視えない力によって守られた日本列島は、ディズニーランドのように外界と遮断されたウソの世界ではないか、と思う。


猪瀬直樹 『小論文の書き方』より


異国に関する理解など、そう簡単にできるわけがない。

おおかた、いずれの国も人々の多くは、異国に関しては偏見、誤解だらけだ。

だからこそ、国だの、民族だのの名のもとに、したり顔、知らぬが仏顔で集結していられる。

おめおめと手前味噌に徹することが出来、賞讃仕様の形容詞を比較級、最上級に変化させ、敵対する国よりはましと多寡くくり、我こそは世界で一番とうぬぼれるのである。

《極東ディズニーランド》の人々の多くが、Gらも氏に象徴されるような、伊太利幻想に心底酔いしれていたって、それは無理もないお話、可愛いもんである。

けれども、半可通が禍してか、伊太利各地のその筋の人々が“マフィア”と一括りにされて、大鉈で丸太棒を切断するように語られてしまっていたりすると、こそば痒さがしばしば度を過ぎる。

《<マフィア>依然強い影響力 イタリア最大の企業に?》という見出しの『毎日JP』の記事などは、見事なまでに、外電そのまま垂れ流しの典型で、本当に恐れ入った。

極東ならではの補足説明があってしかるべきなのにねえ。

いやいや、極東独自のものが発刊されるべきなのに、『National geographic』も『Vogue』もその他諸々も、安直に日本語に置き換えるだけで、乙に取り澄まそうとするお国柄なのだから、目くじら立てたところで、どうなるものでもない。


極私的現地踏査によれば、伊太利のその筋の組織は“北の家族”じゃなくて、“おらほの家族”型では生きながらえることが困難なようで、構成員も多様化し、ヘテログロッサといってよいものか、多国籍軍化しつつあるようだ。

また、既存のコルシカ出自のその筋の組織「ミリュー」、ナポリの「カモッラ(Camorra)」、カラブリアの「ヌドランゲタ(Ndrangheta)」、プーリャの「サクラ・コロンナ・ウニータ」、ローマの「シカーリ」などに加えて、アルバニア系はもとより、バングラディシュ、インド、パキスタン、マグリブ、西アフリカ、ルーマニア、ロシア、支那系の組織も跳梁跋扈しているようである。

翻ってみれば、極東も、支那、コリア系のみならず、西アフリカ系の人々が幅をきかせ始めたと聞くし、少子、高齢化がさらに進めば、移民の流入絶対阻止の了見など雲散無消、形振り構っていられなくなり、早晩、その筋の人々もさらに多国籍化するのではなかろうか。

というのが、私の井崎脩五郎以上にあてにならない極東近未来予想のひとつである。



Rubare Alla Mafia E’ Un Suicidio [12 inch Analog]/Bobby Womack

¥2,640
Amazon.co.jp

Gabinety/Mafia

¥10,581
Amazon.co.jp

イタリア・マフィア (ちくま新書 647)/シルヴィオ・ピエルサンティ

¥756
Amazon.co.jp

世界のマフィア―越境犯罪組織の現況と見通し/ティエリ クルタン

¥2,940
Amazon.co.jp

ヤクザから「狂犬」とよばれた男―日本初のマフィア組織「銀総会」元総長・回顧録/三武狼

¥1,365
Amazon.co.jp