FIFA ワールドカップカタール大会

 

いんやー見た。

今回のW杯はたぶん一番見たと思う。

時間帯としては正直厳しいものだったけど、その分寝る時間を削りさえすれば見れる。

これが仕事中とかだったら物理的に不可能なんで、その意味では体的に無理した。

 

ベスト8は、日本以外は予選リーグトップ通過のチーム。

これ、たしか前回大会は全チーム予選リーグトップ通過だった気がする。

その意味でもくやしい。

 

※ツイッターでフォローしている千田さんのイラストをお借りしました

 

4決めのオランダ-アルゼンチンが揉めた。

試合が荒れに荒れて、レフェリーがコントロールできず、後味の悪いものになった。

後半ラストプレー同点の場面、FKでトリックを使ったオランダには鳥肌がたったが、PK戦の末にアルゼンチンが抜けた。

メッシがオランダベンチのファンハール監督に向かって言葉を浴びせる。

試合後のインタビューでも相当荒れた。

 

日本をPK戦の末下したクロアチアは、返す刀でブラジルをもPKで葬った。

延長までスコアレスでネイマールが先制したときはさすがにブラジル勝利を確信したが、モドリッチの目は死んでいなかった。

土壇場で同点に追いつき、PK戦でリバコビッチが仁王立ち。

 

フランス-イングランドはハリーケインが2本目のPKを外して万事休す。

フランスは正直危なげなく、強い。

 

最もサプライズだったのは最後のブロック。

スペイン、ポルトガルを無失点で退けたモロッコが4に上がってきた。

 

4は、

アルゼンチン

クロアチア

フランス

モロッコ

 

アルゼンチンが初戦サウジに負けたとき、1位通過をほぼ諦めた。

もし2位抜けということになると、隣のグループのフランスが1位で抜ければ、16で当たっていまう。

これは避けたかった。

しかしアルゼンチンは続く2試合を勝ち、グループ首位で抜けた。

 

今大会はアルゼンチンとフランスの決勝でしょう。

最後のメッシと超人エムバペでしょう。

それが一番おもしろい。

戦前からそう思っていた。

 

アルゼンチンはクロアチアを危なげなく下す。

フランスもモロッコをねじ伏せる。

 

ついに実現した。

っていうか予想通りの決勝というのが気持ちいい。

 

2022年12月19日0:00

決勝キックオフ

 

フランスがおかしい。

この中間、風邪をひいた選手がいたとか報道されていたのは知ってる。

しかし、どうも理由はそれだけではない。

それまでキーマンとして躍動していたグリーズマンがボールに触れない。

アルゼンチンが完全に対策を練っている。

心臓部を抑えられると、こうもチームは機能しないものか。

 

思えば、準決のクロアチアのモドリッチにも仕事を自由にさせなかった。

単にマンマークに付けばいいということじゃない。

彼らは縦横無尽にピッチを移動するので、マーカーをつけると守備体形が崩れてスペースを生んでしまう。受け側でなくFWがパスコースを消し、ボールを入れさせない。

 

日本では前田大然がやった役割。

アルゼンチンのそれは見事だった、

 

メッシが守りで動かないぶん、9番のフリアンアルバレスの運動量と牽制はそれはそれは献身的だった。

 

それと、ディマリア。

前回大会のこのカードでの左足ゴラッソはまだ憶えてる。

今大会はしばらく怪我で出ていなかったけど、この決勝にスタメンで出てきた。

試合序盤はこのディマリア劇場。

 

先制のメッシのPKはディマリアがゲットしたもの。

2点目のカウンターを成就させたのがディマリアのロングスパートだった。

 

その2点目。

斜めにグラウンダーで入ってくるボール。

完全にドフリーだけど、詰めてくるキーパー。

シュートコースが狭くなる中・・

 

あ。

これは・・!

 

ダイレクトで左インサイドでシュート。

ボールの上を叩き、わざとバウンドして浮かせ、横になったキーパーの上を越える弾道。

あれだよ。ドイツのエジルのやつ。

それをトップスピードであの瞬間にやる?

 

普通に浮かそうとすると、ちょっと下に入るとふかしてしまう。

だけどバウンドさせればふかさずに浮かせる。

 

っていうけどさぁ。

上叩きすぎるとただのゴロになるよ?

難しいって。

相当練習して自信がないとあんな場面でできないよ。

 

そんな技ありのディマリアの追加点。

アルゼンチンが2-0で前半を折り返す。

フランスは1本のシュートも打てず。

 

一方的アルゼンチンペース。

デシャン監督は41分というタイミングで、ジルーとデンベレを下げるという奇策に。

それでも正直展開は変わらずハーフタイムへ。

 

どうしたフランス。

正直元気がないように見える。

前半ほとんどエムバペにボールが渡っていない。

 

後半も同じ感じでゆるゆると過ぎていく。

正直もう、ここで寝ようかと思った。勝負あったでしょう。

ただ、メッシがワールドカップを掲げるところはリアルタイムで見たい。

起きている理由をそこに定め、残り時間を過ごそうと決めた。

 

しかし。

そうじゃなくなった。

 

71分、なんでもないロストからのフィードでフランスがチャンスを得る。

裏に抜け出したところにDFが追いつく。

接触。PK。

 

PK!?

