彼がジャンプを決めるたびに会場の空気はどんどん熱くなっていきます。
歓声が大きくなってますます彼を後押しするようです。
眠っていた龍が目を覚ましました。
天空を舞う鳳凰の羽からなにかきらきらしたものが飛び散っているのが見えます。
彼が本来の姿を取り戻しているのは誰の目にもあきらかです。
完璧だ。大丈夫だ!いける!どうか神様どうかこのまま・・・
大ちゃんがぐんぐんスピードを上げてこちらに滑ってきます。
3連! うううんなんとか2連! うーんダブったあ ぁぁ
少しだけ落胆した私は思わずまた「頑張れーー!」と叫びました。
その瞬間彼が振り向いたのです。ええ誰がなんと言おうと私のほうに振り向いたのです。
あのときの大ちゃんの顔!私は見ました。
目から、指先から、強い強い力が放たれるのを。
現世に生を受けた命の、命のもっとも輝く瞬間を!!
あのときの大ちゃんは光そのものでした。
うおおおおおおっ!
彼が手を伸ばし、何かを掴み取るように拳を握り締めたとき、大歓声の中わたしは飛び上がり、
階段を駆け下り、下の席にいた友人とバナーを振りまくりました。
生まれてきてよかった。この日この場所にいられてよかった。ほんとうに心の底からそう思いました。