自然栽培の難しさと可能性 | 無農薬•無肥料•自然栽培 めぐみ農場

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農場の気まぐれなブログです。

今年の新玉ねぎ、玉が大きいです。

温暖な天候が続き他作物も冬~春作の農産物は
全体的に収量が上がるのではないでしょうか。

有機栽培をやっている方で2月にもう新玉ねぎが採れ始めたということです。
自然栽培はまだ小さかったようですが、やはり自然栽培は肥料栽培より成りが若干遅くなるようです。

ここで自然栽培の難しさと可能性を考えてみましょう。
私は農業をはじめて5年目に突入しました。

それも自然栽培からはじめて今も自然栽培です。
絶対無理という周囲の声もそれなりにありました。

一緒に活動をしていた仲間達も表では自然栽培は推奨しても
奥底では難しい、無理目、という心境を醸し出していました。

携わっている方でも自然栽培は難しい、成らない、と奥底では感じている方も多いかもしれません。

でもこれはすごく当たり前のことで前例がほとんどない事柄に
無条件に肯定し続ける、ということは大変困難なことです。

しかし前例があることを否定することは広がる可能性を封鎖してしまいます。
現段階ではほとんど前例がないのでそれは特別扱いしとして可能性の外に追いやられてしまいます。

私の出荷先は業者様との直接取引となります。
少量ではありますが一般の方にも直売しています。

自然栽培の専門店、流通業者があちらこちらで増えているようです。
ということは消費者の需要と生産者もそれなりに存在しているということです。

こういった生の情報から読み取れることは
自然栽培は生産可能であり需要がある。
ということです。

自然栽培は無理、難しい、という言葉を集約してしまえば
『採算が合うかどうか』
ということになります。

ここに行き着きます。

そして頭でどうシュミレーションをしてもはじめのうちは
採算が合わなければ見込みすら感じられない
という答えになります。

賢い方ならなおさらそうなります。

では現段階で自然栽培で生産をしている方の状況はどうなっているのか。
これは生産者ひとりひとりに聞いて歩かないと分かりません。
知らない人が聞いても教えてはくれないでしょう。

現に生産し続けているとうことは成り立っているとうことです。
そのからくりは外から見ただけでは分かりません。
私のように当事者になって予想がつくようになります。

予想といっても憶測にすぎませんが
それを幾つか述べてみます。
まずは私が実際にコンタクトしたことがある方達の実例です。

1 慣行栽培、有機栽培と併用して自然栽培をしている
スタンダード、という言葉は当てはまるか分かりませんが
これが王道かもしれません。結局ものが出来なければ換金出来る商品がありません。
まずは確実に成る方法で生計をたて失敗しても大丈夫な範囲で自然栽培に着手していく。
私が色々と拝見させて頂いた農家の方々ではこれがほとんどでした。

2 他の仕事をしている
収入源を他から得ているということです。
農家のレベルまでいかくても兼業農家みたいに本業の仕事をしながら
自然栽培を実践している方々です。これは確実に心の安心感を得られますし
無理のない範囲内で継続が可能です。しかし本業ではないのである一定のレベルから
上にいくことは難しいような気もします。
本業とはその仕事からの収入で事業と生活が成り立った時点ではじめて言えます。
バイトをしながら栽培されている方もこれに当てはまります。
自然栽培農家(本業収入)で成り立って他の仕事からの収入がある方は当てはまりません。

3 他の事業と組み合わせている
農業といってもただ農産物を生産するだけではありません。
何らかの事業と組み合わせて自然栽培を可能にしている所もありました。
当農場も初期はイベントを常にやったり、飲食店営業許可などを取得して
農産物の販売以外の収入源を得ていました。
うまく他の事業を組み合わせることで農業をしながら別柱の収入源を得ることが可能になります。
ここでは具体的な組み合わせの他業種には触れませんがこれは以外と存在します。
2は農業とは全く関係のない仕事で収入を得るのに対し、これは組み合わせなのでやり方次第で
うまくいけば農業が拡大して永続可能なやり方の一つとなります。

4 スポンサーがいる
実例としてありますので上げておきます。
面倒をみてくれる余裕のある方のおかげで成り立っている形です。
もしそのスポンサーが別業種の会社であれば社員に近い形となります。
経済的なことは面倒みるから好きにやってくれ!そんな話ないようで実際あります。
2の別事業がある方が農業にも参入してスタッフを雇っていればこに当てはまるような気もしますが
あくまでも自分主体で農業をしているのがこれです。オーナーが別にいる、ということになります。


5 2と4の組み合わせ

オーナーが共同事業で立ち上げてスタッフを雇い農場を運営しているケースです。


6 なんとか周囲の協力も元やれている
首の皮一枚でなんとか続けられているのが特徴です。かなり不安定でゆとりもなく
先行き不安の方が大きいので本人に全てかかっている状態です。
私がこれに当てはまります。本当にありがたい限りでございます。
厳密にはまず2から入り3になり今は農産物の生産と販売のみです。
運良く給付金対象者としてのおかげもあり何とか死なずに済んでいます。
ある程度の規模でやりますと色々と出て行く金額が大きくまだまだ余裕はありません。

7 完全に自然栽培の農産物のみで経営が成り立っている
自然栽培を成功させた人たちです。本当に少数ですが木村秋則さん以外にも実在します。
私の知る範囲では慣行栽培、有機栽培からの転換で自然栽培に移行し棘の道を突き進み実現された方です。

※話で聞いた実例ですが脱サラして自然栽培1年目で1千万の売り上げを成した方も
いらっしゃるようです。話だけなので実際会ってみないと分からない所ですが
これが本当だとしたらものすごい実例の一つになります。
路地野菜の慣行農業でも1年目は中々の数字です。


以上自然栽培農家の成り立ち具合を偉そうに綴らせて頂きました。
今自然栽培をされている方々はこれのどれかに当てはまるのではないのでしょうか?


全くもって簡単ではありませんが、絶対無理!と言い切るにはまだ早い、
可能性を追求し続けるには十二分にやりがいのある自然栽培農家という職業です。