マジ?

 

ほんとにそれまでなんにもなかったのに。

こんなんで入っちゃったら雰囲気変わっちゃうな・・

 

キッカーはエムバペ。

オーラが凄い。

レフェリーの笛を急かすように、早く蹴りたい雰囲気を出す。

 

ああ、こりゃ入るな。

 

レフェリーが笛を吹くやいなや、短い助走から弾丸シュート。

キーパー飛ぶも、手をかすめてネットを揺らす。

 

エムバペはすぐにボールを取りに行く。

フランスイレブン、これで息を吹き返す。

 

「2-0は危険なスコア」

これがまさに発動した。

 

一気に青いユニの選手が増えたように見えたくらい違う。

アルゼンチンがボールを回すも、フランスのプレッシャーが一気に変わった。

かいくぐりながらメッシに預ける。

 

メッシがボールを持ってる時は、アルゼンチン陣形は守りモードではない。

その状態でメッシがフィジカルの差でボールを奪われると一気にピンチになる。

それが発動してしまった。

 

奪われたボールが前残りのFWに送られる。

左サイドのエムバペが一度中に出し、浮き球ワンツーでスペースに走り込む。

守りモードであれば、そこにいるはずのDFが戻れていない。

エムバペ、ドフリーで落ちてきたボールを右足シュート。

 

 

これだって簡単じゃない。

上から落ちてくるボールをジャストミートして地を這う弾道でゴールに突き刺した。

 

フランス同点!

うわーマジか。

 

メッシのロストでなければ、このやられ方はなかった。

アルゼンチンの落胆は大きい。逆にフランスは完全に息を吹き返した。

 

残り時間10分あまり。

ゲームの様相が一気に変わり、フランスは別チームになった。

 

90分タイムアップ。

同点、延長戦に突入。

 

両監督とも交代枠はこの終盤まで使い切らず、フレッシュな選手を用意していた。

最初から出てる選手との動きのキレは明らかに違う。

 

しかし、一人だけ例外がいた。

超人エムパペは、まるで延長から出てきたかのようなキレキレの動きをみせる。

前に残り、ボールが入れば何をするかわからないという恐怖を常に与え続ける。

 

延長後半

入ってきたばかりのラウタロマルティネスにチャンスが来る。

しかし今大会のラウタロはどうも持っていない。

シュートは枠を外れるも、アルゼンチンの選手では一番フレッシュな状態。

このあともラウタロにチャンスが来る。

 

メッシから右サイドを走るラウタロに絶妙のラストパスが出る。

フランスDFもメッシに対峙したため、ラウタロがどフリーに。

(オフサイド・・か・・?)

 

今度は枠内に弾丸シュート。

しかしキーパー正面で弾かれる。

 

そのボールが詰めてきたメッシの前に。

メッシ、右足で押し込む。

フランスDFがクリアするも、その場所はゴールの中だった。

 

副審が旗を上げている。

 

やっぱり・・。

ラウタロ、ホントにもってないな。

 

しかし。

主審は自信満々でセンターサークルを指している。

 

え?ホントに?

 

主審がVARと更新してる素振りもなく、アルゼンチンイレブンの歓喜は続く。

しばらくしてリプレイが流された。

ギリギリ残っている・・!

 

ってことは?

アルゼンチン勝ち越し!

メッシ、今日2ゴール!

 

さすがにこれで決まったか。

残り時間でフランスが点を取るとしたらエムバペの超人プレーが発動するしかない。

だけどさすがにアルゼンチンもそうはさせないはず。

そこにボールを入れさせなければいい。

 

もうフランスもエムバペの左サイドを諦め、多少手薄になった右サイドを使う。

そこで得た右からのCK。

クリアされたボールが左に飛ぶ。

 

落下地点には・・

 

エムバペだ!

 

ゴール前で競らないのか君は。

なぜそこにいる?

 

ペナの角から中央に持ち出し、シュート体勢に。

しかし前にはたくさんの両チームの選手が壁になっている。

そこに向かって強烈なシュート。

 

これが・・

 

なんとアルゼンチンDFの手に当たるという・・

 

PK。

 

マジかよ・・。

 

キッカーはもちろんエムバペ。

今日二度目のPKを蹴る。

 

さっきと同じ左隅にズドン!

かけひきなし。

 

同点!

 

しかしこの選手にはプレッシャーとかないのか?

緊張とか疲れとか、そんなのをすべて超越しているのか?

サイボーグなのか?

