本論文は、妊娠中の赤ちゃんの発育は妊娠方法で異なることを示唆しています。
Fertil Steril 2018; 110: 1109(フランス)doi: 10.1016/j.fertnstert.2018.06.030
要約:2010〜2015年に単胎妊娠された方560名(新鮮胚移植の体外受精96名、新鮮胚移植の顕微授精210名、凍結胚移植121名、人工授精133名)を対象に、T1=妊娠11〜13週のCRL(頭臀長)、T2=妊娠21〜23週のEFBW(推定体重)、T3=妊娠31〜33週のEFBW、BW=出生時体重を後方視的に検討しました。なお、比較対象の基準値として、T1はPapageorghiouを、T2とT3はEgo M2を用いました。結果は下記の通り(基準値との比較で有意差の見られた項目を赤字表示)。
新鮮胚移植 凍結胚移植 人工授精
体外受精 顕微授精
T1 +0.30 +0.27 +0.42 +0.29
T2 +0.52 +0.56 +0.75 +0.59
T3 +0.02 +0.04 +0.24 +0.04
BW -0.26 -0.30 +0.18 -0.27
解説:本論文は、妊娠中の赤ちゃんの発育は妊娠方法で異なることを示した初めての報告です。特に重要なポイントは、T1(妊娠初期)およびT2(妊娠中期)共にART(体外受精、顕微授精、凍結胚移植)もIUI(人工授精)も成長が早いのですが、T3(妊娠後期)およびBW(出生時)での成長は凍結胚移植を除いて失速してしまうことです。このような現象の存在は、凍結操作や薬剤の使い方によって胎盤形成の状況が異なる可能性を示唆します。おそらく、エピジェネティック的な関与があるのではないかと推察します。大変興味深い報告です。