☆始めに☆

以下の会話はあくまでも素人の素朴な疑問から生まれた話であり、多分に勉強不足を孕んでおりますことご容赦ください。

☆☆


もーり:元々グルジア国内の民族問題に端を発した南オセアチア問題でここまでロシアが介入して独立まで後押しした理由。そこが知りたい。ミリア、君は国際関係の専門だから詳しいと思うんだけど、素人にもわかるように簡単に説明してくれないかな。


ミリア:一番大事な原則は「ロシアはロシア人を守る」ということ。南オセアチアの人たちの多くはグルジアの領土内に住みながら、ロシアのパスポートを所持していて、ロシアの国籍を持っている。また、彼らの親戚の多くがロシアに住んでいるのよ。ロシアにはロシア人を守る義務がある。だからロシアは南オセアチアをサポートしているのよ。


もーり:でも、独立をサポートしつつ、一方でパスポートを付与し巧みに南オセアチアのロシア化を図ったのはロシア自身だよね。僕はロシアの外交専門家がよくいう「ロシア周辺国のロシア人を守る」というのは、確かにそれは真実でもあるんだろうけど、周辺国へのロシアの影響力を維持するための口実として使っているというのが本当のところだと思ってるんだけどね。
とにかく、ロシアの介入には、ロシア人を守るということの裏に何か本当の意味があるんじゃないの?


りーだ:そもそもこの紛争は、グルジアが先に始めたことなのよ!国際的にはロシアが先制攻撃を仕掛けたっていうグルジアの主張が通ったけど、それは嘘よ!ロシアは情報戦に負けたのよ!!


ミリア:ゆうすけもわかってると思うけど、グルジア人とロシア人の間には原則的になんのいがみ合いもないの。問題は政府よ。サーカビリシ(グルジア大統領)が親米路線を突き進むもんだから・・・



もーり:ていうことは結局この紛争の背景にあるものは、米露の冷戦構造ってこと?


ミリア:まぁ・・そうね。もちろん発端はそこにはないし、色々な問題があるけど、米国の露骨なコーカサス地域への影響力の発動に対するけん制の意味合いは確かにあるわ。


もーり:ロシアは南オセアチア紛争への介入する本当の理由は、米国への先制及び、同地域への覇権の維持が目的。こういうことだよね?

ミリア:もちろん物事はそんなに単純じゃないわ。オセアチアのすぐ横にはテロの温床になっているチェチェンもあるしね。


りーだ:そもそも歴史的にもグルジアは、トルコやイランといった時の大国の脅威から守ってほしくてロシアに併合された経緯があるのよ。それを今になって欧米路線に進むなんてあまりにも身勝手じゃない!グルジアだけじゃないわ。ウクライナやベラルーシもそう。ロシアは常にみんなを助けてきた。ロシアからしかけた戦争なんかないわ。常に彼らを守るために戦い、彼らに平和と安定を与えてきたのよ。それなのに何なの彼らの自分勝手な行動(=ロシアからの離反)は!!ロシアと仲良くさえしていれば彼らは安価な資源供給を受けることが出来るし、安定した生活を送ることもできる。なのに彼らは・・・・

という感じで、最後はリーダが思いを爆発させる形で、また別の話題へと移って行きました。


でも、この会話からは、①建前としてはロシア人を守る、②でも本当の狙いは周辺国への覇権維持であり、③その背景には米国との依然として続く冷戦構造がある、という大きな流れを、なんとなく強引に結論付けることが出来るかとおもいます。


同地域は、
①アメリカ/ロシアのパワーポリティクス(冷戦的思考)
②旧ソ連国で「大兄」としての覇権を維持したいロシア
③カスピ海のエネルギーの問題。(輸送ルート / 中東情勢不安によるサプライソースの多角化)
④地政学的な重要性(アメリカ、最重点地域である中東への容易な政策展開可能 / ロシア、チェチェン問題との関係)

等々の国際政治に取り囲まれており、こうしてみるとアメリカの存在が、不幸の元凶になってるような気がしないでもないです。



ただ、色々資料や論文を読んでみても、なかなかこの地域の実情を点と点を線でつないで理解することは僕の脳みそでは難しく、色んな立場の色んな主張が存在し、一つの真実の見方もこれまた一つじゃないという真理が浮かび上がってくる思いです。そうなると、事実は一つなれどその背景にある真実は複数ある、そんな気さえします。


白の裏が実は黒だったというような、でも全くの白も黒も存在しないようなそんなワイルドな世界。
でも、そんな状況に翻弄されながら自国の文化を誇りに生きる愛すべきグルジア人。


僕としては、残されたモスクワ生活の時間はそう長くはないけど、出来るだけロシア人、CIS出身の友人といろんな話をして、自分の世界観を最大限広げていきたいと思っています。自分が許容できる世界観以上の真実を知ることはできないと思っております。