泡盛「通」飲読本/仲村 清司

¥1,470
Amazon.co.jp


そして何をさておき、肝臓のヒューズがはちきれそうになったのは、宮古島狩俣部落で過ごした夏のひと晩のことだ。

今でもさわりを振り返るだけで、GOT、GPT、γーGTPが三位一体で上昇しそうな心地になる。

連日連夜、オリオンビール、久米仙シイカアサ割りで始まる酒盛りではあったが、狩俣式でなく、大和式でとり行なわれた夏祭りの後、ハレの日や客人をもてなす際などの習わしになっている、御通りの儀に軽い気持ちで参加した。

御通りは、宮古に限らず、琉球各地でも、当たり前過ぎるような習わしだ。

広場に狩俣のヤン衆が中心になって円陣を組み、談笑風発、時には蛇皮線、エイヤササエイヤササと歌、踊りも加わって、夜がな酒を飲み交わすだけなのかと思っていたら、頻繁にドンブリに満杯になった泡盛が回ってくるのであった。それも泡盛一で氷水が三か四といった配分の代物だった。

お茶会式に、ただ一口、二口啜っていればよいだろうと多寡を括っていたら、そうは越後の縮緬雑魚問屋が卸さないようで、周囲にせかされるまま、何度かドンブリを飲みほしていたら、今度は自己紹介、三分間スピーチ、アカペラで十八番一曲となり、喝采とともに、泡盛ほぼストレートに近いような代物をどんぶりで飲み干すことを促された。

テキーラの一気飲み対決で十二杯目に昏倒したことがあるだけに、至極憚られたが、勢いのままドンブリを飲み干したら、もう一杯との声があちこちから聞こえて、調子に乗って再度ドンブリを飲み干した。

さほど足下もふらつかず、意識朦朧にもならなかったから、さらに回ってくるドンブリ泡盛を嗜み続けた。

闇が白んできて、いざ塒に戻ろうとすると、催眠術にかけられたような案配で、どうしたものか、意識ははっきりとしているのに、足腰に全く力が入らず、立ち上がりようがない。

両肩を担いで塒まで運搬しようにも、ヤン衆らも腕足腰おぼつかなかったようで、他に思案、詮方なく、担架のようなものに、座り小水の態で乗せられて、運ばれたようだが、塒に辿り着く寸前のところまでで、記憶はやはり事切れている。それにしても脳味噌はまだ酔いつぶれていないのに、体は完全にへべれけKOという、不可思議な酔いつぶれ方であった。

長寿の島々としきりに嘯かれていたって、肝疾患で平均寿命より手前でみまかる方が多いのは、あんな夜が茶飯事ならば無理もないことだ。

おそらく、GOT、GPT、γーGTPの平均値を算出したならば、琉球の島々は上位にランクされるのではないだろうか。

もっとも、強靭な肝臓の持ち主や、酒にひたすら溺れ余録人生を送りたい御仁にとっては、願ってもない酒精のシャングリアかもしれないが。

泡盛百年古酒の夢/大本 幸子

¥1,365
Amazon.co.jp

泡盛王国/田崎 聡

¥2,310
Amazon.co.jp

決定版泡盛大全 (主婦の友生活シリーズ)/沖縄県酒造組合連合会

¥1,890
Amazon.co.jp

本格焼酎・泡盛ガイド〈2006‐07年版〉基本の酒から高濃度酒まで全国1152銘柄 (別冊焼酎楽園)

¥2,500
Amazon.co.jp

泡盛 珊瑚礁 一升瓶

¥2,268
酒のやまいち

泡盛[泡波]30°1800ml

¥30,000
リカーヤマト

泡盛[春雨ゴールド]30°1800ml沖縄県産

¥5,500
リカーヤマト