先日の五嶋みどりのバイオリンのコンサートは、とても素晴らしかったです。
実は中学・高校時代には弦楽部でビオラをやっていました。高校時代にドイツに留学したときは、最初に友達を作るのにビオラがとても役に立ったのを覚えています。
もう何年もビオラには触っていませんが、久しぶりに生の演奏を聞いて、懐かしくなりました。
それにしても、プロの演奏を聴く機会というのはやはりいいものですね。ライブならではの迫力があります。
実は、こちらのサンディエゴ・トリビューン紙のレビューでは、最初のグリエールという作曲家の曲の演奏(共演のチェロ奏者は同じく教授レベル)はよかったけれども、その後のシューマン、シューベルトは、いずれも共演した若者たちには荷が重すぎたのではないか、ということが書かれていました。
共演したのはこのページのメンバーです。プロフィールを読むとそれぞれそれなりに活躍はしているようですが、特にチェロを演奏した彼はとても若く見えて、演奏が始まる前は「大丈夫かな~」と思ってしまったほど。
また、演奏中、本当に「頑張って」弾いていて、リラックスして楽しむような余裕はなかったように感じられた部分はありましたね。
レビュー記事の中ではこの点について"Where is the love?"と書かれていました。例えて言えば、先日の女子サッカーワールドカップの決勝戦で勝負のPK戦になったときに、日本チームには笑顔を見せる余裕がありましたが、アメリカチームにはなかった・・という感じでしょうか。
記事では"Everybody for the most part was deadly serious. It sounded more dutiful than joyful."とあり、本当に一生懸命弾いているという感じでした。
曲目についても「よりによってシューベルトの難曲を選ばなくても」というコメントもありました。室内楽の曲目にはあまり詳しくないながらも、私も「もっと一般受けするような曲でもよかったのでは・・・」とは正直思いました。
でも、自分も指導に関わったこのメンバーで、この曲目を弾きたいという五嶋みどりの思いもあったのでしょうね。
コンサート前のレクチャーでは、2004年から現在に至るまで南カリフォルニア大学(USC)ソーントン音楽学校の弦楽学部主任教授として教鞭をとっている彼女について「他の教授たちは、夏が終わって学校が始まる時期になると『あぁ、また色々とやらなくちゃならない(教えなくちゃならない)季節が来る』と憂鬱になったりもするが、ミドリは違う。学生たちが夏の間にどんな成長を遂げたか、また今後に向けていろいろなプランをたてるのが楽しみで仕方がない。本当にこの仕事が心から好きなんだ」と言っていました。
彼女はUSCで教える合間に世界各国でコンサート活動を行うだけでなく、より多くの人に音楽の楽しさ、素晴らしさを伝えるためにも活動をしています。また、2007年から国連平和大使も勤めています。
そんな彼女の一面が垣間見られるクリップを載せておきます。