風が悪い(体裁が悪い)認知症を変えつつあるキャラクターとは | みんなに教わる介護情報伝道師ぬけが行く

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妻の起こした介護情報提供サービスをサポートしながら『介護はXデーが来る前に準備をしておかなければ経済的にも精神的にも大きな損をする』という持論を私は持ちました。それをいかに社会に伝えるかを模索し、その実現するための学びや行動を記していこうと思います。

見たこと、教わったこと

以前、真庭市の認知症セミナーにうかがった際のことをブログに記しました。その中に認知症に対して風が悪い(体裁が悪い)というイメージをどうしても家族が持ちがちであることを書きました。

昨日、認知症関連のセミナーを行っている方とお話しする機会があったので、「岡山ではまだそうしたイメージを家族が持ちがちです。それ故に施設や事業所が地域密着というコンセプトで在住している市町村限定の住民を受け入れて、家族や友人に遊びに来てもらったり、なじみの場所に行ってもらいやすく出来るようにしても、家族の壁によって阻まれてしまっています。この傾向は岡山に限った話ですか(比較的岡山は封建的なので)?」という質問をしました。

それに対する答えは「やや岡山にそうした側面はあるかもしれませんが、岡山に限った話ではなく、全国的にまだ根強いものです。なぜなら介護保険制度が確立されて認知症に関する理解が高まってきてはいますが、以前は痴呆、その前はボケとさげすまされた病ですし、関係する病院が精神病院なので、恥ずかしいもの、隠したいものという意識が確立されてしまっていましたから。」ということでした。

でもここにきて「あるキャラクターがイメージを変えつつある」ということを教えてくださいました。そのキャラクターとは日曜日夕方のヒロイン、サザエさん   ではなく

『ちびまる子ちゃん』です、

とのこと。

このホームページで放映されているテレビCMをご覧になった方も多いと思います。15秒のCMなので詳細は語ることが出来てはいませんが、認知症がれっきとした病気であることを啓蒙するには大きな力を発揮したのではないでしょうか。

こうした努力の積み重ねで徐々に認知症に関すイメージが昨今は変わりつつあることを感じるとのことでした。


新たに知ったこと、考えたこと

このCMに疑問を唱える方もいらっしゃいます。それは内容の乏しさや、実際はあいまいである点をかなり言い切りに近い形で表現している点に違和感を感じられているからだと思います。

しかし、多くの人に認知症に対する関心と最低限の理解を提供できた点において、ちびまる子ちゃんのここでの存在を私も評価しています。教えてくださった方が言っていましたが「キャラクターがまる子ちゃんであることから、大人だけでなく、子供が興味を持ってくれたことの意味が大きい」とのことです。

もしまる子ちゃんから認知症を学んだ子供の家族に認知症の患者がいて、さらに風が悪いという扱いをしていた場合、子供がそれに対して修正を加えてくれることが期待できる。子供がそういうからどれ腰をすえて認知症を学んでみようかという機運が出来やすくなるからだということです。

話は変わりますが、まる子ちゃんを教えてくださった方からは、積極的に近所の方にウッドデッキでのお茶会に招待して地域との連携を積極的にとろうと努力している介護施設の情報も教わりました。私がこれまで目にしてきた介護施設は天気の良い日に外でお茶を飲むというところまでは実行しているところは多く目にしました。しかし近所の方を積極的に招いてまでという所はごく稀です。

確かに外から風邪などのうつる病気を持ち込まれたら、何かの拍子でぶつかってお年寄りが転倒してしまったら、というリスクを懸念してだと思います。しかし、そうしたリスクをあらかじめ「お年寄りの接し方教室」のような形で基礎知識を持っておいてもらった上で、施設、事業所に関わってもらうことってとても大切だと思います。

なぜなら、そうした日々のやり取りによって認知症に関する理解も高めることが出来ますし、日ごろから顔見知りになっていれば万一迷子になった際や災害が発生した際にも大きな力になってもらえることが期待できるからです。現に施設や事業所とたまたま懇意になった方が「認知症ってイメージしていたものとは違うんだね」というコメントをもらった話を私も耳にしています。

よく家内が外部へのプレゼンテーションで「これまで介護施設・事業所は行政とは連絡を密にしていましたが、一般の住民や社会とはまだそうしたやり取りがほぼ無い状態にあります」という話をします。しかし以前にも書きましたが今後行政だけでは財政的にどうしても力不足になってしまうことが明らかな今、それを補ってくれるのが周りの住民や社会です。

住民・社会に手助けを頼らなければならない以上、早急にそうしたところと手を携える努力を施設・事業所は必要だと思います。加えて現状住民や社会により近い位置にいる行政は積極的にその後押しをする必要があると考えています。

ちなみにまる子ちゃんのページの中に、家族の会での講師やデイサービスでの世話をすることを積極的にしている認知症患者の山本さんの話が紹介されています。以前、ブログで同様に認知症患者でありながら講師や編み物の先生をなさっている戸田さんの話を記しました。

確かに認知症は重度になると寝たきりなど他人の介護を受けないと生きていけなくなることもありますが、軽度では上記の例のように健常者となんら変わらないことも往々にしてあります。また重度化する間にさまざまな状態の変遷を経る、それも人によってパターンが異なる難しい病気であることを、今後も事例などを入れながらこのブログでも啓蒙していきたいと思っています。


また一つ新たな情報を得て、思いをまとめることができました。感謝です。

もし文中や事例などに誤りがあったり、こうした情報もあるよという方、是非ともお教えください。


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