神道に於いても長い歴史の中で、神様に男女の神があるような言い伝えがありますが、それは後世の者たちが便宜上分かりやすく解説するために用いたものが独り歩きして今に至っているのです。
神道の神様とは、姿かたちのない不可視の不可知なる存在で、極めて事柄的な存在であるのです。
神様や神霊とは「想念体」と申します。
人間みたいに男女差があり、機を織ったり、農耕に従事する存在では本来はありませんでした。
それでは姫神(命)と彦神(命)とは、何が違うのでしょうか?
その前に
『神道史大辞典』より。
「ひめがみ 姫神 女神のこと。比売神・比咩神・日女神・毘売神とも表記する。」
『古事記系譜の研究』
宗像三女神の解説の中で以下のような記述あり。
「これらの神名を一瞥すると気付くように「毘売・比売」と表記に差があるが、それが何に基づくのか明らかではない。」
『古事記・日本書紀』
「「ひめ」の表記は、字音の漢字による「比売」(「毘売」)と、訓の漢字による「日女」と、音訓混用の「日売」とがある。」等と解説はありますが、
簡単に申せば、姫(神)は秘(神)であり表に出ない、または陰の作用を表しています。
瀬織津姫命や速秋津比売神、菊理姫神、木花開耶姫、宗像三女神など。
この世界の始まりは、天之御中主神が現れて事象(森羅万象)を生み出すきっかけとなりました。
そして原初の現象を生み出す神として「高皇産霊神」と「神産巣日神」が現れたのです。
この二神の働きこそが「伸展」と「収縮」の陰と陽の働きなのです。
これにより全ての現象は閉じることを持って物質を生み出していったのです。
だから進展する作用を彦神とし、収縮する作用を姫神としたのです。
だ か ら
「天照大神は女性だから十二単衣を着て私のところに現れてくださるの」とかほざくインチキスピラーや、「素戔鳴尊は荒ぶる強大な神だ」とか吹聴する何方かの古神道家が言っていることは全く以て「正鵠を欠く」戯言なのです。
きちんと神道の歴史や源流を学べは、そうした話は虚言や作り話であることはご理解できるものと思います。