 

このあとの時間、両チーム撃ち合い。

いつゴールが生まれてもおかしくない乱打戦。

しかし、サッカーの神様はスコアでの決着を選択しなかった。

 

120分タイムアップ。

勝負はPK戦へ。

 

しかし今大会はPK戦のドラマが多いな・・

今年の神様はPK好きなのか?

 

フランス先攻

キッカーは・・エムバペが歩いてきた。

 

思わず笑ってしまった。

蹴るだろうとは思っていたよ。しかし1人目かよ。

数分前に蹴ったばかりだろ。

なんと3度目も同じコース。

キーパーのプライドを傷つけにいった。そんなように見えた弾丸シュート。

1本めと同じように手をかすめながらスピードとパワーでぶち抜く。

 

後攻のアルゼンチン

1人目は・・おおいメッシかよ。

 

また笑ってしまった。

この場面、メッシでてくるのかよ。

前半20分に決めたPKはもう遠い昔のようだけど、キーパーをあざ笑うコロコロPK。

エムバペのそれとは全く違う。

 

緊張の一瞬。

しかしメッシは前半のキックよりもさらに遅い、ゴロのボールを難なく流し込む。

写真で見ても、インパクトの瞬間ボールを見ていない。

フランスのキーパーが逆をとられても、さらに取りに行こうと思えるほど遅いボール。

これもある意味プライド傷つけるやつだな・・。

 

2人目

アルゼンチンのキーパーは傍若無人だった。

エムバペに3本ぶち抜かれたのはもう終わったこと。

そんなの関係ねぇ。

止める。踊る。

 

ここで雰囲気はアルゼンチンに。

結局アルゼンチンは全員決め、フランスは2人外した。

 

そしてついに。

アルゼンチンに36年ぶりの歓喜の瞬間が。

メッシおめでとう。

ホントに良かったね。

個人タイトルもチームタイトルもすべて総なめにしてきた。

コパ・アメリカとこのW杯、代表チームでのタイトルが唯一足りなかった。

 

アルゼンチンの英雄マラドーナ。

2年前亡くなった時は、極東のJリーグでもキックオフ前に黙祷が捧げられた。

そのマラドーナと常に比較され、このW杯を掲げないと追いつかないという、最後のタイトルだった。

35歳のメッシは、この大会でW杯は最後になるだろうと公言した。

本当にラストチャンス。

フィジカルとスピードの衰えは、それはしょうがない。

 

だけど、それ以上に常にプレッシャーの中で生きてきた「経験」は大きい。

積み上げてきたプレー選択の引き出しは無限大にあるようにみえる。

引き付けて味方を使うタメ、かと思えば一人で突破する。

次に何を見せてくれるのか、ワクワクする。

 

あと、何よりチームメイトからの信頼度合い、敬服度合いが半端ない。

今の代表戦士たちは、メッシにあこがれてサッカーを始めた若者ばかりなのだから。

 

それを示す、1枚のイラストを。

なんだろこの、涙が出てくる感じ。

アルゼンチン代表に選ばれるくらいの選手だから、かなり狭き門を切り開いてきた荒くれ者達であるのは、顔つきを見ていてもわかる。

 

だけども全員から「メッシのためであれば死ねる」的な何かを感じる。

今大会のアルゼンチンはこれが強さだったんじゃないか。

長い間、盟友アグエロとともにアルゼンチン代表を支えてきた。

そのアグエロに肩車され、ワールドカップを掲げるメッシ。

 

アグエロが代表を退く前は、若手の頃からずっと2人は同部屋だった。

アグエロがいなくなってからは、メッシはずっと一人部屋。

しかしこの前日はアグエロが同じ部屋に泊まってW杯決勝を迎えたらしい。

 

いいねぇこういう裏話。

 

最高にかっこいいよ。メッシ。

突出したスターなのに、ずっと謙虚にいられるその佇まい。

もはやアルゼンチンだけでなく世界中の人が応援する「神の子」。

 

スラム街育ちのマラドーナの危なっかしい感じと比べると、貧困層の多いアルゼンチン人にはメッシはどこか大人しくて物足りないキャラでもあり、叩かれた時期もあった。

マラドーナにはW杯を獲らないと並べない。そう言われ続けた16年間。

5回目の挑戦、それも最後に成し遂げた。

もうもはや「神の子」ではない。「神」と呼ばれていい。

 

リオネル・メッシ バロンドール7回

 

<主なW杯個人記録>

W杯最長出場時間 2217分

W杯最多出場試合数 26

GS,16,8、準決、決勝全てでゴールは史上初

 

<チームタイトル>

ラ・リーガ 10回

コパ・デル・レイ 7回

チャンピオンズリーグ 4回

スペイン・スーパーカップ 8回

UEFAスーパーカップ 3回

クラブワールドカップ 3回

リーグ・アン 1回

コパ・アメリカ 1回

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こんな選手、もう出てこないんじゃない?