リバー、流れないでよ | ☆テツコの部屋☆~映画評論館~

リバー、流れないでよ

66点

『サマータイムマシン・ブルース』『曲がれ!スプーン』などを手掛けた上田誠の戯曲を映画化。ミニシアターランキングで2週連続1位とスマッシュヒットを記録している、知る人ぞ知る注目の作品。
舞台は京都の貴船川ほとりにある老舗旅館。あるとき従業員や宿泊客が全員、時間がループしていることに気付く。2分たったら時間が巻き戻り、2分前の場所からやり直し、その繰り返し。ただし記憶だけは引き継がれているため、登場人物が徐々に慣れてユニークな行動に出たりする展開。ここはネタバレ注意。


まず長所としては、設定と物語が破天荒。自分がこの場にいたら、と思うととにかくワクワクする。実績がある人の原案でさすがの面白さ。
しかし意外と欠点が多いのも事実。まず冒頭、しばらくダルい場面が続き退屈。やっとループが始まってからは盛り上がるものの、結局オチは未来人が乗ったタイムマシンの故障、という一番ありがちなくだらない締め。

中盤が良かっただけに、このラストはガックリきたなぁ。もっと気の利いたエンディング思い浮かばなかったのかな。
キャストは無名の人が多いけれど、その分みんな演技が必死。まるで舞台を見ているような感じで一生懸命さが伝わってくる。ただ有名ベテラン俳優にあるような余裕がなく、そこはどこか見てて安心できないB級の危うさがあった。

例えば同じブレイク作『カメラを止めるな』を見た時は本当に肩すかしでズッコケたけど、こちらはそこまででもなかったかな。ただせっかく題材がいいのに、生かしきれなかったのは残念。SFコメディとしてはあと一歩に思えた。


監督:山口淳太
出演:藤谷理子、永野宗典、角田貴志、酒井善史、本上まなみ、近藤芳正
2023年  86分