塩崎恭久厚生労働大臣が年金積立金管理運用の国会答弁で「炎上」 | なか2656のブログ

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第二次安倍内閣は本当に逸材ぞろいなようで、小渕大臣、松島大臣、SM宮沢大臣に続き、今度は塩崎恭久厚生労働大臣が最近、国会答弁で連日「炎上」しているようです。

野党の山井和則議員のツイッターによると、11月14日の国会答弁において、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)に関する長妻議員からの次のようなごく一般常識レベルの質問にすら塩崎厚労相は回答できず立ち往生し、審議は6回もストップしたそうです。

その質問とは、GPIFは10月31日付をもって資産運用の方針(ポートフォリオ)を変更し、債権の割合を下げて、従来は株式が約25%であったものを約50%に2倍に増加させたわけですが、これによってGPIFのリスクは上がったのか下がったのか?という大卒の就活生どころか中学生や高校生ですら回答できる質問です。




ところがなぜかGPIFを所管する厚労省のトップの塩崎大臣は、この子どもでも回答できる質問に回答できず棒立ちで立ち往生してしまうという場面が6回もあったそうです。

また、これとは別に、塩崎厚労相は11月5日に、労働者派遣法の改正法案の一番重要な部分を180度誤解していたことが国会答弁で露見し、国会の審議が紛糾したばかりです。

・派遣法大臣答弁、厚労省が「訂正」野党は猛反発(朝日)

つまり、現在の労働者派遣法は、派遣制度はあくまでも仮のものであって、正社員があるべき姿であるという建前のもと、3年たったら正社員に、というスキームであるところ、経団連の強い要望で、その3年の縛りを撤廃しようというのが今回の法改正の大きな目玉です。

ところが塩崎厚労相はこの点をまったく理解しておらず、誤解したまま国会答弁を続行していることが、“労働者に「生涯ハケン」を強いる法案であるにもかかわらず、何だと思っているのか”と各界から強い批判を受けています。

すなわち、11月5日の労働者派遣法改正法案の国会答弁において、塩崎厚労相は、法案の内容を180度誤解して「労働組合が反対しても企業が派遣労働者の受け入れ期間を延長した場合、労働局が指導を行なう」と答弁しました。

これに対してはさすがにみかねた厚労省の官僚サイドが、11月6日に、改正法案の内容に沿って「企業が組合に事情を説明しさえすれば、派遣の受け入れ期間の自由な延長が可能となる」という趣旨の補足資料を作成して配布しました。

そして当然のことながら、野党は猛反発し、塩崎大臣の正式な訂正がなければ審議に応じない姿勢をみせることとなりました。野党は「人の人生がかかっている法案を、大臣も理解していない法案を出すな!」という表現で猛反発したそうですが、労働者、生活者、国民・市民の人生がかかっているという怒りはまさに正当であると思われます。


この際は、私は、新聞記事を読んでいて、塩崎大臣はGPIFのことで頭がいっぱいだったのだろうかと思っていました。日銀の黒田バズーカが安倍政権への援護射撃であるように、GPIFの株式重視の資産運用も日本の株価を支えて安倍政権の支持率を支えるものであるからです。しかし、どうもこの厚労相は義務教育すらまともにクリアできていない残念な人物のようです。

小渕議員や松島議員のように、汚職や極右勢力との癒着も大臣の辞任の理由となり得るわけですが、政治家として無能であることも大臣の辞任となりうる十分な理由であると思います。

当然、そのような人物を価値観を共有する「お友達」であるという理由だけで大臣という要職に任命した総理任命責任も同時に問われることになると思われます。

11月中盤にはいり、新聞などを読んでいると急きょ、衆議院の総選挙が12月にも実施される見込みのようです。

与党、野党といろいろと思惑はあると思うのですが、消費税増税、原発再稼働、基地問題および集団的自衛権が重要な争点なのは当然ですが、同時に、現政権が推進している「戦後レジームからの脱却」「日本を取り戻す」という考え方、すなわち一言でいえば、戦前の日本への回帰を是とするのか否かが今回の選挙の争点のように思われます。

つまり、労働者の「生涯ハケン」化を推進する労働法改正や、G型L型大学改革のように学問を否定し大学を職業訓練校化する流れ、最近の東大ポポロ事件や滝川事件を思わせる公安警察や機動隊による京都大学の弾圧安倍首相の露骨な朝日新聞バッシング・メディア規制、ヘイトスピーチ規制の名を借りて進行する表現の自由規制等などといった、最近の日本の政府・与党の戦前の日本を理想とするかのような反動復古的な動きを国民・市民として信任するか否かの選挙であるように思います。

<追記>
このブログ記事は国会議員の山井和則氏のツイッターの投稿を参考に書かせていただきました。私個人は、労働法・社会保障分野における山井議員の奮闘には本当に頭がさがる思いであり、そういった意味で山井議員のファンです。しかし、私は山井議員が所属する民主党は支持していません。

革新政党を標ぼうしているはずなのなに、本年夏の集団的自衛権の議論の際には民主党としての公式見解すら表明できず、労働組合を支持母体とする政党であるはずなのに労働者を苦しめる消費税増税を主張し、最近は、リバタリアニズムという革新政党とはま逆の政策を掲げるみんなの党との合併を表明するような、無節操な烏合の衆である民主党を支持することは、私にはできません。

・塩崎厚労相はやはり「GPIF専用大臣」なのか? 本人はレッテル払拭に躍起だが…(産経)
・厚生労働省|労働者派遣法の見直しについて

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