今年もオープン!「猫崎公園式猫ハウス」 | 日々是ねこパト (sakki が繋ぐ地域猫活動)

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野良猫1匹を巡って、いろんな人が関わっている。
それを繋げていくと、町がそのまま「形のないシェルター」になるよ。
小さな町で、sakkiが紡いだ“猫を巡るコミュニティ”のお話

台風10月24日、夜11時を過ぎてから急に強い北風が吹き始めました。木枯らし1号です。

翌朝はすっかり冷え込んで、水飲みボウルの水より、蛇口から出る水の方が温かい位。

今年も、きっぱりと冬がやって来たようでした雪


慌ててハウスの準備に着手あせる

まずは、「今年もお庭をお借りします。冬の間、ハウスをよろしくお願いします」という連絡からです。


2011年冬のオープン以来、猫崎公園の猫ハウスは、公園には置いていないのです。

ご近所にお願いして、冬季限定でお庭の一角をお借りします。

猫の安全と、公共の場所を私物化することを自重して、苦肉の策で編み出したのがこの「ご近所作戦」でしたが、

ありがたいことに、3軒の方が協力して下さって、5回目の冬を迎えました。


2011年当時、20匹も居た公園猫も数匹になり、今はそれぞれに1軒ずつ、「持ち家」を持てるようになりました。

もちろん、どのハウスがどの猫のものと決まっているワケではありませんから、中敷きにはいろんな抜け毛が残ります。

「しまった先に取られた!今日のお宿は日当たり今イチにゃ…ねこへびあせるなんてやり取りも、きっとあるのでしょうにひひ


ハウスがあるおかげで、どんなに冷え込む夜であっても、私たちは安心できるのです。

10歳をとっくに過ぎた公園猫たちの健康は、こうして、公園近くの皆様に支えられてきたのだと思っています。




       例年3つも置かせて頂いているSさん宅。

         取り急ぎ2つ作って仮置きした所、「今年は2つなんですか?公園猫ちゃん、減ってしまったのかしら?」と

         速攻問合せを頂いた。翌日3つ目を設置させて頂いた。

         Sさんのお宅は公園内餌場の最も近い位置で、公園猫の動線上にあるため、

         利用率も宿泊する面子もバラエティに富み、最も観察のし甲斐のあるロケーションだ。

         事前にお話してあるとはいえ、他人がメンテナンス(掃除)ために勝手にお庭に出入りすれば、

         不快に感じることだってあるだろう。

         でもSさんは、一度もそんなことをおっしゃらず、「公園猫ちゃんのために」とお庭の出入りを容認して下さる。

         感謝しても、し切れないとはこのことだ。

         Sさん。本当にありがとうございます。心から御礼申し上げます。


  


