もう一つの物語り【愛染】291 | シンイLove♥魅惑の高麗ライフ

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あくまでも管理人の妄想の世界です。
ご了承の上お読みくださいませ。

 

 

 

談話室に駆け込んだ瞬間

 

「ヒィ~~ッ」

 

カンギョの裏返った声が響く

見るとジノが口を押さえているカンギョの指に噛み付いていた

カンギョが怯む隙に見事に腕から脱出

 

「何だよいきなり…兄ちゃん達相当やばい事言ってたんだな

高麗って何だよ、戻るって?テジャンって師匠のことか?

師匠がいなくなるのかよ…えっどうなんだ!」

 

「ジノ…落ち着けなんの事だ…

高麗なんて言ったか?

あっそう言えば昨日の時代劇の話しか?」

 

カンギョが何とかジノを宥めようとするが

 

「はん…俺がガキだと思ってごまかそうとしてるだろう」

 

するとトクマンが

 

「お前偉そうに言ってるけどガキだろう

ガキが大人の話しに口出しするな…生意気だろう」

 

するとジノは間髪入れずトクマンの脛をキック

痛さでピョンピョンと跳ねまわるトクマン

 

「先手必勝だい…

師匠が言ったんだ、相手が油断してるなら先制攻撃しろって

俺は師匠の一番弟子だからな」

 

ふふんと鼻を鳴らすジノ

 

「って言うかお前幾つだよ…」

 

トクマンは痛む脛を摩りながらジノを見る

 

「俺はキム・ジノ…9歳だ」

 

「わかったから、お前もう寝ろ

とっくに就寝時間過ぎてるだろう」

 

テマンがジノを談話室から出そうとするが

ジノは頑として動こうとしない

 

「まだ俺の質問に何も答えてない

兄ちゃん達は何処か行くのか?高麗って…

昔の時代の名前だろう…ええ~っと???

ん?昔の時代になんて行けるのか???」

 

「ほらな、わからないだろう…

これは大人の話しだから気にしないで寝ろ

部屋まで送ってやるから」

 

カンギョに付き添われ談話室を出ていく頃には

ジノは頭の中が混乱していた

 

「あいつ、テジャンに言うんじゃないのか?」

 

トクマンが不安げに呟くとテマンは呆れたように

 

「お前な…気をつけろよ

ジノはテジャン命なんだ、あいつ傷つけたら

テジャンは相当だぞ、考えただけでも恐ろしいわ」

 

10分程でカンギョが戻って来た

 

「どうだった?」

 

急かすように訊くトクマンとテマン

 

「あれからは一言も話さずに寝たから

一晩眠れば忘れるだろう、週末には俺もマンションに帰る」

 

結局三人は用意していたビールも飲まずに解散した

一方ヨンとウンスは無事にマンションに戻っていた

マンションに戻った翌日、ヨンはアジンを病院に訪ねていた

 

「珍しいですね、チェ・ヨンさんが来るなんて」

 

「時間を取らせて済まん、相談があって来たのだが」

 

「チェ・ヨンさんが僕にですか?」

 

少し驚いたようなアジン

違う時代から来てさぞかし困り事も多いだろう

そう思っていたが

まあユ・ウンスという存在があるとしても

それでも驚くほどの努力で一切弱みなど見せて来なかった

そのチェ・ヨンが相談したいというのだ

 

「先ずはうかがいましょう」

 

チェ・ヨンの前にコーヒーを置くと

アジンもチェ・ヨンの対面に座る

 

「どうしても高麗に持って行きたいものがあるのだ」

 

「何でしょう?現代のものですか?」

 

ヨンは一通りアジンに説明した後スマホの画面を見せた

「同じ物を用意できるか?」

 

アジンはしばらく画面を眺めると

 

「同じ物は用意で来ます

これは何処にでも売っている一般的なものですから

勿論記名も同じにできますが…

中身だけにされては如何ですか

これごととなるとかなり嵩高くなりますよ

ところでユ先生はご存知なのですか?」

 

ヨンは首を横に振る

 

「無事に高麗に着いた折に話そうと思っている

途中何が起きるかわからんのでな

心残りをなくしてやりたいのだ」

 

そう言うとヨンは一つ息を吐いた