PGT-Aを行い染色体正常胚を移植すると6割程度生まれます。残りは着床しないか流産となります。多くの方にとって染色体正常胚を移植して妊娠するもののその後流産になることはとても辛いこととなります。
この研究の目的はその可能性を下げるためタイムラプスの動画で染色体正常胚で流産する胚と生まれる胚を見分けることができるかどうかを調べています。
もし事前に見分けることができれば当然ながら流産しない染色体正常胚を移植できることになります。
今回193個の染色体正常胚を移植しています。下に結果を示します。
78%(150/193)妊娠して63% (121/193)生まれています。
43個の胚は妊娠していません。妊娠したうち15人は生化学的妊娠、13は流産、121人が生まれています。
下の表のように生まれた胚と流産した胚においてタイムラプスで観察できる項目には統計的な差は認められませんでした。
結論として
染色体正常胚で流産に至る胚はタイムラプスでは特に異常な経過は示しませんでした。染色体正常胚を移植して流産となる原因は胚の細胞質の問題や子宮内膜など胚の染色体以外にも沢山の要因があります。今後さらなる研究を行い染色体正常胚を移植しても流産となる原因を同定する必要があります。
この結果から言えることとして
染色体が正常な胚を移植して流産になることは非常に辛いことですが、現在のところそれを予測する手段はないと言えます。今回のタイムラプスで予知できるかを調べていることは一つの大切な試みですがやはり胚の染色体以外にも潜んでいる母体側の問題やバイオプシーしたことの影響など様々な問題があるためここに限界があるのかと思います。
今後は胚へ負担がかからない非侵襲的なPGT-Aの早期の臨床への応用が望まれます。
Fertility and Sterility® Vol. 115, No. 2, February 2021
Can embryo morphokinetic parameters predict euploid pregnancy loss?