嬉しい報告:藁にもすがる思いでした | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

2017.10.13「Q&A1609 もう他に何も出来ないのでしょうか?」でお返事を頂きました。
化学流産の判定があったあの日、路頭に迷い、藁にもすがる思いで先生にご相談した者です。

リプロ東京にてオプション検査を受けたところ、慢性子宮内膜炎検査、子宮収縮検査、ビタミンD検査が引っかかったため治療をしました。治療後はすぐにでも移植したかったのですが、今度は生理の状態が安定せず、Bクリニックに相談するも投薬のみで状況は変わらず。問題はないので移植に進めると言われましたが納得できず、数回見送りました。その後再びリプロに相談し、ようやく生理が安定したのは4か月後でした。

最後の移植は後悔したくないという気持ちは変わらず、どんな結果になろうともとにかく納得のいく形で進めようという思いがありました。残りの胚盤胞はもうありませんので、先回妊娠判定のあった2段階移植は諦め、代わりになったかどうかは判りませんが、スクラッチをする事にしました。そしてようやく移植出来たのは2018年10月です。移植後はこれと言った症状もありませんでした。もうこれ以上傷付くのが怖くて、今後の夫婦2人の生活を具体的に考え始めていました。そして、判定日は主人に宥められながら病院へ行きました。

信じられない事に、再び陽性判定が出ました。ですがやはり自分の身体が信じられず、毎回ドキドキしながらの受診でした。後期まではとても手放して喜べる妊娠生活ではなかったのですが、結局出産まで母子共に問題はありませんでした。そして2019年、逆子のため3週間早く3000gの女児を帝王切開で出産しました。

誰もが希望を持ち、時に心をすり減らしながら、後に命になるかも知れない大切な胚を時間とお金をかけて預けています。しかし病院によっては、意味もなく同じ治療をを繰り返したり大変な問題を問題とせず流してしまう可能性がある。先生が仰っていた手詰まり感が否めないという言葉は、身を持って納得することができました。
同時に、誰もがどこへ通院しても平等な医療が受けられる世の中になったらと感じた数年間でした。

リプロに通った数ヶ月間、何度か松林先生に診て頂きました。先生はいつもお忙しそうでしたが、こちらの質問に驚く程的確に判り易く答えてくださいました。そしてどの先生もいつも他に質問はありますかと尋ねてくださる。これ程心強かったことはこれまでにありませんでした。あの時、松林先生のアドバイスがなかったら我が子を抱くことはなかったかも知れません。もうすぐ1歳2か月になる娘との毎日が嬉しく幸せです。先生、お忙しいとは存じますがどうぞご自愛ください。本当に本当にありがとうございました。

コメント:Q&A1609と本文を拝見して、私たちの治療方針が間違っていないことを再認識いたしました。本当に嬉しい報告をありがとうございます。