雪が降る② | たかみんの脳みそ混乱記

たかみんの脳みそ混乱記

落ち込んだり悩んだりした時間を忘れない。優しさやいたわりをもらって支えられて生きていることを忘れない。
他人に追い越されたり置いていかれても、自分なりに歩いて行こう、そうしよう。

雪は教会の十字架を 
あとかたもなく白く消しつくす

孤独と恐怖の 暗い壁を崩し
道をひらき
黒い鉄路を白く繋ぐ
合唱曲「樹氷の街」より



風徐室の中で
あわや凍死状態となっていた
二人の弟妹を 助けてくれたのは
高校から
これもまたフラフラになって帰宅した 
大きいあんちゃんだった

大きいあんちゃんは 
凍えきった弟妹を励まし
なんとか家に入ろうと
様々な努力をしてくれた

外はもはや暗闇に支配され
空から吹き付ける猛吹雪(もうふぶき)により
視界はほとんどなかった

大きいあんちゃんでさえ 
ガレージの鍵は諦めるしかなかった

そして、
大きいあんちゃんはやってくれた!!

家の1階部分まで積もった雪やまに
手探りでよじ登り 
2階の小部屋の窓を
雪かきスコップで叩き割ったのだ!!

窓を叩き割り中に入った大きいあんちゃんは
玄関にたどり着いたが 
あまりの寒さで玄関のドアが凍りついていたそうだ

風除室にいる二人の弟妹に 
「ガンバレ」と声をかけながら 
やかんで沸かしたお湯を
ドアの溝に流し掛け 
なんとか内側からのドアの開閉に成功した

ドアを開けてくれた
大きいあんちゃんに抱きついて
二人の弟妹は
わんわん泣いた

その直後の記憶は私には無い…
次の記憶が
あまりにも強烈だったからだとおもう


テメエ!コノヤロー!!
俺の家をぶっ壊しやがってなめてるのか?!
なんとか言え!このバカヤローが!!!

ものが割れる、家具がなぎ倒され、
誰かが殴られ、蹴られる…鈍い音…

反論する声は一切聞こえ無い…

夜間に帰宅した父親が
割れた窓ガラスを見て激昂し
暴れだしたのだが

大きいあんちゃんは
弟妹の為にやったとは、
絶対に言わなかったんだ

私は怖くて、
勇気が無くて、
父の前に出て行って
「大きいあんちゃんが助けてくれたんだ」と
言うことが出来ませんでした。

私は卑怯な奴でした。

大きいあんちゃん
ただただ申し訳なかった

命を助けてくれただけなのに
なぜボコボコにされてしまうのか?
その理不尽さと

父への、
そして私達を守ってくれない母への、
憎しみをつのらせてしまった…



「雪が降る 雪が降る 
雪が白く降りしきる」…

雪の日に
この歌を口ずさむ

浮かぶのは
優しいあんちゃんと
悲しい思い出

雪の日の思い出が
私の胸を締め付けるのだ