ダンス批評家をしていた時 | 天使のエッセイ

ダンス批評家をしていた時


今日はあるアメリカ人の知り合い(夫の従姉妹)と
フェイスブックでNYCのリンカーンセンターのことを話していて、

思い出したことがあったので、それを書こうと思う。




実はわたしは昔、ニューヨークで

ダンスの批評家をしていたことがある。



・・・・・・とはいえ、当時はまだ20台後半

まだ若くて何もわかっていず、

上司にこてんぱんにやられながら
やっとの思いで仕事をしていたんだけどね・・・・・(笑)



自分ではわかっているつもりでいたんだけど、

やっぱりその若さで、
しかも、ニューヨーク生活も数年の浅さでは

プロとしてダンスの批評家をするなど10年早かった。



上司はとてもプロ根性の高い、
特に仕事に関しては厳しくシビアな人で、

自分自身もものすごくがんばるし、

雇った人も、今一使えないと感じるとバシバシと切っていく人だった。



わたしは当時のライターの雇用人の中では
年も若くて、経験もなくて、ミスばかりしている人だった。


ダンスの評論文に関しても、勝手に自己流に解釈して書いて

「これは全然見当違いなことを書いているわよ!全部やり直し!」

・・・・・と、強く叩かれたこともあった。(笑)


上司が日本へ行っている間にオフィスを任された時には、

ニュースフィードのために必要だった新聞を何日分も捨ててしまって、
帰ってきたボスにこてんぱんに怒られたこともあった。


あと、わたしは当時はすごく子供っぽく見える人だったので、
そのことを注意されたこともあったな。

ダンス批評家なのだから大人に見えなくては困るって。

オフィスにいた時に、デリバリーの人に
ボスの娘と思われたりしたことなどもあって・・・・・汗



けれどもわたしは
「自分はできる!」という姿勢でものすごくがんばる人だったことと、

それから素直に話を聞く人だったこと、

文章を書くのがとても好きで、これでもか!というほど書く人だったことなどから、

上司は時にはわたしの馬鹿げたミスに切れそうになっても、
わたしを解雇せず、使い続けようとしてくれたのだと思う。



上司はそんなわたしを育てようとしてくれていたから、

当時はずいぶんとたくさんの
ダンス・パフォーマンスを見させてもらっていた。



通常、ひとつのショーにプレスチケットが2枚来ることが多いので、
ライター一人でも、

「勉強に見てきなさい」と
もう一枚のチケットをわたしに回してくれることが多かった。


そのため、いつも劇場の中でも一番いいプレスチケットの席で
ずいぶんとたくさんのダンスパフォーマンスを観させてもらえた。



主にはABT(アメリカン・バレエ・シアター)

ニューヨーク・シティー・バレエ

ジョイスシアターなどに多く来る
ニューヨークの多くのコンテンポラリーのダンスカンパニー


季節的にはツアーにきた外国のバレエやコンテンポラリーのカンパニー
時にはフラメンコ、その他のダンスカンパニーなども

幅広くショーを観させていただいた。


映画の紹介文を書いたことも一度あった
(Time to kill っていう映画だった)

あと、ジャパンソサエティーに
岸田今日子さんが一人芝居のパフォーマンスに来たときには

その後のパーティーにも参加させてもらったこともあったな。



ボスは厳しいとはいえ、
その会社は小さな会社だったので

わたしの書いたダンス批評文は
毎月必ず1つから3つくらいは雑誌に掲載された。


特にわたしの父はそれをとても喜んでくれた。




その短いダンス批評家時代は
ニューヨーク大学の大学院をドロップアウトして、

「さあ、これからどうしようかなあ?」と思いながら
自分の道を探していた時期に起こったことだったのだけど、

結局、再びニューヨーク大学に戻って、
Continuing Education でフィットネスの勉強をすることに決めて、

ライターの仕事はそこで打ち切ることにした。



ダンスを観にいって批評文を書くというのは

自分にはわりと合っている仕事だったけど、

やっぱり当時はまだ
自分自身ががっつり踊ることのほうに興味があったかな。



ただ、今思い返してみても、

あれは自分にとっては素晴らしい経験、かつ思い出だったなと思う。



ニューヨークのシアターでたくさんのダンスを観たこと。

上司に叩かれながらすご~くがんばったこと。

自分のダンス批評文が雑誌に毎月掲載されたこと。


そのすべてがユニークで興味深いわたしの経験、かつ思い出になっている。ドキドキ



あまりにもいろいろありすぎたわたしの人生の中では
忘れられていることが多いその出来事は

実は忘れるには惜しいようなユニークで素晴らしい出来事!



ふと、ひょんなことから思い出すことができて本当によかったわラブラブ