筋腫がある場合先になるべく多く凍結してからオペを | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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大きな子宮筋腫があり担当医からはオペをすべきと言われました。ただ年齢が上がりオペ後に妊娠できるか不安です。オペをしたら半年位妊娠は出来ないと言われ、事前に採卵して凍結しておく方が良いと言われました。ただ本当はオペはしたくありません。どの様にしたら良いでしょうか?

 

この様なご質問がありましたのでお答えします。

 

担当の先生の言う通りで、筋腫のオペ後の半年は移植ができません。

年齢が上がり不安になりますが先に凍結胚を作っておくことがお勧めです。

 

以前も同様の記事を書いておりますので以下再度掲載します。

 

大きい子宮筋腫がある場合、妊娠に影響するかどうかは筋腫がどの程度子宮の内腔に近いか、子宮内膜 に接しているか、内腔に突出しているか、この点が大切になります。

これを鑑別するためには子宮鏡検査やMRIをとることでかなり鑑別できます。

シネMRI が特に有効となります。

検査の結果着床に影響していると判断できればオペを行う事をお勧めします。

 

 

ここでもう一つ大きな問題があります。

「妊娠できるからとらなくても良いか?」という点です。

 

あくまで着床や妊娠はスタート地点であり、そこから流産することなく10か月間育てていかなければなりません。

妊娠したからあとは関係ない、ではすまされません。

大きい子宮筋腫がある場合、流産や早産のリスクがかなり高くなります。

 

また出産の際にも、安全に分娩をして、かつ子宮を温存しなければいけません。

無事に生まれたけれど出血多量で子宮を摘出した、という事になってはいけません。

大きい子宮筋腫がある場合、弛緩出血になったりかなりリスクが高くなります。

 

そこまで考え、オペをするかどうか真剣に検討しなければいけません。

決して目の前の妊娠がゴールではありません。

 

流産、早産をすることなく、しっかりと出産をしてかつ子宮を温存することが本当のゴールになります。


宜しければこちらも参考にしてください。

子宮筋腫と不妊症