良い胚盤胞ができるためには以下の3つがポイントになります。
①良い卵子を数多く採卵する
②良い精子を射出する
③培養状態を良くする
以下順番に説明したいと思います。
①良い卵子を採卵するためには
刺激方法の工夫 、注射の種類の選択、採卵のタイミングの最適化、採卵時の卵子の取り扱い 、これら次第で大きく変わります。
A:数を取る
20代の若い方は別として、やはりある程度の卵子数がない事にはどうしても先には進めません。安全に、かつその方が採れうる最大限の卵子を一度に正確に採卵することで胚盤胞到達率を上げることができます。
B:良い時期に採卵をする
生理中に検査を行いホルモン値、AF等を見極めて、良いかどうかを判断します。
卵巣刺激~採卵の一連の流れは、痛みを伴い、ストレスフルであり、高額な治療なので「ここぞ!」と言う時期に行うべきと言えます。
過去の記事に刺激方法 や採卵方法 等を記載しておりますので参考にして下さい。
②良い精子を射出するためには
禁欲期間 、採精場所 、生活習慣 、採取方法 、で精子の質が大きく異なります。
アルコール、タバコ、運動、ストレス、睡眠なども精子の質に関係してきます。
健康的な生活を3か月持続して初めて良好な精子ができてきます。
ついついお金がかかる卵子ばかりに目を向けがちですが、治療の半分は精子の質で決まります。
良い精子なくして良好胚盤胞ができる事はあり得ません。
旦那様の責任は非常に大きいものとなります。
③培養状態を良くするためには
A:培養庫を正しく管理する
培養庫内の温度、湿度、PHを正確に測定し安定させます。
症例数が多い場合はそれに見合うだけの培養庫が必要となります。
多数の採卵数がある施設では培養庫がたくさん必要になりますが、もし不足している場合は正しく管理できていない可能性もあります。その結果胚の発生に影響を及ぼしている可能性があります。
B:培養士 の技術
卵子、精子、胚の取り扱いは培養士の技術 次第で良くもなり悪くもなります。
特に顕微受精は培養士の腕に大きく左右されます。
顕微授精での受精率は大体8割程度ですが、これも技術によりかなり変動します。
同じ精子と卵子を使用しても出来てくる胚盤胞の質は全然違います。
培養室のハード面も大切ですが、それ以上に培養士の腕、技術、経験はとても大切です。
C:培養液の選択
培養液のメーカー、ロットにより培養成績が変わる事があります。
その患者にあった培養液を使う事が大切となります。
クリーン度を高く保つ必要があります。
培養室の温度、湿度、光、VOC に対する配慮も必要です。
最適な培養環境の下でより多くの良好胚盤胞が出来ることになります。