ぼくの思想の柱は高田博厚だ。あるいは、ぼくがかれに捧げた本だ。この柱を忘れることが最も恥ずべきことであって、この柱のほかのことを知らないで笑われることは、何でもない。その代わり、そのこと—じぶんの無知—を知っているぼくは、謙虚であらねばならない。この柱を肉付けするかたちで、ほかのすべてを我有化してゆく。

 

この決断に至ったからには、明日死んでもかまわない。方向を確立したのだから。もっとも、死ぬわけにはゆかなくなったというのが無論ほんとうだが。