書評 「憚りながら」 | 鬱と犬

鬱と犬

2004年4月に鬱に。
最近、妹から犬をもらい少しづづ回復の兆しが??
四十路女子の鬱と犬についての身辺雑記です。

憚(はばか)りながら/後藤 忠政
¥1,500
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売れている話題の本を読む。

父が購入。
後藤組組長の半生記である。

引退し得度した後藤組長の名前は知っていた。

本を読んで、しびれた。

誰にも媚びず、
信念を曲げない姿勢。

昭和を彩る政商やフィクサーに可愛がられたのも、よく解る。

若い者の面倒はしっかり見る。
こんな人の下で働ければ、様々なことが学べると思う。

一番好きなのは、第六章 「生涯の友・野村秋介」。

野村秋介の自決の後の場面で泣いた。

野村秋介の辞世の句、前から好きだったけど、この章を読むと、

なお深みを増す。


「俺に是非を説くな 激しき雪が好き」

そして、後藤組長はこの辞世の句を背中に刺青として彫っている住職のもとで、

得度する。


野村秋介が惚れ込んだ住職、
野村秋介の句を自らの躰に残す住職。

真の友達って凄まじい。

わたしも薄っぺらい人間関係なんて必要ないけど、より必要ないと思えた。

生涯の友と言える人がわたしには二人いるし、掛け替えなく大事だから。

読み終えて本を閉じようとした刹那、

「本書の印税は、その全額が高齢者福祉及び児童福祉のために寄付されます。」と

小さな細い字で記されていた。

唸った。

筋が通った生き方に。