今月10日、当初の予定より1日遅れで開幕し
3日目となる予定だった12日から天候不良により順延に次ぐ順延が過去最多を更新する7度に及び
はたして決勝までたどり着けるのかと危惧する向きがありながらも以後天候が持ち直し
夏らしい晴天のもと、8月29日14時
ついに決勝を迎えた、第103回全国高等学校野球選手権大会@阪神甲子園球場
参加3603チームの頂点を懸けた戦いに臨むのは

一塁側:智辯学園和歌山-三塁側:智辯学園(奈良)
大会史上初、同一学校法人の兄弟校同士の決勝対決
はたしてどんな展開になるかと思ったその矢先
智辯和歌山の1番・宮坂くんがサイレンが鳴り止まないうちをセンターの頭上を破る2BHで出塁すると
1アウト後、4番・徳丸くんのセンターへの大きな犠牲フライで1点先取。
さらに3連打で3点を追加し、4点を奪取。
智辯和歌山 4-  智辯学園
これに対し智辯学園は2回裏、6番・植垣くんのセカンドへのタイムリー内野安打で1点返し
2アウト後8番・谷口くんの打球に智辯和歌山のライト・徳丸くんが懸命のダイビングを試みるものの及ばず打球が後に転がる間に
1点返し、谷口くんもホームに突っ込むものの、ここはタッチアウトで1点差にはならず。
智辯和歌山 4-2 智辯学園
でもこれで2点差、まだまだ分からない…という雰囲気でこのまま後半へ。
その空気を変えたのは、智辯和歌山。
6回に、宮坂くんのタイムリーヒットで5点目。
7回、髙嶋くん(前監督・髙嶋仁さんの孫)が左中間へのタイムリー2BHで6点目。
8回、徳丸くんのライトオーバー2点タイムリー2BHで8点目。

 

さらに、9回

 

試合を完全に決定づける6番・渡部くんの大会第36号ソロホームラン!!

智辯和歌山 9-2 智辯学園

 
そして9回裏2アウト
代打で登場の足立くんのボールカウント
2ボール2ストライクからの一球は…
 
空振り三振でゲームセット‼️
 
この瞬間
和歌山代表:智辯学園和歌山高校
21年ぶり3度目の日本一!!
時、2021年8月29日16時29分
その瞬間、智辯和歌山の選手たちはマウンド付近で抱き合って
最近のお決まりの右手人差し指を突き上げての「No.1」ポーズで喜びを爆発させることなく
 
最後は
ホームプレートを挟んで終わりの一礼。
 
最終スコア
智辯学園和歌山 -2 智辯学園
智辯和歌山が16安打9得点と
持ち前の強打に堅い守備で智辯学園を寄せ付けない、完勝でした。
近畿勢の優勝は'18年(第100回記念大会)の大阪桐蔭(北大阪)、'19年(第101回)の履正社(大阪)に次いで開催3大会連続に。
 
 
試合終了後、閉会式があり
今秋での退任の意向を示している八田英二・日本高野連会長(大会副会長兼大会審判委員長 学校法人同志社総長)の講評に続き
優勝校:智辯学園和歌山高校に優勝旗と優勝盾
準優勝校:智辯学園高校に準優勝盾
両校選手に優勝・準優勝メダルが贈られ
大会会長の閉会あいさつがあり
 
10日の開会式から大会を見届けてきた深紅の大会旗、日の丸が降ろされ
 
関西吹奏楽連盟吹奏による大会歌が演奏される中、優勝:智辯学園和歌山と準優勝:智辯学園の選手たちが場内を一周し
 
閉会が宣言され、バックスクリーン上で大会ファンファーレが吹奏され
別れを告げる「蛍の光」が演奏されて
これまでで最も長い、20日間(雨天順延、休養日を含む)の大会が終わりました。
 
そして閉会式を終えて
智辯同士の記念撮影。
もうどっちがどっちなのか分からなくなりそうですが
深紅のレイ(優勝メダル)を掛けているのが智辯和歌山で
紫紺のレイ(準優勝メダル)を掛けているのが智辯学園。
近年では優勝・準優勝校の選手が交互に並んで記念撮影するのがトレンドになっているみたいですけど
今回は二手に分かれての撮影だったようです。
 
これらの場面、実を言うと、BS朝日では17:30まで放送時間を延長したからこそ観ることが出来たんですね~。
ABCテレビでは、大会会長のあいさつを途中で切り、締めのコメントとエンディングVTRを流して17:10で終了して、以降はBSのみという
“ABC高校野球中継あるある”が、珍しく決勝の日で久しぶりに出たってことで
近年閉会式の最後まで中継するのはなかなかなかったので
ここまで観させていただけて、ある意味お腹いっぱいでした(笑)
 
で、これでおしまい
ということではなく、当然のことながら、このコロナ禍での大会運営について検証しなくてはならないと考えます。
大会3日目から梅雨末期を想起させる異常なまでの長雨で順延に次ぐ順延がこれまでの最多を上回る7度を数えましたが
これは主催紙の東京2020オリンピックに関する報道姿勢に対する空からの天罰とも思ったし
それと共に平安時代「昌泰の変」で身に覚えのない"濡れ衣"を着せられ大宰府に左遷させられた菅原道真公の怨霊がもたらした天変地異と相通じるものがあるのでは、とも感じました。
 
そして何といっても、代表校の選手に新型コロナウイルスPCR検査により陽性反応が出て、出場辞退に追い込まれてしまったこと。
これが残念でなりません。
テレビ(とりわけ民放)のワイドショーの報道や論調を過信してか「PCR検査の結果は絶対だ」という論理がスポーツ界に害をもたらしている感があるし、CTスキャン検査と併用しての確定診断としての検査が出来ていないのでは?と疑問に思います。
いま日本中で新型コロナウイルス・デルタ株が猛威をふるっているということは報道等で理解していますが、闇雲にPCR検査の精度を過信せず、CTスキャン検査と併用しての検査に変えるべきだと僕自身は考えております。
それ以上に、無念の辞退に追い込まれた宮崎商業と東北学院(宮城)に、今の状況が収束してからでもいいので、何とか甲子園で交流試合をさせてあげられないものか、と思っております。
 
さて、第103回の大会は、コロナ禍の中、日程期限の29日で、何とか完走しましたが
デルタ株が猛威をふるう現状で、新チームとして最初の公式戦となる秋の大会への動きが始まっています。
しかし、第94回センバツ大会への重要な参考資料となる、明治神宮大会が行われるのかどうか、先行きは不透明と言わざるを得ません。
はたして今大会で起きた2校の出場辞退という事実と、浮き彫りになった課題と教訓を
主催者がしっかりと検証しこれから先へ向けて新たな知見としてアップデートしていけるのか、しっかり見ていきたいと考えています。
 
「甲子園で、野球がしたい。」
その思いは昨年甲子園のグラウンドに立つことを許されなかった先輩たちの思いとともに、どうにか今年繋がりました。
しかし、深緑のスタンドがいっぱいのファンで埋まる光景は、未だに戻っていません。
来年こそ、満員の甲子園にバットの快音とファンの大歓声が戻ることを願って、この辺りで締めくくります。