『あなたは嘘ばかり!知っているのよ。Lauraのこと』

『お前こそなんだ?Teddyに聞いたぞ。俺がいない間、男たちを引き入れているんだろ』

咄嗟にクローゼットに隠れた

『友達よ』

『友達はベッドで全裸で抱き合うのか?』

『子供の言うことを信じるの?』

『ああ、ベッドの下にこれが落ちていた』

『!?』

口を押さえているのも限界で服を捲り輪を作り

その中に慌てて息を吐く

上下する胸が苦しい

死ぬかと思った

『指令があるまで大人しくしてろ』

部屋を出て行く音と何かを床に叩きつける音が同時にした

『地獄に堕ちろ!』

聞いたことのないママの声に身体がビクンと飛び上がる

長い間、家にいなかったパパからママのことを聞かれて

1週間前から何日か続いて見たママとお友達たちのことを話した

ママが楽しそうだったからパパも安心すると思って…

喜ぶと思って…

無邪気に話したことでパパとママは大喧嘩をした

それから何を見ても聞いても誰にも言わなくなった

僕は5歳だった

省略

ママにはたくさんのお友達がいる

パパは家に連れてこないからわからない

そのかわり出張から帰ってきた時にはいい匂いがする

パパの香水とは違う

パパもママも僕には興味がない

365日、新しい'友達'に夢中だ

僕の新しい友達も知らないし

成績も気にならない

家族というより一緒に住んでいる、集められた他人

そんな感じ

みんな好き勝手に過ごしている

『×日にThomasの誕生日パーティーに呼ばれているんだ。行ってもいい?』

良いわよと返事が返ってくるのはわかっていたけど

話さないと機嫌が悪くなる

『ママ、いーい?転校してきたばかりだからまだ友達がいない子なんだ』

プリントの誤字に気づいてペンで修正する

『ねぇ、見て。綺麗でしょう?』

ママはソファーの上に新調したいくつものドレスを幾重に広げて

ひとつひとつ着替えては動画に撮る

いつものファッションショーが始まっていた

『またパーティー?』

省略

『ママはその日は家にいないといけないの。大事なお話があるから。持っていくプレゼントを今から買いに行きましょう』

ママは最近、夜になると誰かとSkypeで話している

トイレに行った帰りにママの大声に驚いて転んだことがある

男の人たちと話す時の鼻にかかった媚びた声じゃない

大人の声だった

大富豪の末娘のCarinaは両親と兄達に溺愛され

なに不自由ない子供時代を過ごした

歳の離れた義姉も後に見つかる

年老いて産まれた待望の娘は異母兄弟の美形な兄たちに比べて'並'だったが

豊満な抜群のスタイルとコケティッシュな魅力に溢れ

どこにいても目立った

男たちが放っておくはずがない

留学から数年後

たくさんのBFの中からCarinaは意外な男を選んだ

Milan

俳優みたいなhandsomeだが、3歳年下の将来性のわからない青年

お金目当てではないかと影口を叩く者もいた

モテる事に慣れているのか

ガツガツしない紳士的な振る舞いの美青年に女の子たちは熱を上げ

恋人になりたいと出し抜きあって女性同士のトラブルが絶えなかった

異国のエキゾチックなミステリアスさと

神秘的な瞳の色

シックな佇まい

遠巻きに見るだけで

誰も彼の心を奪えない

そんなつれなさが女たちの闘争本能を掻き立て更に夢中にさせた

突然、恋人に別れてほしいと言われた男たちは

嫉妬から、あらぬ噂を立てMilanをコミュニティから徹底的に排除した

彼は何か重要な目標があるのか

嫌がらせも周りの雑音も意に介さなかった

省略

退屈な人生を嫌うCarinaは

大学卒業後

就職はせず

海外留学をした先で特殊な世界と繋がりを持ち

ある組織に入った

数年後、そこにMilanがいた

省略

当然、両親と兄たちは長きに渡って猛反対したという

そんな折り、両親は原因不明の中毒症状で重い後遺症が残り寝たきりに

兄の1人は旅行先で事故死

もう1人の兄は脱税で投獄された

3年の間にあらゆる不幸が重なり

せめて娘の望みは叶えてやろうと両親は5年半後にやっと結婚を許した


続く

殺し屋に狙われた殺し屋?