「007 Casino Royale」(2006年/マーティン・キャンベル監督作品) | 『Go ahead,Make my day ! 』

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【オリジナルのハードボイルド小説(?)と創作に関する無駄口。ときどき音楽についても】

 

裏切り者に対する暗殺任務を二度成功させ、00(ダブルオー)エージェントに昇格した若きジェームズ・ボンドに与えられた任務は犯罪組織の資金源の調査とその根絶だった。

若さゆえの失態を犯しながらも調査を進めるボンドの前に浮かんできたのは謎の男ル・シッフル。涙腺の異常で血の涙を流し、常に喘息の薬を吸引するル・シッフルは、天才的な頭脳を駆使して世界中の犯罪組織から預かった資金を運用する死の商人だった。

マイアミ空港の新型ジェット機の発表会を狙ったテロを起こし、株式市場での大儲けを狙ったル・シッフルだったが、ボンドの活躍でテロを阻止されて逆に大損をこうむり、各国の犯罪組織から得た投資金を返済できない窮地に陥る。

チェスやポーカーの名人でもあるル・シッフルは、この損失を巨額の金が動くテキサス・ホールデムで埋めようとする。これを察知した英国情報部MI6は、カードゲームに通じたボンドをモンテネグロのカジノ・ロワイヤルへ派遣するのだが――。

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えー、久しぶりに007(ダブルオーセブン)なんか見てるんですけどね~。

 

実は拙作の登場人物2名に007のマニアという設定があるもんで(一人はまだちゃんと登場してない人、もう一人は何と村上氏……)その資料としてウィキペディアを眺めてたら、がぜん見たくなったというわけです。

 

本作「カジノ・ロワイヤル」は6代目ジェームズ・ボンドにダニエル・クレイグを迎えての事実上の新シリーズ(ボンドの設定がリセットされてまして、何と「米ソ冷戦時代を経験してない」ということになってます!)だそうで、いろいろとこれまでと違う演出がされています。

 

詳しいことはネタばれになるので書きませんが、わたしの鑑賞後の感想は、

 

「いやあ、ボンド走ってるなー」

 

でしたね。いやあ、走る走る。特に序盤はとにかく走るシーンばっかり(笑)

わたしは世代的に3代目のロジャー・ムーアを一番刷り込みに近い状態で見てるんですけど、ムーアのボンドって汗かいてるイメージがないんですよね。(そういえばブロスナンも頑張ってるイメージがないな……)

 

ダニエル・クレイグについては、初の「金髪碧眼のボンド」ということで、賛否両論あったようですね。

わたしとしては本作を見た限りではそんなに悪くない――というか、新ボンドとしてはかなりハマリ役のような気はします。

ただ、歴代のボンドの中でも一番の肉体派なせいか、やたら上半身裸のシーンがあることとか、スポーツ刈りとタキシードの組み合わせが微妙でカットによってはチンピラっぽく見えるとか、ツッコミどころは満載ですけど(笑)

 

ちょっとだけプロットに触れておきますと、このシリーズ名物のご都合主義的な展開は控えめで、あんまり入り組んでもいませんね。”株式市場での大損がカジノで取り返せる”という一点を除いて「おいおい」とツッコミを入れたくなるほどおかしな点はないです。

演出もこれまでとはずいぶん違っていますね。一番の違いは殺人のシーンがやたらリアルなことでしょうか。かなり血なまぐさい演出も多いですね。これまではだいたい拳銃かナイフでしたけど、本作では絞殺するシーンや返り血を浴びたりするシーンがありますし。

ただ、何人かの登場人物の動機が後付けの謎解きで説明されてるのが残念な気はします。「あー、そうだったのね」と納得はできるんですが、できればそれもドラマの中で見たかったなーというのが本音ですね(特にボンドガールのヴェスパー・リンド(エヴァ・グリーン)はねえ。そこは見せ場だろうよ……) 

 

ウダウダと感想を述べてみましたが、個人的にはずいぶんと楽しませてもらいました。これまでのボンド・シリーズのキザさが鼻についてどうもな、という方にはお奨めかと思います。