先日、ここにときどき遊びに来てくださる桃さんのブログ にて、アメーバブックス社が去年の秋ごろに清算手続きに入っていたことを知ってビックリした次第なのですが。
そうか、やっぱりブログの書籍化はビジネスとしては成立しなかったか……。世の流れはブログ小説からケータイ小説へと移っているわけで、仕方ないのでしょうが。
ライブドアは出版業界への参入に幻冬舎(の子会社)と合弁会社を設立してリスクを回避するという手を使いましたが、サイバーエージェントは独自に立ち上げたようで。(何故か、まだHP が放置したまま……)
それだとブログ出版だけで利益を出さなければならないのは誰が見ても明らかなわけで、そんなことも分からないほどサイバーエージェントの上層部はお馬鹿さんなのか、それとも本気で「鬼嫁」とか「きらきら研修医」のような作品が次々と見つかると思っていたのか……。
わたし自身、ブログで小説を発表している身なのですが、そんな我が身を全力で棚に上げて申し上げますと、ブログ上の物語に利益を出すことを求められる商業出版に耐えられる、ちょっと下世話な言い方をすると”カネが取れる”力があるものは僅かです。皆無と言っても過言ではないかと。
それは単に筆者の力量不足だけではなく(まあ、ほとんどはそうなのですが)不特定多数の読者を相手に娯楽を供することを目的としたプロの作品と、基本的には自分の「書きたい、語りたい」という欲求に基づいて書かれるアマチュアの作品の間には明確な一線が存在するからです。
もちろん、後者が悪いと言っているわけではないのです。
ずっと昔、まだインターネットが普及する以前、アマチュア作家が自分の作品を読んでもらう手段は知人や家族を除くと同人誌くらいしかありませんでした。
わたし自身は同人誌というものに接したことがないので詳しい事情はわかりませんが、読み手の大半は同時に同じ本に掲載された他の作品の書き手なわけで、そういう環境では内ゲバまがいの辛辣な批評を受けることはあっても純粋な感想などはまず聞けなかったのではないかと思います。
しかし、ネットの普及によるホームページの開設ラッシュ、さらにむずかしい知識を必要としないブログサービスの登場で事態は一変します。今や、どこのブログサービスにも小説ブログのカテゴリがあるし、そこでは有象無象の”しょうせつ”が並べ立てられています。
ブログで創作されている方々の反論覚悟で書きますが、こうした創作物の多くは読むに耐えません。当然のことです。それは読み手のためではなく、書き手のために書かれているのですから。はっきり言ってしまえばマスターベーションです。
それでも、わたしはそういう創作ができる、他人のそういう創作物に触れることができる今は、本当にいい時代だなと思うのです。どれだけ稚拙であっても、第三者の手が加わっていない書き手のストレートな想いを感じられる作品があるのも事実だからです。
わたしはブログやホームページでの創作物の発表と言うのは、ウェブ全体を一つの本とした同人活動だと捉えることができると考えています。それは確かに商業出版という商売よりもレベルは低いかもしれません。ただ多くの人の中にあるに違いない「お話を語る」というプリミティブな欲求に応える場としての価値があるはずだと思うのです。
もちろん、そういう中から稀に万人に受け入れられるレベルの作品が登場することはあり得るでしょう。「鬼嫁」や「きらきら」がそうですね。
ただ、それらは一種の徒花であったのかもしれません。そして、実がならないことに気づいた今、花を持て囃した人たちが去りつつあるのでしょうね……。
(写真は「Left Alone」他、何箇所かで触れてる中州のストリップ劇場、博多ロックハリウッド。残念ながら(?)2007年の5月で閉館となってしまいました。ロック座系列で、ここが福岡にあった最後のストリップ劇場でした。わたしが行ったことがあるかどうかは……ノーコメントの方向でお願いします)