法人による介護の捉え方(社会福祉法人って何?) | みんなに教わる介護情報伝道師ぬけが行く

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妻の起こした介護情報提供サービスをサポートしながら『介護はXデーが来る前に準備をしておかなければ経済的にも精神的にも大きな損をする』という持論を私は持ちました。それをいかに社会に伝えるかを模索し、その実現するための学びや行動を記していこうと思います。

見たこと、教わったこと

昨日のブログでは、他業種からの参入についてをテーマにしました。

基本的に参入してくる組織は株式会社を中心とする営利追求組織が多いでしょう。それに対し、既存の介護事業を行っている組織といえば社会福祉法人を中心とする組織が固めていますそれぞれの組織が持っている考え方について、あるSNSの書き込みに面白いものがありましたので、今日はそれをテーマにしたいと思います。

その書き込みとは以下のようなものでした。ある程度内容は省略させていただいていますことをあらかじめご了承ください。

自分は現在、首都圏の民間企業(営利財団法人)で働いており、グループホームの施設長をしています。

最近、縁があって近くオープンする特別養護老人ホームの立ち上げに誘われています。
給与は今より若干アップしそうだし、福利厚生もしっかりしているところは魅力です。

私の勤める営利財団法人の考え方『お金を頂くからには最高のサービスをしよう!』『頑張って実績を上げて、給与が上がるように頑張って行こう!』と言う、ある意味前向きな意識で仕事をしています。

一方、お誘いを頂いている特養を運営する社会福祉法人の方は『介護の世界に競争意識は不必要だし“儲ける”という概念(邪念)はあってはならない。』というのです。

私は職に就いてそんなに長くは無いので、昔ながらの考え方を実感するのは難しいです。

これから介護職を一生の仕事にして行こうと思っているのですが、将来的に見て“営利財団法人と社会福祉法人”どちらで働く方が優位なんでしょうか?

というものです。

それに対してメンバーからの応答にはこのようなものがありました。


一般的には、営利組織であっても、社福であっても、公務員であっても、利益を出さなければ存続できないか、国民の税金を次々投入して維持延命するしかありません

マスコミにより利潤追求がおかしいかの報道がなされていますが、ダメなのはデタラメな営業管理体制(めちゃくちゃなノルマ強要等)であって、利益を追求することではありません

なので税金頼みの組織は、今すぐはともかく、あと10年30年後、生き残れる保証は無いように感じます。時代が変わって福祉は全部政府が管掌、その代わり消費税20%、みたいなことがあればまた別ですが、今の自民公明政権にそんなこと出来るわけがないので、現実的には難しいのではないでしょうか。

スタッフが月給15万の劣悪な環境の中、会長が自家用ジェットと年収6000万もらうのは、介護事業者として絶対ダメだと思いますが、「儲ける”という概念(邪念)はあってはならない」という考えは、私は同意できません。

組織(会社)が儲かって、従業員の待遇が上がり、結果利用者さんにサービス提供がより良くなる、というのが健全なサイクルで、従業員の忍従の下に保証されるサービスが永遠に続くとは思えませんので、そのように考えてます。


新たに知ったこと、考えたこと

そもそも社会福祉法人とはどのような組織なのでしょう。皆さんはご存知ですか。名前は聞いたことがある、出身の保育園がそれだった、など漠然とした知識はあっても、それ以上突っ込んで調べる方は多くないのでしょうか。

ある資料によると、「社会福祉事業を行うことを目的として、社会福祉法の定めるところにより設立された社会福祉法第22条で定義される法人をいう。法人税上では公益法人等にあたる。
障害者や高齢者などを対象とした各種福祉施設や保育園、さらには病院や診療所などの医療機関の運営主体となる。」とあります。

なんだかわかったようなわからないようなですね。

もう少し現状について詳しくわかりそうな資料にこのようなものがあります( http://www.wam.go.jp/wamappl/bb16GS70.nsf/0/8ff3bb2ffc038c07492571ca002c675c/$FILE/20060814siryou.pdf )。

