Q&A1827 40歳、第2子希望 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 2015年より妊娠治療開始
A病院:胚盤胞まで育てて、移植を3回するも全て陰性(うち1回、BT6でhCG 0.3)
B病院:38歳、新鮮分割胚(8分割)をホルモン補充で移植、陽性、2017年出産。

現在、40歳、第2子希望。B病院に8分割1個と胚盤胞2個凍結あり
先日B病院へ第2子の治療で行ったところ、帝王切開痕が薄く妊娠時は要経過観察と、もし卵管が詰まっていたら分割胚は戻せないと説明されました。

Q1 帝王切開痕は厚くなることはないのでしょうか。
Q2 胚盤胞ではなかなか妊娠できないため、第1子の時と同じように8分割の胚を先に移植したいのですが、卵管詰まりの場合8分割の胚は破棄するしかないのでしょうか。私自身胚盤胞では、結果がでないと思っており不安です。

 

A 

A1 帝王切開瘢痕部がどの程度なのかについては診察してみないとわかりませんが、セカンドオピニオンを受けてみられることをお勧めします。なお、帝王切開瘢痕部は無治療で良くなることはありません。

A2 「もし卵管が詰まっていたら分割胚は戻せない」という考えをお持ちの医師がおられることに、私は言われようもない失望感を抱きます。卵管回帰説を信じておられるのでしょうが、それは完全なる間違いです。卵管がない方は胚盤胞でないと妊娠できないという卵管回帰説には、きちんとした根拠がありません。そもそも体外受精は、卵管に問題がある方(卵管閉塞、卵管摘出など)の治療として1978年に登場しました。その後十数年は胚盤胞に発育させる技術がなく全て分割胚でした。つまり、卵管の摘出、閉塞、狭窄の場合に、分割胚で十分妊娠できることになります。ひとつのクリニックでの経験しかない方には、すでに常識のようにインプットされてしまっていることが、実は誤りであることがしばしばあります。そのような意味からも、一度違った目線から見てみる必要があると思います。これまでの経過により、やはり初期胚移植からトライしたいですので、卵管が詰まっていた場合には転院をお勧めします。

 

下記の記事を参照してください。

2015.10.31「Q&A871 卵管回帰説を信じた結果

 

なお、このQ&Aは、約4〜5ヶ月前の質問にお答えしております。