                         Aさん宅に設置した途端に、やって来たジュリちゃん。

                         中に撒いたマタタビを嗅ぎつけたのだろう。

                         これはサリちゃんのハウスだよ。あなたのはTさんのところにあるよニコニコ

                         この場所は屋根があり、雨の心配はない。風で飛ばされることもない。

                         猫が上に乗っても蓋が割れないよう、板で補強&重石をした設計


今年も、「了解チョキ」のお返事をすぐに頂きました。


「白猫は痩せて来たから、早目に置いてやって」と言って下さったのは、Aさん。

初年度、ちょっとコワモテのこの方に、「プンプンそんな物、必要かしら!?」 と怒鳴られたことを思い出します。


5年も同じことを続け、同じ猫を見ている間に、人間同士の付き合いも深まります。

ハウス設置を巡る懐かしい思い出は、そのまま、ご近所と私たちとの猫繋がりの歴史でもあるのでした。


猫崎町のハウス事情については、過去何度か記事にしています。

参考になるようでしたらお読み下さい(→テーマ「猫ハウス」)。


              左が例年のドライアイスの箱。幅40×奥行33×高さ30センチ。

              ドライアイスの箱だけあって密閉性が高く、体重3キロ台の公園猫には最適だ。

              右は今季初使用の箱。幅が46センチとゆったりだが、全体的に薄く、蓋も外れ易い。

              隙間から雨漏りするのは致命的な欠陥なので、本体と蓋をガムテープで張り付けることにした



さて今年のハウスですが、困ったことがありました。

私たちが使うのは、発泡スチロールの箱です。

毎年、スーパーのバックヤードからドライアイスの箱を貰っていたのですが、今年は全く手に入りませんでした。

8月以降の冷夏のせいでドライアイスの需要が減ったのか、スーパーが納品箱の規格を下げてしまったことが原因でしたガーン


慌てて町中自転車で走り回り、ある仕出し屋さんで廃棄された発泡スチロールを数個、貰うことができました。

しかし、ドライアイス用と違って蓋のかみ合わせが浅いため、隙間から雨漏りしてしまいます。

やむなく、蓋と本体をガムテープで張り合わせて水漏れを防ぎ、中敷きの交換は出入り口からすることに設計を変更。

発泡スチロールを使うのであれば、真夏のうちから集めておくことをおススメします。



さて、発泡スチロールの最大の利点は ①断熱性が良い、②防水性が高い、③加工が容易 の3点です。


加えて、ご近所のお庭をお借りする上で配慮しなくてはいけないこともあります。

 ①通路を塞がないコンパクトな大きさであること

 ②吹きさらしの場所であっても突風で飛ばされないこと

 ③中のメンテ(掃除)が容易であり、清潔を保てること

 ④雨ざらしの場所でも浸水を防げること


これらの条件をクリアするために、猫崎公園式猫ハウスにはいろいろな工夫がされています。

今回はその作成過程を、画像でご紹介しますね。



①重石を入れる

突風で吹き飛ばされないように、またイタズラ防止のために、ハウスに重石を入れます。

薄手のレンガやタイル、写真集などの重みのある古本をビニール袋に入れて、底面積一杯を埋めます。

猫の体重でへたりを生じて来るので、隙間はジョイントマットの切れ端などで丁寧に埋めると良いでしょう。



②ジョイントマットで中敷きを作る

重石の上に中敷きを入れます。

ジョイントマットを組んで裏からガムテープで貼りあわせ、余分な部分を切り落とします。

底面積一杯にきっちり作ると、抜け毛などが落ちず、掃除も楽です。

ジョイントマットは、加工しやすく、底からの冷気を遮断するため、猫ハウスには好適な素材です。




                                             箱のデコボコもきっちり埋めました


③出入り口を開ける

出入り口は真ん中より端に寄せて開けます。また、重石と中敷きの厚みの分、底面より上の方に開けます。

穴の大きさは縦・横17~20センチ位。四角でもアーチ型でも構いません。

線を引いておいてカッターで切り抜きます。





                           トイプー・ノア(2.6キロ)は作業中ずっと邪魔して手伝ってくれました




④中に布(手入れが楽で温かいのはフリース)を入れ、蓋をすれば完成

しっかりしているドライアイスの箱なら、蓋は固定せず、掃除の度に蓋を開け閉めします。

蓋の閉まりが甘い箱なら、本体と蓋を張り合わせ、掃除は出入り口から行います。

蓋が薄い場合は、上に猫が乗ることで破損することがあるので、外側をジョイントマットで補強します。

爪とぎもできて好評です。

狭い発泡スチロールの箱は断熱性が高く、猫自身の体温で中は充分温かくなります。

ですから、フリース以外に何も入れません。



さて入るかな?実験ですニコニコ 体重4.5キロのトミ黒くんの場合 入り口の大きさは横17×高さ15センチ


                                     ひらめき電球あれ?あんなところにご馳走が

                       首を伸ばしてご馳走get。お腹が引っかかるのか入らずガーン

                       でも外猫なら穴の大きさはこれで充分

           ニコニコお次は、体重2.8キロの小春ちゃん。入り口は横13×高さ15センチのミニマムサイズ


                                           楽勝音譜このままお休み~ぐぅぐぅ



⑤設置。下にスノコを噛ませて設置し、雨除けをガムテープで後付けします。

         3つ並べた猫崎ハウス。上から覆うように張り付けてあるのは雨除け

           蛇腹式の保温マット(キャンプや、お風呂の保温に使うようなもの)を適当に切り分けて、

           入り口を塞ぐように張り付けると、屋根の無い場所でも雨の降り込みがかなり防げる。

     雨除けは、中に居る猫にとっては目隠しにも風除けにもなり、有効な仕掛けになっている。

      ハウスの下にスノコを敷けば入り口の位置はさらに高くなり、雨の跳ね返しを防ぐ。


               中は数日でこんなに汚れます。その都度フリースを全交換します。

               吐き戻しがあったり、ヨダレの臭いが強くなったりすることがあり、

               ハウスの中の状態の観察は、猫の健康状態の把握にも一役買っています

               ハウスの究極の目的は、瀕死の猫に、穏やかに最晩年を過ごせる場所を用意してやること…。

               最初に「猫崎公園式猫ハウス」を作った時、私はそんなことを考えていたのです。

   


24時間外気に晒されている屋外しか、生きる場所を持たない猫たち。

彼らは、身を切るような冷え込みに身体を丸めて堪え、日が昇る瞬間をひたすら待ちながら、夜を明かすのです。


もしあなたが、「今年は、あの猫にも暖を取らせてあげたい」「安心して眠らせてやりたい」と思われるようでしたら、

お庭や、ベランダに、ぜひ、猫ハウスを作って置いてやって下さい。


プラスティック製の収納ケースや、段ボール箱などで、それはそれは温かいハウスを作る方もいます。

検索すれば、いろいろなアイディアがヒットするはずです。置く環境に応じて工夫してみて下さい。


そしてもうひとつお願いしたいのは、

ぜひその猫に、不妊・去勢手術をプレゼントしてやって下さい。 心からお願いします。




雨昨日、11月2日は朝から土砂降りで気温も下がりました。


午後になって雨が上がったので、早速ハウスの掃除に出向いた所、3匹が慌てて飛び出して来て、

昼寝の邪魔をしないでにゃプンプンDASH! と睨まれましたにひひあせる



猫崎公園式猫ハウス、おかげさまで今年も全室満員。  大盛況のようですニコニコクラッカー






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