とはいえ、これも全文に目を通すと思うと頭がくらくらしてきますね。どうしてこの業界の資料はこうしたものが多いんでしょう?(笑)。こうした文書もさらっと読み解ける頭のよい方がそろっていらっしゃるんでしょうね。もっとも私がIT講師をしていた頃のモットーは難しいことを優しく教えられる人間が優れた講師である、でしたが。

仕方が無いので、さらっと斜め読みして、気になったことを書くと

・社会福祉施設を設置しようとする場合、建物について整備費用の3/4という高率補助がある。

土地と建物の1/4以上の資金を用意できれば、補助金とあわせて必要な資産が具備されたものとして、法人の設立認可が得られる

・これまで措置費と施設整備費補助で運営が保障されたことから、零細な規模の法人が多数を占め、90年以降だけでも約1.4倍に増えた

・社会福祉法人には、土地や建物の一部を寄付で賄ったことなどから同族的経営が多い職員の将来の展望が拓けず、有能な人材の確保・育成に支障をきたすというマイナス面も否定できない

(資料3ページから抜粋)


まとめると

1、施設管理中心、法人経営の不在

2、事業規模零細

3、再生産、拡大生産費用は補助金と寄付が前提

4、画一的サービス

5、同族経営


(資料4ページ) 
だそうです。

いかがでしょう。こうした組織は今後生き延びて生けるのでしょうか?

現にこの資料は社会福祉法人経営研究会というところが出していて、資料の1ページには
「規制」と「助成」から「自立・自律」と「責任」へ
「法人単位の経営」へ(「施設管理」から「法人経営」へ)

と危機意識持っていらっしゃる方も中にはおられるようです。

ただ、残念なことにこうした問題に対しては当事者だけでなく、補助を与えている行政も、そして利用者の主役たる国民もゆで蛙状態だということです。

ゆで蛙とは、蛙は熱湯に入れるとその熱さから逃れるのに必死になりますが、水につけて徐々に熱していくと穏やかな水温の変化に気づけずに最後はゆであがってしまうというもの。まさに今、日本は茹で上がる少し前まで来ているのではないでしょうか?

昨年、ギリシャ、アイルランドが相次いで財政破綻しました。ニュースで報じられたようにギリシャなどは国民の5人に1人がの公務員で定年が比較的早い上に、定年後も現役とほぼ同額の年金を得られていたと言います。産油国でもない限り、それは到底な不可能な話です。しかしあまりの心地よさにどっぷりつかり、本当に国庫に金が無くなってから大騒ぎをというわけです。あれと同じことが正に起きようとしているのです。

ギリシャやアイルランドはIMFなどから金融支援を受けて何とかつないでいます。しかしあまり知られていませんが、行政の支出に対して相当に厳しい制限があり、これまでと同じようにしないことが融資の条件に含まれています。もし日本が同様になったならば補助金などはいち早くカットされることでしょう。たとえそれで社会福祉法人などがつぶれても、国家そのものや自治体がつぶれるのを防ぐためにそれはいた仕方の無いものとされるはずです。

そうならない為に、もしくはそうなったとしても継続運営するために、心ある人がこうした資料を作っているようです。この資料を実行するには、昨日ブログに記したように既存の営利組織から組織運営の方法や知恵を吸収する必要があることでしょう。逆に営利組織は営利にのみ走ることをせず、適切な利潤を得ながらも補助金に頼ることなく施設や事業所を運営できることを証明し、組織の拡大を図っていけばよいと思います。

そうした試みや実行により、高い基礎体力とサービス力を持つ介護福祉施設、事業所が増えることを切に望みたいと思います。それは何より利用者、家族、そして国民のためになるのですから。

質問に対して返答された方の意見「組織(会社)が儲かって、従業員の待遇が上がり、結果利用者さんにサービス提供がより良くなる、というのが健全なサイクルこうした考えをいかなる介護関連組織も持っていかなければならないと思います。


また一つ新たな意見を得て、思いをまとめることができました。感謝です。

もし文中や事例などに誤りがあったり、こうした情報もあるよという方、是非ともお教えください。


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