アメンバー申請は、

http://ameblo.jp/ni-w/entry-11441829292.html

と、申告画面の確認で出て来るコメントの件が確認出来ない限り、

一件の例外もなく。保留にした後、メッセージを送らせていただいています。

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【心の奥がムズムズとしている。

心が何処にあるのかと言われても…答えられないのだれど。

兎に角…体内の奥底が…ムズムズとしていた】

 

「分からないです…」

 

春歌は小さく呟くと、自分の内部に視線を向けても分からない答えを追うよりは…と白と黒の鍵盤に指を置いて音符を作り始めた。

 

___♪

 

その時に、即興で作った楽曲は、妙に心に残るモノになり、春歌は一日外に出る事を忘れてピアノを弾き続けた。

昼ご飯、夕飯すら抜いてしまいそうになった時、入り口にある玄関のチャイムが部屋に鳴り響いた。

 

「……え?あっ。チャイムっ…あれ…もう、夕方」

 

チャイムの人工的な音が曲の中に入り込んで来て、春歌の意識が音符達の弾む世界から浮上すると、部屋は甘露飴色の夕日に染め上げられていた。

 

パタパタと、玄関の役目をしている扉まで来ると、すぐに春歌は開いてしまう。

 

___瞬間。

 

大きな黒い塊が部屋に入り込んで来た。

 

「あっ…あの…黒崎先輩?」

「俺以外何に見えるんだ」

「…はい」

 

ポンと春歌の頭上に、大きな掌が降り、優しく撫でると蘭丸は手にしていたビニールを上に持ち上げて、室内へと足早に進んで行く。

 

「お前、また曲作って、トリップ状態だったんだろ」

「…えっと…はい。気付いたら夕方になっていました」

「馬鹿か」

「…すみません」

 

学園に居た頃に仲良かった真斗とレンの二人とマスターコースで、先輩の黒崎蘭丸から多くを学んだ。

その後、二人は華々しく活躍を始めて…春歌は楽曲を提供しつつ、シャイニング事務所の作曲家として動き出していた。

 

蘭丸はマスターコースの初期では、春歌の事を自己が作る壁が理由で、真剣に視線を向ける事はせずに突き放していた。

 

___その姿勢が…崩れた。

 

春歌の作り出す曲の一つ一つが、自分の中に存在している『魂(ロック)』を揺さぶり、爆発する程の影響を持っている事に気付かされた。

 

その後。

真っ直ぐに春歌の良さを見る事に集中し始めた蘭丸は…音楽に愛された者は、音楽に取り込まれる副作用がある事を知る。

 

音符が心から溢れると、春歌の通常生活は簡単に壊れていた。

基本的な休憩や他のモノに意識を向ける事を忘れ、食事すらも忘れ…体と心を練って音符を紡ぐ事を無意識に選んでしまう。

 

自分の楽曲の中にも、春歌が作ったモノもあり、その良さと曲が持つ力に魅了されていた蘭丸は強制的に作曲を止める事は考える事が出来ず…。

不器用な愛情で『春歌の様子を見る』事をし始めた。

 

 

今日も昼間に仕事の確認で電話をかけてみれば…一度も繋がる事は無かった。

音符の形をした鎖に拘束されていなければ、着信履歴で掛け直してくる…それが無いのは…。

出先で舌打ちを一度作り出した蘭丸は…帰り道にある大きめのスーパーで、食品を買い込んで春歌の元へと来ていた。

 

「締切が近いのか?」

「…いえ。今日は完全にオフでした」

「なら、聞かせろよ。どうせ作っていたんだろ?」

「はいっ」

「その間に料理する」

「…いつも…すみません」

「構わねぇよ」

 

春歌を拘束していたモノが、他人の為に書かれた曲ではないと気付き、ホッと無意識に蘭丸は安堵の息を唇から零していた…。

 

そして。

部屋に…激しさの中に、柔らかなモノが隠れている曲が流れた…。