治療理念 | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

生殖医療専門医の立場から不妊治療、体外受精、腹腔鏡手術について説明します。また最新の生殖医療の話題や情報を、文献を元に提供します。銀座のレストランやハワイ情報も書いてます。

専門医、専門施設として出産という結果を出すことはある意味当然だと思います。高い治療費を払いここまでの負担を押し付ける以上、いかに最短で結果を出すことこそが医療側の務めだと思います。可能な限り1回の移植で卒業してもらう、やはりここが大切であると思います。

刺激から採卵、受精、培養の過程全てにこだわり良好な胚盤胞を丁寧に作りそれをしっかりと専門医がベストな位置に移植し辛い思いを感じることなく良い思い出ばかりで卒業してもらうこと、ここを目指しています。

そして最短以上に大切なことがありそれは「快適に治療を受けてもらう」ことです。例えば痛いけど我慢しなさいということはあり得ないことで、できるだけ痛みを少なくするよう努めることが医療者としての責務だと思います。痛い処置や痛い部分をいかに少なくするか、それを全員で検討し改善するように努めています。

どうしても痛い時もありますがその場合、とにかく隣に寄り添う姿勢を貫きます。採卵の時の看護師が隣に2名、3名、4名ついて手を握り肩や足を摩り全員で励ましながら行います。

また結果が出なく辛い時、大きな声で泣きたいと思う時のために個室で泣けるような特別な部屋を用意しています。この部屋は防音であり落ち着くまでいてもらうことができます。妊娠していない結果を伝える前にその部屋を確保してから診察室に呼び入れ結果を伝えています。またその際に看護師がそばにいて寄り添うこともしています。全員に結果を出せない治療である以上寄り添うことが必要なのだと思います。

またそれと同時に患者さんが何を期待しているのか、何に悩んでいるのかを初診の際に注意深く聞きます。医師の押し付けではなく患者さんが望んでいる治療を聞き、それに対してなるべく近づけていくことが目指すべき治療だと考えています。

もちろんエビデンスや過去の結果を元に専門家として「この治療法があっているためお勧めします」とアドバイスをしますが、最終的に選択肢は常に患者さんが持つことが正しいと思います。

治療の主役はご夫婦お二人であり医療側はあくまで専門家として選択肢を示して最善策を提示し伝えることですが、それは決して二人の価値観や人生観を覆してはならないと思います。