~絵の秘密~


 梅小路さんの部屋の絵を写したカメラには、確かに絵から抜け出た女の子が写っていた。


 霧状から実体化した女の子は辺りをキョロキョロ見回すと、寝室のドアをすり抜け消えた。


「ほんとに写ってましたね・・・・・・」


 別に小声でなくてもいいのに小声のみゆみゆ。


「どこへ何しにいったんだろうな」

「トイレか?」

「なんで幽霊がトイレに行くのよ」


 幽霊って決まったわけじゃないけどさ。


「・・・どう見ます?」

 

 くーみーが瞳美に尋ねた。


「う~ん、そうねえ。この子の想いがこの絵に宿ってる・・・・・・今感じるのはそれかしら」

「何か探してたようだったけど?」

 

 画面を見つめたままの鈴城くん。

 キョロキョロしてたよね。


「桜子は思い当たることないの?」

「え・・・そうですわねえ・・・・・・」


 顎に手を当てて考える梅小路さん。


 しばらく画像が変化無かったので早回し。

 

「あ、女の子戻ってきた」


 梅小路さんの部屋の中が少し明るくなった。夜明けのせいだ。

 絵から抜け出ていた女の子はガッカリした様子で戻ってくると、また霧状になり元の絵の中へ。


「やっぱり何か探しに行ってたみたい」

「探しに・・・何でしょうね」

「トイレじゃなかったら冷蔵庫だ、夜の盗み食い」


 それはあんたの日常でしょ、みさと。


「絵か・・・・・・」


 画面をじっと見ている瞳美。


「この絵について知ってることは?」

「え、ああ。この絵は100年ほど前に描かれて、モデルはマリーネという女の子。・・・私が知っているのはそれくらいですわ。特に有名な絵というわけではありませんから、本とかにも載っていませんし」


「そのマリーネちゃんと話したこと無いの?」


 みさと、キラーパスか。


「話した・・・というわけではありませんが、一度私と目が合って言われた言葉がありますわ」


 声聞いたことあったんだ・・・・・・。


「言葉?なんて?」

「どこにいるのかしら?って、英語で・・・・・・」


 どこにいる?誰が?何が?

 また謎が一つ出てきた。


 ~つづく~