PCOSの場合子供に発育障害が | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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PCOSは排卵障害を主症状とする疾患です。
以前の記事でPCOSは様々な病気につながる確率が高くなると書きました。
この論文はPCOSの方から生まれた子供は発育障害が出やすいと報告しています。
 
母親がPCOSから生まれた生後4〜36ヶ月の児において、母親がPCOSでない群と比較し以下の様な結果になりました。
 
以下全てオッズ比で示しています
何らかの問題がある  1.62
細かい手の運動がある 2.30
大きな運動に問題がある 1.57
コミニュケーション能力に問題がある 1.80
対人関係に問題がある 1.64
問題解決能力に問題がある 1.68
 
 
特に女児に於いてオッズ比が高くなっており有意差が認められています。
男児は有意差が認められていません。
 
 
以下の図は事前にPCOSの治療を受けていない場合と治療を受けていた場合ではどうなるかを比較した結果です。
治療を受けていないと異常の割合が増える事が分かります。治療を受けているとオッズ比は低下しています。
 
 
これらを踏まえるとPCOSの場合には、自分の子供にこれらの影響を与える可能性がある事を踏まえ、事前に体重のコントール、インスリン抵抗性の改善、そして運動を勧めるなどの対策を促す必要があると言えます。
 

Maternal polycystic ovarian syndrome and early offspring development 

Human Reproduction, Volume 33, Issue 7, July 2018, Pages 1307–1315