Q&A2041 何を信じていいのかわかりません | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 41歳で結婚
41歳1ヶ月、自然妊娠→9W稽留流産
41歳6ヶ月、自然妊娠→10W稽留流産

掻爬手術をした産科では「2回流産が続いたけれども年齢による偶然、次に妊娠したらアスピリン」と言われ、保険適用内の不育症検査を受けましたが問題なし(流産手術後2週間の採血です)。胎児の染色体検査も「知っても仕方ないでしょう」と言われました。年齢の事もあるのでその後不妊治療専門医院に相談に行ったところ、まだ最初の生理が来ていないので何もできないと言われました。「流産手術後2週間の不育症検査はホルモンが整っていないのでムダ、流産2回は年齢的に偶然、アスピリンなんてムダ(学会で否定されている?)」と言われました。不育症検査も必要ないと。一方、不妊カウンセラーの友人には不育症検査を勧められました。

もう何を信じて良いのかわかりません。ブログを拝見すると、バイアスピリンやヘパリンなどの不育症治療は普通だと思っていたので、専門医に否定されて何が何やら…。次こそは自然でも、体外受精ででも出産まで行きたいです。私が今できることは何でしょうか。

 

A この領域には確定していないことが多々ありますので、様々な考え方があります。したがって、どの医師の意見も一理あり、正しいとも間違っているとも言えないのが真実です。

まず、不育症の定義ですが、米国は流産2回以上、欧州は流産と化学流産合わせて3回以上です。これは年齢を問いません。したがって、現状でも米国の流産の定義を満たしています。

次に、この領域は進歩が早いので、毎年新しい検査が登場し古い検査が無くなっています。つまりアップデートが必要です。新しい検査は当然保険適応外です。保険適応の検査だけでは、ほとんど引っかからないのが現状です。

海外のPGT-Aのデータから、41歳での受精卵の染色体異常率は68%(2016.8.9「☆女性の年齢別染色体異常頻度 その2」の記事を参照)ですので、もし2回とも染色体異常でしたら染色体異常率が通常よりも高いことになります。そう考えるよりも、不育の可能性を考え、出来る限りの検査をする方が建設的だと思います。

検査の時期については、確かにhCGが陰性化してから行なうのが望ましいと思います。不育検査の判断基準には「妊娠していない時期」いう条件があるからです。しかし、その後の治療を急いでいる場合は、一部不正確になる可能性を考慮しつつその部分を加味した評価をすることも考えて良いと思います。

 

なお、このQ&Aは、約3ヶ月前の質問にお答えしております。