Side−S
期末試験が終わると、オレは雅紀と靴箱の所で待ち合わせることにした。
『夢』の中で何があったのかは、大体把握はしているのだけど…
それにしても…『側室』として、ちゃんと留守を預かってくれているのには感心したな。サトシ皇子もカズナリ皇子も、なかなかのクセ者なんだが、上手く躱してくれている。
流石はマサキだ。
「…待った?翔ちゃん」
「いや、オレも今さっき来たとこだから。それより、部活を休ませてもらえたんだ?」
「うん、今日だけ休ませてもらった。明日からはちゃんと部活に顔を出すからって、言ってきた。」
「じゃあ、二人だけの勉強会は土日ってことかな?」
「うん。9月に引退試合があるから、それまでは土日だけ翔ちゃん家か俺ん家で、泊りがけの勉強会ってことになるね?」
「じゃあ、その引退試合が終われば…」
「毎日が勉強会だね?くふふっ…」
取り敢えず、今日は期末試験を頑張った雅紀のために、オレはラーメン屋に連れて行き…
「オレが奢るよ。」って言ったのに…
「翔ちゃんに勉強を教えてもらったんだから、今日は俺が奢るんだからね?」なんて、可愛いことを言うから…
ラーメンの湯気の向こうで笑う雅紀を、また好きになっているオレに気がついて欲しいと思った。
…つづく。