Side−A


「あの…さ、雅紀。」


ラーメンを食べ終えると、翔ちゃんが話し掛けてきた。


「この後、時間ある?他に予定とか…」

「うん、ないよ?。なんで?」


「ちょっと、話したいことがあって…」

「なに?ここじゃ、話せないこと?」


「うん…まぁね?」

「それじゃあ、翔ちゃん家の方が近いけど、もしお家の人とか…」


「いや、オレん家でいい。」

「…分かった。じゃあ、お邪魔しまーす。」


俺は平気なふりをしたけど、翔ちゃんの話って、もしかしたら翔ちゃんに『カノジョ』が出来たとか…


さっきは、毎日が勉強会だって言ったけど、それはちょっと困るな、とか…


そんな話だったら、どうしよう…


胸の『ドキドキ』が止まらなくて困った。





「…あ、あの…どうぞ?」

「う…ん」


翔ちゃん家に来たっていうのに、二人とも何となくぎこちなくなってしまって…


促されるまま、リビングのソファーに座った。


「麦茶持って来るな?」

「…うん」


どこを見たらいいんだろう…



「…お待たせ」

「い…いただきます」


麦茶をひと口『ごくん』と飲んだ。ここは潔く、話を聞かなきゃ…


「話って、なに?」

「あ…あぁ、その…さ?雅紀って、『カノジョ』いないって、言ってたけど…」


「うん、今もいないよ?」

「そ…そう、か。オレも…いないんだけど」


「…うん」




『し…ん』としてしまった。


「あの…!」「あの…!」


思わず、二人とも同じタイミングで…


「翔ちゃん、言って?」

「…うん」


「話って、なに?」

「…オレ…好きなんだ」


「好き、って…?」

「その…雅紀のことが、好き…なんだ。」


「…俺も、翔ちゃんのこと、好きだよ?」

「それは…友達として、だろ?オレの…好き、っていうのは…」


「うん?なぁに?」

「玉砕覚悟で言うけど…『LIKE』じゃなくて…『LOVE』の…ほう…」


「…えっ?」

「嫌なら嫌だって、言って?」




「…嫌じゃ…ない」



「…ホント?」


「うん…」


だって、この胸の『ドキドキ』は、翔ちゃんと一緒にいたいってことだと思うから…



「雅紀…」


「…なに?翔ちゃん」


「オレと…付き合って下さい。」



「…はい」



翔ちゃんの顔が近づいてきて…


俺の唇に触れるだけのキスをした。





…つづく。