ミルコのひかり/クリスティアーノ・ボルトーネ

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EU圏の高速道は、大方無料だから、いちびると、漂泊エトランゼの身の上もうち忘れ、何処迄も走って行ってしまいそうになる。

Sasso Marconiまでの心算がFirenzeを越えて、Pisa、Lucca、Livornoくんだりまで走ってしまったなんて仕儀に相成る。

Livornoから、Firenze方面へ向って、高速ひた走る途上に目の当たりにした、Pontedera界隈の風景が出て来たのが効を奏したのか、『ミルコのひかり』ののっけから、即刻大画面に引き込まれた。

RAI(伊太利国営放送)から流れるメルヴィルの『白鯨』の一節もよかったし、盲学校寄宿舎の下働きのおば様たちのLiguria産とおぼしき浜言葉もよかった。子供たちから時折まくしたてられる四文字言葉には、フォアグラになりかけ気味の℃肝を抜かれた。

さらに、もっとも心の蛇味線とマリンバをかき鳴らされたのは、こっそりミルコとフランチェスカ(ミルコGF)以下、夜中、同級生達がこぞって寄宿舎を抜け出し映画館へ向うのだが、そこで上映されている、“Franco e Ciccio”主演の『Il clan dei due borsalini』の一場面を観ている観衆から、哄笑、喝采が沸き起こる場面だ。

“Franco e Ciccio”の映画は大方、伊太利語がよく分からない向きでも、二人の挙作動作を眺めているだけで笑えてしまうようなものばかりで、私などは、MAD、モンティパイソンと共に座右に置いている代物で、肌身から離しがたい程の入れ込み様だ。

米英豪に偏りがちなこの地では、なかなか極東版DVD BOXのリリースも見込めないようだし、輸入版すらもなかなか手に入りにくいようだが、現在では“Youtube”という便法があるから、“Franco e ciccio”の超buffoな作品群を、ぜひとも多くの人に観ていただきたいものだ。

PC画面上ばかりでなく、いずれBolognaの“Cineteca”でぜひとも観たいとも思っている。

<参考サイト>

De Agostini: http://www.deagostiniedicola.it/collezioni/francoeciccio/index.html

Youtube:http://www.youtube.com/results?search_query=franco+e+ciccio&search=Search





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そして何をさておき、肝臓のヒューズがはちきれそうになったのは、宮古島狩俣部落で過ごした夏のひと晩のことだ。

今でもさわりを振り返るだけで、GOT、GPT、γーGTPが三位一体で上昇しそうな心地になる。

連日連夜、オリオンビール、久米仙シイカアサ割りで始まる酒盛りではあったが、狩俣式でなく、大和式でとり行なわれた夏祭りの後、ハレの日や客人をもてなす際などの習わしになっている、御通りの儀に軽い気持ちで参加した。

御通りは、宮古に限らず、琉球各地でも、当たり前過ぎるような習わしだ。

広場に狩俣のヤン衆が中心になって円陣を組み、談笑風発、時には蛇皮線、エイヤササエイヤササと歌、踊りも加わって、夜がな酒を飲み交わすだけなのかと思っていたら、頻繁にドンブリに満杯になった泡盛が回ってくるのであった。それも泡盛一で氷水が三か四といった配分の代物だった。

お茶会式に、ただ一口、二口啜っていればよいだろうと多寡を括っていたら、そうは越後の縮緬雑魚問屋が卸さないようで、周囲にせかされるまま、何度かドンブリを飲みほしていたら、今度は自己紹介、三分間スピーチ、アカペラで十八番一曲となり、喝采とともに、泡盛ほぼストレートに近いような代物をどんぶりで飲み干すことを促された。

テキーラの一気飲み対決で十二杯目に昏倒したことがあるだけに、至極憚られたが、勢いのままドンブリを飲み干したら、もう一杯との声があちこちから聞こえて、調子に乗って再度ドンブリを飲み干した。

さほど足下もふらつかず、意識朦朧にもならなかったから、さらに回ってくるドンブリ泡盛を嗜み続けた。

闇が白んできて、いざ塒に戻ろうとすると、催眠術にかけられたような案配で、どうしたものか、意識ははっきりとしているのに、足腰に全く力が入らず、立ち上がりようがない。

両肩を担いで塒まで運搬しようにも、ヤン衆らも腕足腰おぼつかなかったようで、他に思案、詮方なく、担架のようなものに、座り小水の態で乗せられて、運ばれたようだが、塒に辿り着く寸前のところまでで、記憶はやはり事切れている。それにしても脳味噌はまだ酔いつぶれていないのに、体は完全にへべれけKOという、不可思議な酔いつぶれ方であった。

