BLです。
苦手な方、受け付けない方は、お戻りくださいね。
小学生二年生のバレンタインデー…。
あの日、雅紀にいに、チョコを渡すのも
これが最後、いや、これを最後にしようと
思っていた。
いつものように、オレは玄関先で、雅紀にいの
帰りを待っていた。
その日、雅紀にいにしては、珍しくカノジョ
連れではなく、たった一人だった。
そのせいか、何だかしょんぼりしてるように、
見えた。
俯いてる雅紀にいに、精一杯、元気な声で
「雅紀にい、おかえり!」と、声を掛けた。
「あ、あぁ。ただいま、翔ちゃん。」
…この笑顔。絶対、無理してるよな。
「雅紀にい、はい。これ、チョコレート。」
「ありがとう。」
この日のために、お年玉を使わないで、少し、
いや、かなりフンパツした今年のチョコ。
「翔ちゃん。なんかいつもより、気合い入ってない?このチョコ凄く高そうなんだけど。」
「雅紀にい、北海道の大学に合格したんでしょ?だから、合格おめでとう、の気持ちも入ってるの。」
「あー、バレてたかぁ~。内緒にしときたかったんだけど…。」
『ズキッ。』胸が、痛い。
『内緒にしときたかった、だなんて、ズルいよ。』
オレは、泣きそうになった。
「ま、どうせ、うちの母ちゃんと、翔ちゃんのお母さんの二人で話してるの、聞いたんだよね。
あの二人、『内緒よ~、ここだけの話よ~。』
とか言ってさ。話し声がデカいから、全然、
内緒話じゃ、なくなるんだよね~。」
「ふふっ。そう、そう。」
「翔ちゃん。ここで立ち話もなんだから、
公園に行こうか。そこで、少し話そ?」
「う…ん。」
雅紀にいとオレは、重い足取りで、公園へと
歩きだした。
…つづく。