実際に風(ふう)が悪くなるのはこんな時! | みんなに教わる介護情報伝道師ぬけが行く

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妻の起こした介護情報提供サービスをサポートしながら『介護はXデーが来る前に準備をしておかなければ経済的にも精神的にも大きな損をする』という持論を私は持ちました。それをいかに社会に伝えるかを模索し、その実現するための学びや行動を記していこうと思います。

見たこと、教わったこと

昨日のブログで「風が悪い」と書きましたら、家内から「それきっと地元の人しか読めないよ」といわれました。皆さんは何と読みましたか?これは岡山では「ふうがわるい」と言います。意味は昨日も書いたとおり体裁が悪いという意味です。

以前関連する話題で「施設に入れて」というタイトルで記事を書きました。最近は認知症患者の近隣住民から包括支援センターなど高齢者を扱う役所に「あの人を施設に入れてほしい」という通報があるということを記しました。

その理由として、記事では
「歩き回ったりしていて事故などが心配だから」
「何をするかわからず不安だから」
「話しかけられたときに相手をするのが面倒だから」
「大声を出すなど迷惑だから」
を挙げましたが、認知症の家族を持つ同僚からもうひとつ大きな理由を教えてもらいました。それは「火事を出される可能性があるから」というものです。

義母は、多忙な教員生活をしていたこともあり、家事を基本的には母親、つまり家内の祖母に殆どやってもらっていたと言います。だからリタイア後もあまり家事に強い関心を持たなかったとか。しかしそれがある意味では家内にとっては助かる要因にもなったようです。というのもお腹が空いたといって冷蔵庫の往復こそ頻繁にしましたが、自分で火を使って料理をしようということをあまりしなかった。つまりは火事を出すリスクを低くとどめることが出来たからです。

もしこれが日常的に火を使っていた人が認知症になってしまうと、やかんやなべに火をかけて忘れてしまったり、風呂を焚きだして忘れてしまう可能性があります。加えてその人が一人暮らしであったならば、家人が気づくこともできません。

もちろん健常な人でも度々ニュースで報じられるように同様の失敗で火事を出すことはあります。けれど認知症になるとその可能性や頻度が高くなることは間違いありません。いえこうしたニュースで高齢者が関わっているもののかなりの比率は認知症が関係しているのではないかと思っています。本人や家族が認知症に気づいていなかっただけではと。

いずれにせよ、火事を出してしまっては風が悪い、いえ風が悪いどころの話ではなくなってしまいます。ケースによっては地元に住み続けることすら難しくなってしまうでしょう。そうしたリスクも認知症は持っているのです。


新たに知ったこと、考えたこと

そうしたリスクを回避するため同僚は外出時には総元栓を必ず締めることをルール化して家族に徹底したと言います。一方我が義母はリスクは低かったものの、一度だけガスに関してはやらかしています。何をしたかというと家内が風呂に入っている最中に何を思ったのか総元栓を締めたらしいのです。真冬の寒い日だったそうですが、突然シャワーが真水になった家内はパニック状態になったとか(笑)。これは笑い話で済みましたが、似たような話は認知症の家族の多くが持っているようです。

しかし、こうした家族の苦労を近所の人は知りません。おまけに患者も初期は近所の人との短時間のやり取りでは健常者と変わりなく見えるので「あんまりお年寄りをいじめないように」など反対にいわれのないクレームを言われたりして家族を傷つけてしまうことすらあります。そんなことも家族が近所とのやり取りを狭めてしまう要因なのかもしれません。

とはいえ、次第に容態は進行するのもまた事実です。ですから、近所には現状の認知症の症状、この後どのような行動をする可能性があるのかなど理解をしてもらうための情報を流すことは何かのときに助けてもらう上でも大切だと思います。それとともに、前述の外出時の総元栓チェックにより火災などの発生防止を図っていることなども情報公開して安心感を持ってもらうことも大切だと思います。

施設や事業所でも言えることですが、何をしているかわからない。どんな人がいるかわからないというのでは周りの人は不安を感じてしまいます。俗にいう『見える化』率先することが、いざというときに助けてもらえるか否かの分かれ目になると私は思います。

情報がなければ、いざという時に、きっと誰かが助けるだろう、どんな人かもわからないのにリスクを負ってまで助ける必要があるか、と多くの人が思うことでしょう。しかし相手を知っていれば「あの笑顔が素敵なおばあちゃん大丈夫かな?あの野菜作りがんばっていたおじいちゃんは?あそこはお年寄りが8人入居していたな」と具体的なイメージを持って助けてもらえると思います。人間は知っている人か否かでこうにも行動が違うものなのです。

そうしたことからも介護の見える化を率先することが家族も施設、事業所にとっても今後の重要な課題になることは間違いないと私は考えています。


また一つ新たな情報を得て、思いをまとめることができました。感謝です。

もし文中や事例などに誤りがあったり、こうした情報もあるよという方、是非ともお教えください。


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