原因不明不妊の場合体外受精を選択するケースが多い傾向ですが、腹腔鏡と子宮鏡を行いしっかりと診断して治療をすることで妊娠率が有意に上昇することに関しての論文がありましたので紹介します。
ESHREやASRMのガイドラインでは症状がある場合、リスク因子がある場合、エコーや子宮鏡で異常所見がある場合には腹腔鏡のオペを勧めています。
しかし症状もなく、異常所見もない場合に、診断的に腹腔鏡の検査を行うことの有用性に関してはよくわっていません。
今回の検討では2008-2013年にかけて25-38歳(平均33.8歳)の原因不明不妊の270名の方を対象として170名は腹腔鏡のオペを行い、100名はコントロール(オペを希望しないか、ARTを選択)としました。
BMI は 23.5 ± 2.2 kg/m2でした。
平均不妊期間は42.05 ± 5.03ヶ月。
49.4%の方に骨盤内に病気が見つかりました。
86名には原因不明不妊という診断が確認されました。このうち28名は自然妊娠となり、23名はARTにより妊娠しました。自然妊娠の割合は32.5%(86名中)。
100名のコントロール群では14%のみが18 ヶ月待機療法で妊娠に至りました。
手術を受けた群とコントロール群において妊娠するオッズ比は 2.96 (confidence interval 95%: 1.43–6.11, p < 0.01)となり有意に上昇しました。
結論
原因不明不妊の場合、手術を受けることにより妊娠率の向上が期待できることがわかりました。
この結果から言えることとして
エコー検査でも異常がなく、特に症状がない原因不明の場合でも腹腔鏡の検査を行い治療を受けることで妊娠率が向上することが期待できます。結果が出ない場合には是非腹腔鏡で原因を見つけて治療を受けることをお勧めします。
Archives of Gynecology and Obstetrics 2017 Feb;295(2):427-433.