Q&A1626 33週で出産するも生後20日で死亡 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 妻40歳、夫39歳

①38歳 採卵10個に体外受精し3個受精し1個凍結

 凍結胚移植→陰性

②39歳ショート法 採卵10個に顕微受精し6個凍結

 凍結胚移植→子宮外妊娠

 凍結胚移植(4BC+4CB)→妊娠

慢性蕁麻疹により移植1週間前までアレジオン服用。移植2日後より我慢できずポララミンを1日3錠服用、減量しながら出産まで服用。10週より酸化マグネシウムを調節しながら出産まで服用。12週、糖負荷検査に引っかかり19週よりインスリン使用。32週、突然、胎児の胸水と腹水を指摘される。33週5日、緊急帝王切開にて出産。標準型21トリソミーの合併症多数。類白血病による多臓器不全(主に肝臓、腎臓)にて生後20日で死亡。

Q1 ダウン症の発生、合併症の発生 悪化に服薬や妊娠糖尿病は関係しているのか 

Q2 同時期に採卵した凍結胚に同じ異常がある可能性(夫婦染色体異常なし)

Q3 LA 1.13、プロテインS活性 57%、妊娠成立後からアスピリンのみ勧められているがヘパリンの必要性はあるか(今回の出産について不育症は関係ないと言われている)

A 

A1 ダウン症はもともと受精卵の染色体が21トリソミーですので、受精の段階で既に運命が決まっています。移植後の服薬や妊娠糖尿病は関係ないと考えます。症状の程度が人により異なる理由は明らかになっていません。

A2 全ての卵子、受精卵は独立したものですので、均等な確率で異常が生じます。したがって、同時期に採卵した凍結胚全てに同じ異常が見られることはありません。

A3 確かに、ダウン症は不育とは関係ありません。しかし、プロテインS活性が低いので、ご希望があればヘパリンを使用します。