「防疫指示が不十分」 検証委、国の責任厳しく指摘

(宮崎日日新聞2010年11月25日付)


 本県口蹄疫への国や県の対応が適切だったかなどを検証する農林水産省の口蹄疫対策検証委員会(座長・山根義久日本獣医師会会長)の第17回会合は24日、農水省で開き最終報告をまとめた。

 被害拡大の要因は国と県、市町村の役割分担の不明確さや通報遅れなど中間報告を踏襲したほか、新たに対応の甘さなど国の責任も厳しく指摘した。同日は農水省の疫学調査チーム(チーム長・津田知幸動物衛生研究所企画管理部長)も「中間取りまとめ」を公表した。

 検証委の最終報告は、対応の問題点と改善すべき点を指摘。問題点では5月19日に決定された家畜へのワクチン接種を「結果的に決定のタイミングは遅かった」とし、方針を決めた牛豚等疾病小委員会に関し「対応、開催頻度に問題があった」と結論付けた。

 また国、県、市町村に対策本部が乱立し「権限と役割に混乱が生じた」とし、今後は国の方針を決める農水省、実施の司令塔となる都道府県の対策本部の設置は必須としながら、それ以外の本部は「判断権者の空白が生じないようにすることが重要」と提言。

 さらに、1例目などでの国への通報の遅れに「口蹄疫であってほしくない心情が強く働いたと考えられる」とも推察。中間報告同様、通報が遅れた農家や都道府県へのペナルティーのほか、本県の家畜防疫員不足、飼育頭数に関する一定のルールづくり、侵入経路特定につながる人・物の出入りに関する正確な記録の必要性も指摘した。種雄牛を生かす特例も「一切認めるべきでない」としている。

 中間報告で指摘が少なかった国の責任に関し「10年前の対応の成功で対応に甘さが生じていた。実効性ある防疫指示が十分に国から都道府県に伝わっていたとは考えられない」などと厳しく指摘した。

 疫学調査チームの中間取りまとめは、児湯郡内の初期発生事例を中心にウイルスの侵入、伝播(でんぱ)の経緯を細部にわたり検証。ウイルスの侵入が早かったと推察された3農場(1、6、7例目)に関して、海外渡航者などとの接点は確認できておらず、見学者ら外部者の出入りに関する記録もないため「これ以上の検証は困難」としながら、「人の移動でウイルスが侵入した可能性は否定できない」とまとめた。今後は、最後まで発症しなかった農場の防疫措置に関する調査やウイルスの性状を調べる感染実験の実施も予定している。

 国はこれらの報告を基に、次期通常国会に家畜伝染病予防法改正案を提出する方針。


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   一番レッドカード乱発している「国」へのペナルティはなくていいのね?



                

被災された方々が更に苦しい状況に追い込まれなければよいが、とずっと懸念しています。

何のための検証委員会なのか。全く機能していません。

今、一番知りたい「どこから口蹄疫は入ってきたのか」の感染経路等はぜんぜん触れられて        いないところがものすごい。

情報を握っている方、真実を宮崎県民に教えてください!と 言いたい。

 

         

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「問題点具体的に指摘」 国検証委最終報告


(宮崎日日新聞2010年11月25日付)


 農林水産省の口蹄疫対策検証委員会の最終報告が24日、まとまった。2カ月前の中間報告は県の対応に対する批判が目立ったが、最終報告は国の対応についても「決定が遅かった」「現実性に乏しい」などと厳しく指摘しており、県口蹄疫対策検証委員会座長を務める宮崎大の原田隆典教授も一定の評価。一方で、農家には知らされていなかった県家畜改良事業団(高鍋町)の対応を問題視する記述もあり、農家からは「裏切られた」と落胆する声が聞かれた。

 最終報告は国の口蹄疫対策に関し、「ワクチン接種決定のタイミングが遅かった」と指摘。「有効な対策とされた搬出制限区域家畜の早期出荷対策は現実性に乏しいものであった」とした。原田教授は「中間報告では県の対応を批判する内容が目立ったが、最終報告では国や県、市町村それぞれの問題を具体的に指摘してある」と評価した。

 東国原知事は「発生した時は警察や自衛隊も入ってくるので、イギリスや韓国のように国主導でないといけない」と述べ、国が防疫方針を決め、県が具体的措置を担う現行の法定受託事務に否定的な姿勢をあらためて示した。

 最終報告は、同事業団が特例で種雄牛を移動させた5月13日、

同事業団の別の牛が発熱していながら家畜保健衛生所に報告しなかったことを指摘している。

しかし、県は11月15日、口蹄疫被害者協議会(吉松孝一会長)との会議で「(同事業団で感染疑いが確認された)5月14日より前に、症状が出た牛はいなかった」と説明していた。



吉松会長は「隠したとしか言いようがない。多くの農家は早期通報に協力してきた。裏切られた気持ち」と吐露した。

 最終報告の実効性に疑問の声も上がった。
都農町の河野正和町長は「一連の流れは網羅しているが、一般論であり具体性には乏しい。報告を参考に、町独自の対応策を早急にまとめ上げたい」と気を引き締める。

 家畜防疫員の増員や産業動物の医療体制の強化を求めた報告について、高鍋町の開業獣医師志賀明さん(57)は「公務員である家畜防疫員の早急な増員は難しいので、嘱託で民間獣医師を活用する方が現実的。産業動物の獣医師を増やすには、医師の生活が成り立つだけの体制づくりが必要」と具体的な対策を求めた。