マティスと天気予報 | My life is too absurd to be taken seriously.

マティスと天気予報

前夜にビストロで購入したビオワインを彼の家で飲むことに。
仕事帰りに成城でチーズとソーセージを入手。

玄関先でシャンパンを渡されキス。
演出がにくいっ・・・
昨夜は仕立ての良いシルバーグレイのスーツにアルマーニのストールがすてきだった。
今夜は赤紫のコーデュロイパンツにゆったりしたブラウンニット、濃い赤の眼鏡が彼にセンス良く似合っていて部屋着も素敵。

趣味のマティスの絵を何枚か観せてもらいながら、
二人が好きなジャズを聴く。
美しい物達に囲まれた時間。
夜が深まるにつれ空気が濃密になり、
とんでもなく幸福感で満たされていく。
たまらなくとろける。

名残惜しい朝を迎えて、
彼が淹れてくれたコーヒーを飲み、
彼が選局した建築番組を二人で見た。

もうひとりの彼とのデート時間が迫り、
帰宅しようとソファから腰をあげたら
テレビで天気予報が始まった。
すると彼は私の手首を掴み、留めた。
"その日の天気の確認は、お洒落の基本だよ。
見てから行きなさい。"

一緒にいる時間の最後まで、ぬかりなく痺れさせられた。