そつぎょう | ~こいぬにも分かる 精巣腫瘍サバイバー K(ケイ)のBlog~

~こいぬにも分かる 精巣腫瘍サバイバー K(ケイ)のBlog~

「20歳で精巣腫瘍サバイバーに選出!」
K(ケイ)と申します。
現在31歳。精巣腫瘍代表歴11年目となりました。
11年経った今だから言えること、今だから考えられること、等々。
気持ちそのままに、自然体に、自分の「道」を綴っていきます。

今日は1年に1回の定期健診の日でした。
先週、CTと血液検査に行ったので、その結果を聞きにです。


「今回もマーカーは陰性。CTも異常なし。
もうかれこれ7年間異常ないから、精密的な検査も今回で最後で良いと思う。」
と、先生から。

今後は職場の検診レベルで良いとのことです。


正直、
突然の事で戸惑いました。
これまでずっと受けていた検査を無しにすること。
本当に良いの?
ずっと背負わないといけないと思ってた何か。
それをふっと取っても良いと。
良いの?
この重みに慣れていたものだから、取れてしまう事への不安の様な矛盾の様な感情。


『本当にありがとうございました。今までお世話になりました。』
と言って診察室を出ました。


検査結果が良かった事に対する心の軽さ、この感じ。
診察前と後でのこの景色の違いはいつもと同じ。
それ以上に、
ここを卒業する事の寂しさ、不安さ、嬉しさ。
色んな思い出と気持ちが混ざって、なんかまだ自分の事として把握出来ていないような感じ。


11年通ったがんセンター。
初めてかかった時に思ったのは、

「ついに、ここに来てしまったか。がんセンター・・もろやん・・。」


もちろん友達にはどこの病院に行ってるかは言えなかった。
けど、いざ来てしまうと開き直ってもいたかも。
研究対象にでも何にでもしてください、みたいな。
患者さんの数に、こんなにがんの人っているんやって逆に驚いた。
もちろん、周りは年配の方で、若い子はいなかったけど。


診察室では、良い話も悪い話も受けた。


伊勢から病院までの車中2時間は、心を整えることに集中した。
どんな結果が出たとしても、受け入れるって何回も自分自身に言い聞かせた。


毎月の検査でも、半年に一回でも一年毎でも、毎回のドキドキはどれも一緒。
異常があれば、これまで大切に積み上げてきたものがリセットされる。
TVゲームと違って人生はやり直しがきかない。そこから「再スタート」するセーブもない。


入院、治療はそれだけ重くて、時間のかかるものやから。
もう一回人生も仕切りなおす必要がある。

そう感じてたからこそ、毎回の診察にはそれ相応の覚悟を持って臨んでいた。
もしダメだったとしても、後悔しない為に一日一日を大切に生きてきた。


診察待ちの時間は、雑誌読みながらも、実は何にも頭に入ってなかったり。
やっぱり、ポジティブ、ネガティブ、色んな感情が出ては入ったりして。
母親が隣にいる手前、冷静に装ってたけど。
中待合までくれば、開き直らないと仕方なかったけど。


母親には本当に感謝している。
20歳とはいえ、自己決定できないこどもの僕を守ってくれた。
いつもそばにいてくれた。
受診も、入院も、手術も。
入院中でも、お昼ご飯は病院抜け出して、ガストやココスに連れてってくれたりね。
直接どうこうでなく、手の届く距離に居てくれた事が、本当に有難かった。


きっと色んな心配をかけたと思う。
親自身を責めさせてしまった事もあったかもしれない。

今日の結果で、
親に1つ安心してもらえれれば、と思う。


これで1つ区切りをつける事ができたかな。

でも、20歳でがんになった事実は何一つ変わらないし、変える必要もないと思っている。
この病気で得たものは、失ったものよりはるかに多い。
20代で、こんなに大事なものをいっぱい得て良いのかと思うくらい。


きっとそれは、知らず知らずのうちに

自分自身のベースになってくれているはずだし、これからも大切に大切にしていきたい。



かぁぁ・・。  やった、やった、やった。