海街diary』『そして父になる』『万引き家族』などでお馴染み是枝裕和監督作品。

最初に思ったのが、是枝監督が映画作ってカンヌ映画祭に出品したというだけで「名作に決まってる」という風潮がまずウザい。相変わらずひねくれてます(笑)
そしてここはネタバレ注意。

映画は大きく分けて、シングルマザー(安藤サクラ)、担任教師(永山瑛太)、2人の同級生、この3つの視点で描かれている。
同じ場面を複数の視点で繰り返す手法はどこか『桐島、部活やめるってよ』を彷彿させた。映画としてはなかなか興味深い進行。途中まではスクリーンに釘付けになるほど、先が気になる構成だった。こっからネタバレ。

「怪物だ~れだ」とか「豚の脳が入ってる」というこれ見よがしな刺激的なセリフ。う~んでも、残念ながらこういう不気味な演出はいささか過剰に感じられた。結局オチとしては、同級生2人が同性愛者だったというただそれだけの締め。昨今のポリコレに寄せたエンディングで、個人的にはそこがすごく安易に感じた。


ラストは曖昧でどうなったかはっきり描かれていないが、小学生のLGBTというなんとも感想を言い難い終わり方。
ここは個人ブログなので正直に言わせてもらうけど、後味としては最低だった。是枝監督は本当にこのテーマで映画を作りたかったのか。
昨今の映画って、常に誰かの顔色をうかがって作ってるように見える。誰かに配慮するのは生きてく上で必要かもしれないが、映画という娯楽で多様性や性的少数者を題材にしたら賞が取れる、みたいな風潮には違和感を持つし、客は本当にそんなの求めてるのかな、と思う。

昔みたく細かいこと何も考えず、ひたすら面白い映画を求めていた時代が懐かしく感じる。

監督:是枝裕和
出演:安藤サクラ、永山瑛太、黒川想矢、柊木陽太、高畑充希、角田晃広、中村獅童、田中裕子
2023年  126分