アメンバー申請は、

http://ameblo.jp/ni-w/entry-11441829292.html

と、申告画面の確認で出て来るコメントの件が確認出来ない限り、

一件の例外もなく。保留にした後、メッセージを送らせていただいています。


*********************************


真っ暗の世界で…一番最初に気付いたのは、音也君の香りではなくて、夢でも香っていたシトラス系のモノ。
 
___倒れる程…頑張っていたかな。
___ドジだから…躓いたのかな。
___もしかしたら…急に、曇ったのかな。
 
色々な状況を考えても、この状況に合うピースを見付ける事が出来なかった。
圧迫するような力さえ感じると、少し前まで自分を奮い立たせていた心の壁が…その力でボロボロと崩れていってしまう感覚に堕ちてしまう…。
 
「頑張れる…頑張れる筈…頑張りたい…のに。どうして惑わす…の…一ノ瀬…さん」
 
ずっと我慢していた言葉を…それでも【恋人の位置】に居ないのだからと自分に言い聞かせて【一ノ瀬さん】と他人行儀な名前を零すと、圧迫が増してくる。
 
___まるで…拘束するみたいに。
 
「君が気になって…仕方がない」
「…ひっ」
「君は…誰ですか?」
「…っ」
 
少し緩められた拘束の隙間から差し込んで来る光は眩しくて、瞼を閉じていても痛みを感じる程。
少しずつ…瞳に打撃が無いように開いていくと、拘束していたのは…ずっと求めていた腕だった事に気付いて、体を石化させていく。
 
ずっと待っていた。
『春歌』
その優しい声色と、薄いガラスを抱き締めるみたいに…繊細なビードロを扱うみたいに優しくキスしてくれるみたいに…して欲しいと。
でも、今の対応は違っていた。
 
困惑。
疑惑。
 
カバーやクッション材を付けないで、指摘する部分は変わらない。
時々、それが冷たい印象を与えてしまうけれど、その言葉に偽りはないと分かっているから、周囲の友人達は彼を慕っていた。
 
ただ…恋人の位置に居た私には…甘い…蕩けるように甘い言葉をくれていた。
 
今…次々に手渡されている言葉は、完全に【友人】に渡すモノだと、瞳に涙が生まれて零れて、少し前までは軽やかに動けていた体の一つ一つの部品が、錆び付いたみたいに力が入らない。
その私の状況が分かっているのか、気付かないふりをしているのか…彼は、質問の返事が欲しいのか繰り返して、爆弾を腕の中に居る存在に爆弾を投下していく…。
 
「君と私は…」
「何も…何もありません」
「…くっ」
「本当に…わ…た…しが、HAYATO様の…一ファンだっただけです」
 
心が痛い。
軋むように…鋭利な剃刀で一本二本と傷を自分で切り付けて、恋した日々を流していくみたいな感覚に襲われて、子供みたいに泣きたくなってしまう。
それをしないのは…してしまったら、愛しい大切な相手が混乱したり、傷付いてしまうかもしれないと思う気持ちだけ…。
 
「それでは、どうして…私の心は、こんなに痛むのでしょう…か」
「…それを…っ」
「七瀬さん?」
「や…いや…です…離して…離して下さいっ」
 
色々考えて、自分自身が壊れそうだと思いながら愛の行き場所を探して、膝を抱えた状態で留まる事の無いようにと思って我武者羅に行動していた事が、全部無駄になってしまうと…
会話の最後の方は悲鳴に近い状態で、唇から零していた。
自分を包み込む懐かしい香りを大切にしたくて、硬質化していても身を預けていたけれど、これ以上は消化仕切れない想いで狂ってしまうと酷い頭痛と一緒に脳内で警笛が鳴り響いた事を切欠にヒステリックな抵抗をし始めた。
 
___それでも、愛しい人の愛しい部品を傷付けないように暴れてしまうのは…まだまだ根強く愛が心に残っていると感じて…小さく嫌な笑みを作ってしまった。
 
 
『七瀬さん』
お願い。
呼ばないで。
線を引かないで。
それをするのに…私の築いた壁を壊さないで。
 
もう…私…壊れてしまう。