前回紹介した波返しの上半身の動作を流用した手解きの記事の中に

 

「ここで、襟を握る拳の甲を、受けの胸に合わせる様に襟を握り込み、腰を落とす様に退けば、受けは難なく前方へ崩れますが、騎馬立ちの安定性を見る為の手解きですから、その様に崩すのでは意味はありません」

 

と書きました。

 

これは、この手解きが、上肢の動きに左右されぬ下肢の安定があるか否かの確認の為の手解きであり、受けを投げることが最優先ではないと言うことを表しています。

以下の鍵突きの動作を流用した手解きも同じ考え方ですから、動作は鍵突きそのものですが突きではなく崩しの手解きとして行います。

 

また、この手解きは完成された投げ技ではありませんから、投げ技の視点から見れば中途半端に感じられることでしょう。

 

前置きが諄くなりましたが、やり方は簡単です。

 

受けと取りは向かい合い、取は受けの肘と襟を掴み、柔道の相四つの様な形を取り、その状態から、下半身は騎馬立ちのまま、上半身を鍵突きの要領で回転させ、受けを崩します。

組手や投げ技の稽古ではありませんので、受けは身体を多少固めた棒立ちで構いませんが、それでも取の下肢が、上半身の回転に釣られ、旋回すると力が分散し、崩れ辛いことが感じられると思います。

 

要点と言うほどのこともありませんが、両拳の握りから肘、肩、下肢は下腹から膝、足首足の裏と、力の流れが途切れると上手く行きません。

脱力だけを意識し、身体全体の芯が抜けたような人に、この手解きをやらせると、大抵は力が伝達せず上手く崩すことが出来ません。

 

この様な手解きで、崩す力が伝わらないと言うことは、同じ形で突き出した拳には相手に貫通する力がないと考えて差支えないでしょう。

それでも相手にダメージは与えられますが、私の目指している突き方とは異なります。