長寿の島々としきりに嘯かれていたって、肝疾患で平均寿命より手前でみまかる方が多いのは、あんな夜が茶飯事ならば無理もないことだ。

おそらく、GOT、GPT、γーGTPの平均値を算出したならば、琉球の島々は上位にランクされるのではないだろうか。

もっとも、強靭な肝臓の持ち主や、酒にひたすら溺れ余録人生を送りたい御仁にとっては、願ってもない酒精のシャングリアかもしれないが。

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大学に進むとまだ戸籍上は早生まれの十八になりたてではあったが、極東の領土領海上では御法度でも、以前にまして大っぴらに酒が飲めるようになり、シュトゥルム・ウント・ドラングというより、シュトゥルム・ウント・ドランクと呼んだ方がよいような時代が始まった。

アナログレコード道楽のためでもあったが、無料でより多くの酒や酒菜を嗜むために、わざわざ大皿総菜の居酒屋などで、しばらくの間、ろくすっぽ講義などに出ずに仕込みから閉店までのバイトに明け暮れたほどだ。

当時は、瓶老酒トニック割り、青島睥酒、サンミゲール、ターキーあるいはハーパーソーダ割り、タンカレー、ゴードン、ズブロッカ、マイヤーズ、コロナ、レッドアイ、泡盛などを好んで嗜んだが、徐々に酒の醍醐味を思い知らされた。日本酒だけは、どうも過ぎると宿酔が他の酒と比べて激しく、その後もどうもあまり体になじまなかった。いまでも嗜んだとて、一二杯がせいぜいだ。

吹き出物のような懊悩にまがりなりに取り憑かれ、梶井基次郎の短編まがいの、なんだが得体の知れないやりきれなさ、底知れぬ不安にさいなまれて、しばしば酒が過ぎ乱れ、実際、虎箱にお世話になったのは一度切りだが、虎になった。

終電間際、井の頭(ヘッド)線と東横線を間違えて乗り、気がつくと元住吉駅で朝を迎えたていた、鳥居、電柱柱によじ登るなんてえのは序の口で、徒党を組んでいた連中と、「JALで行く夏の旅!!」を連呼しては砂浜でストリーキング、丁髷、むささび、むかごなんていう逸物芸を披露したり、あの頃のとにかく酒精に乱された挙げ句の果ては、至極不様なもので、とてもとてもこれ以上は、恐縮したって、つまびらかにできるものでない。

公にしても差し支えないレベルの酒の上でのしくじりから、忘れ難いものをいくつか選べば、まず挙るのが、その筋の人たちとの大宴会後の失態だ。

余興で、溲瓶まがいのピッチャーで、「ビールのバキューム飲み対決」を朋友らとやらされる羽目になったのだが、かなりの量を飲む事になった。

3リットル以上は飲んだろうか、熱帯夜であったので飲んだそばから、ある程度は汗になるから、始終憚りに駆け込まなくてはならないような事態には至らなかったが、仕舞いに腹がはち切れんばかりのビール袋になって、ドプリ、チャプリ、ジャブリと音を立てるのであった。

大宴会の後は当然二次会、三次会ということで、下北沢から吉祥寺、三鷹方面へ移動と相成ったが、とある一家の頭のメルセデスに乗せられたのが、どうにもいけなかった。

車の運転振りが途方もなく傍若無人だから、荒波へ向って繰り出した漁船の上にいるようなものだった。

たちどころに、激しい船酔いの症状に見舞われたのはいうまでもなく、粗相は決してならんとしばらくこらえにこらえたが、とうとう辛抱治郎袋の結び目がほぐれて、車を止めてもらうことを申し出たが間に合わず、後部座席から出るか出ないかのところで大噴出。それから先は大騒ぎになったことだけは覚えているが、記憶がまるでない。

後日、頭の邸宅を当時の朋友とともに菓子折りを持って音連れたが、心機一転、頭をスキンヘッドにしたのが効を奏したのか、思いのほか、苦しゅうないといわんばかりに、頭はご機嫌で、平身低頭するだけで無罪放免となった。

いかなる処遇も覚悟の上だった、こちらとしては頗る拍子抜けがしてしまい、素面では真顔で直視できぬ、頭の鎌ヶ谷大仏のような風貌を間のあたりにしていたから、なおさらだったのか、うっかり表情筋だけでなく、括約筋までほぐれゆるんで、大腸のおくびがふんだんにすかし出た。

<続>


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